安保3文書危険な大転換④ 軍事研究に民間「活用」 新たな国家総動員宣言(上)
「防衛力のみならず、外交力・経済力を含む総合的な国力を活用し、我が国の防衛に当たる」。安保3文書の一つ「国家安全保障戦略」はこう述べ、国力のあらゆる要素を「防衛」にあてる考えを示しました。戦前の国家総動員体制による侵略戦争の反省を踏みにじる新たな「国家総動員」宣言といえます。
「官民の高い技術力を幅広くかつ積極的に安全保障に活用」。国家安保戦略はこう明記し、科学技術の軍事動員を掲げました。その狙いは、最新兵器の開発にあります。
民生分野の成果 秘とくの危険も
具体的には「経済安全保障重要技術育成プログラム」に言及。同プログラムは安全保障分野に企業や大学などを組みこむことを目的とした経済安保法にもとつくもので、国の予算から拠出される計5000億円の基金を使って大学・研究機関や企業などに研究開発を委託します。
同プログラムの第1回の研究課題公募には、無人機技術や海洋・宇宙関連技術などが挙がっており、ミサイル防衛の装置として使用することを想定した研究テーマもあります。
より重大なことに、「アカデミアを含む最先端の研究者の参画促進等に取り組む」として、研究者を軍事研究に動員することを狙っています。
防衛省はすでに、先進的な民生技術の軍事利用を目的とした「安全保障技術研究推進制度」を創設しており、大学などから公募し、助成を行っています。
安保3文書の閣議決定に先立って開かれた政府の有識者会議では、科学技術研究費のうち防衛省分が少ないとして、その比重を高めるよう求める意見が出ていました。大学や研究機関への交付金・補助金の削減が進むなか、軍事研究の比率を高めれば、多くの研究者が研究費を得るために軍事研究に動員される危険があります。
その結果、民生分野の研究成果も軍事情報として秘とくされてしまう危険もあります。
JAXAや東海大、岡山大が開発に参加している極超音速誘導弾(防衛装備庁資料から)
JAXAと空自 連携強化を推進
国家安保戦略は「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)等と自衛隊の連携の強化を進めるとしています。防衛省は航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編する方針であり、JAXAをより深く軍事に関与させる狙いです。
すでに政府は、違憲の敵基地攻撃兵器「スタンド・オフ・ミサイル」のうち、極超音速(マッハ5以上)で飛翔できる巡航ミサイル「極超音速誘導弾」の開発にJAXAを動員。極超音速技術の研究には、岡山大・東海大も参加しています。
政府は1969年の衆院決議に基づき、宇宙政策を非軍事分野に限定していましたが、2008年に成立した宇宙基本法は、宇宙開発利用を「我が国の安全保障に資するよう行われなければならない」と百八十度転換。12年にはJAXA法が改悪されて「安全保障」の研究開発が追加され、宇宙の軍事利用を加速しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月21日付掲載
国家安保戦略は「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)等と自衛隊の連携の強化を進めると。防衛省は航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編する方針であり、JAXAをより深く軍事に関与させる狙い。
すでに政府は、違憲の敵基地攻撃兵器「スタンド・オフ・ミサイル」のうち、極超音速(マッハ5以上)で飛翔できる巡航ミサイル「極超音速誘導弾」の開発にJAXAを動員。極超音速技術の研究には、岡山大・東海大も参加。
はやぶさ2などの宇宙探査の技術が、軍事利用される危険。
「防衛力のみならず、外交力・経済力を含む総合的な国力を活用し、我が国の防衛に当たる」。安保3文書の一つ「国家安全保障戦略」はこう述べ、国力のあらゆる要素を「防衛」にあてる考えを示しました。戦前の国家総動員体制による侵略戦争の反省を踏みにじる新たな「国家総動員」宣言といえます。
「官民の高い技術力を幅広くかつ積極的に安全保障に活用」。国家安保戦略はこう明記し、科学技術の軍事動員を掲げました。その狙いは、最新兵器の開発にあります。
民生分野の成果 秘とくの危険も
具体的には「経済安全保障重要技術育成プログラム」に言及。同プログラムは安全保障分野に企業や大学などを組みこむことを目的とした経済安保法にもとつくもので、国の予算から拠出される計5000億円の基金を使って大学・研究機関や企業などに研究開発を委託します。
同プログラムの第1回の研究課題公募には、無人機技術や海洋・宇宙関連技術などが挙がっており、ミサイル防衛の装置として使用することを想定した研究テーマもあります。
より重大なことに、「アカデミアを含む最先端の研究者の参画促進等に取り組む」として、研究者を軍事研究に動員することを狙っています。
防衛省はすでに、先進的な民生技術の軍事利用を目的とした「安全保障技術研究推進制度」を創設しており、大学などから公募し、助成を行っています。
安保3文書の閣議決定に先立って開かれた政府の有識者会議では、科学技術研究費のうち防衛省分が少ないとして、その比重を高めるよう求める意見が出ていました。大学や研究機関への交付金・補助金の削減が進むなか、軍事研究の比率を高めれば、多くの研究者が研究費を得るために軍事研究に動員される危険があります。
その結果、民生分野の研究成果も軍事情報として秘とくされてしまう危険もあります。
JAXAや東海大、岡山大が開発に参加している極超音速誘導弾(防衛装備庁資料から)
JAXAと空自 連携強化を推進
国家安保戦略は「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)等と自衛隊の連携の強化を進めるとしています。防衛省は航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編する方針であり、JAXAをより深く軍事に関与させる狙いです。
すでに政府は、違憲の敵基地攻撃兵器「スタンド・オフ・ミサイル」のうち、極超音速(マッハ5以上)で飛翔できる巡航ミサイル「極超音速誘導弾」の開発にJAXAを動員。極超音速技術の研究には、岡山大・東海大も参加しています。
政府は1969年の衆院決議に基づき、宇宙政策を非軍事分野に限定していましたが、2008年に成立した宇宙基本法は、宇宙開発利用を「我が国の安全保障に資するよう行われなければならない」と百八十度転換。12年にはJAXA法が改悪されて「安全保障」の研究開発が追加され、宇宙の軍事利用を加速しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月21日付掲載
国家安保戦略は「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)等と自衛隊の連携の強化を進めると。防衛省は航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編する方針であり、JAXAをより深く軍事に関与させる狙い。
すでに政府は、違憲の敵基地攻撃兵器「スタンド・オフ・ミサイル」のうち、極超音速(マッハ5以上)で飛翔できる巡航ミサイル「極超音速誘導弾」の開発にJAXAを動員。極超音速技術の研究には、岡山大・東海大も参加。
はやぶさ2などの宇宙探査の技術が、軍事利用される危険。
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