アベノ「あしぶみ景気」終了① 事実ゆがめる姿勢あらわ
内閣府は7月30日、景気の山と谷を判定する有識者会議を開き、景気回復が2018年10月に終了し、その後、景気は後退に転じていたと認定しました。これまで、「戦後最長」の景気拡大と自慢し、消費税の10%への増税を強行するため、景気は「回復」しているとの立場に固執して日本を大不況に陥れた安倍晋三政権の責任が厳しく間われています。(日本共産党政策委員会湯浅和己)
偽り明らかに
安倍政権は自らの成果として、いの一番に「戦後最長となる景気回復」をあげていました。毎月の景気認識をしめす政府の月例経済報告でも、今年の2月まで「回復」が続いていると言い張り続け、昨年1月には茂木敏充経済再生担当相(当時)が景気回復の長さについて、「戦後最長になったとみられる」としています。今回、政府の「回復を続けている」も、茂木氏のこの言葉もいずれも偽りであったことが、あらためて明らかになりました。
内閣府が毎月発表する景気動向指数をみると、景気拡大が始まったとする12年12月から18年10月までの71カ月間のなかで、「あしぶみ」と判断された月が23カ月、「下方への局面変化」との評価が4カ月、「悪化」が2カ月、「下げ止まり」が3カ月、あわせて32カ月に上ります。一方、「改善」や「上方への局面変化」と判断された月は39カ月にとどまります(表参照)。
マラソンに例えれば、途中であしぶみしたり、後戻りしているだけです。実際のマラソン大会でしたら制限時間に引っかかって、強制リタイアです。
自粛要請を受け週末にもかかわらず人通りの少ない上野のアメヤ横丁商店街=3月28日、東京都台東区
「あしぶみ景気」71カ月の内訳
「恩恵」及ばず
当然、国民には「景気拡大」の恩恵が及びません。それどころか、実質賃金は下がり続け、消費支出も抑えられてきました。一方、この間に大企業は巨額の内部留保をため込み、株高で資産家は大もうけを続けました。長さだけは「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の73カ月に続く71カ月に及ぶとしています。しかし、多くの国民にとっては、実感がまったくない、まさに「あしぶみ景気」でした。
これまで戦後最長とされた「いざなみ景気」では、小泉純一郎政権下での円安で企業は潤った一方、家計部門に回復実感がなく、09年1月の閣議後の会見で与謝野経済担当相(当時)はこれを「かげろう景気」と表現しました。なかには「リストラ景気」と命名するものもあり、国民の間に実感なき景気拡大の典型とされたものだったのです。
今回の景気拡大による実質国内総生産の年平均上昇率は1・1%にとどまり、「かげろう景気」といわれた「いざなみ景気」の1・6%をも下回っています。
輸出、生産、そして景気動向指数の推移を見ると、景気が18年に入って頭打ちとなり、同年秋には下向きになっていることは明らかです。日本経済研究センターが今年3月17日にエコノミストの見方をまとめたところ、景気後退入りを示す「景気転換点はもう過ぎた」と答えたのは33人中29人(88%)。拡大局面から後退局面に移ったことを示す「景気の山」の時期については、18年10月としたのが17人(52%)で最多でした。当の内閣府自身が発表している景気動向指数もそのことを明確に示していました。
自分勝手に事実をゆがめる安倍首相と安倍政権のやり方がここでもあらわになりました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月4日付掲載
アベノミクスで長期にわたって景気が回復しているというけど、「かげろう景気」と揶揄された小泉内閣時代の「いざなみ景気」よりもGDP上昇率は低い。
実際は「あしぶみ」「悪化」などと「改善」は半々だった。
内閣府は7月30日、景気の山と谷を判定する有識者会議を開き、景気回復が2018年10月に終了し、その後、景気は後退に転じていたと認定しました。これまで、「戦後最長」の景気拡大と自慢し、消費税の10%への増税を強行するため、景気は「回復」しているとの立場に固執して日本を大不況に陥れた安倍晋三政権の責任が厳しく間われています。(日本共産党政策委員会湯浅和己)
偽り明らかに
安倍政権は自らの成果として、いの一番に「戦後最長となる景気回復」をあげていました。毎月の景気認識をしめす政府の月例経済報告でも、今年の2月まで「回復」が続いていると言い張り続け、昨年1月には茂木敏充経済再生担当相(当時)が景気回復の長さについて、「戦後最長になったとみられる」としています。今回、政府の「回復を続けている」も、茂木氏のこの言葉もいずれも偽りであったことが、あらためて明らかになりました。
内閣府が毎月発表する景気動向指数をみると、景気拡大が始まったとする12年12月から18年10月までの71カ月間のなかで、「あしぶみ」と判断された月が23カ月、「下方への局面変化」との評価が4カ月、「悪化」が2カ月、「下げ止まり」が3カ月、あわせて32カ月に上ります。一方、「改善」や「上方への局面変化」と判断された月は39カ月にとどまります(表参照)。
マラソンに例えれば、途中であしぶみしたり、後戻りしているだけです。実際のマラソン大会でしたら制限時間に引っかかって、強制リタイアです。
自粛要請を受け週末にもかかわらず人通りの少ない上野のアメヤ横丁商店街=3月28日、東京都台東区
「あしぶみ景気」71カ月の内訳
基調判断 | 月 |
改善 | 37 |
上方への局面変化 | 2 |
あしぶみ | 23 |
悪化 | 2 |
下げ止まり | 3 |
下方への局面変化 | 4 |
合計 | 71 |
「恩恵」及ばず
当然、国民には「景気拡大」の恩恵が及びません。それどころか、実質賃金は下がり続け、消費支出も抑えられてきました。一方、この間に大企業は巨額の内部留保をため込み、株高で資産家は大もうけを続けました。長さだけは「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の73カ月に続く71カ月に及ぶとしています。しかし、多くの国民にとっては、実感がまったくない、まさに「あしぶみ景気」でした。
これまで戦後最長とされた「いざなみ景気」では、小泉純一郎政権下での円安で企業は潤った一方、家計部門に回復実感がなく、09年1月の閣議後の会見で与謝野経済担当相(当時)はこれを「かげろう景気」と表現しました。なかには「リストラ景気」と命名するものもあり、国民の間に実感なき景気拡大の典型とされたものだったのです。
今回の景気拡大による実質国内総生産の年平均上昇率は1・1%にとどまり、「かげろう景気」といわれた「いざなみ景気」の1・6%をも下回っています。
輸出、生産、そして景気動向指数の推移を見ると、景気が18年に入って頭打ちとなり、同年秋には下向きになっていることは明らかです。日本経済研究センターが今年3月17日にエコノミストの見方をまとめたところ、景気後退入りを示す「景気転換点はもう過ぎた」と答えたのは33人中29人(88%)。拡大局面から後退局面に移ったことを示す「景気の山」の時期については、18年10月としたのが17人(52%)で最多でした。当の内閣府自身が発表している景気動向指数もそのことを明確に示していました。
自分勝手に事実をゆがめる安倍首相と安倍政権のやり方がここでもあらわになりました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月4日付掲載
アベノミクスで長期にわたって景気が回復しているというけど、「かげろう景気」と揶揄された小泉内閣時代の「いざなみ景気」よりもGDP上昇率は低い。
実際は「あしぶみ」「悪化」などと「改善」は半々だった。
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