COP27参加者に聞く① 温暖化対策「実施」の段階
地球温暖化対策の国連会議、COP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)が、6日から18日までエジプト・シャルムエルシェイクで開かれます。世界各地で気候災害による甚大な被害が出るなか、脱炭素への取り組みの強化と気候変動の影響にどう対応するかが大きく間われています。COP27の特徴と焦点について、会議に参加するNGOのメンバーに話を聞きました。
WWFジャパン 自然保護室長 山岸尚之さん
温暖化対策の国際的な目標やルールを定める「パリ協定」が採択された2015年以降のCOPでは、ルールの中身を決めてきました。昨年のCOP26で、すべてのルールが合意されパリ協定の大枠が完成しました。また、今世紀末までの気温上昇を産業革命前比で1・5度に重点をおくことが合意されました。
今後はその目標に向けて、「実施」の段階にきています。政府や企業は、より具体的な国内政策や計画を立て、それを実施していくことが求められています。
非国家間の動き
ここ数年の特徴は、政府間で行われる交渉の場外で、企業や自治体など非国家間の動きが活発になっています。
昨年は国際的な金融機関によるパートナーシップ(協力関係)や、140超の国のリーダーによる森林減少を食い止める宣言などが話題になりました。これらは正式な合意ではありませんが、実際に温暖化対策を進めるためには非常に大事で、そこに重きが置かれるようになっています。
今年もいくつか既に予定されています。そのうちの一つとして、農業関連の大企業が共同で1・5度目標と整合するような「ロードマップ」(対策計画)の発表を予定しています。
COP26で成果文書が採択され立ち上がって喜ぶ各国の代表=2021年11月13日、グラスゴー市内(桑野白馬撮影)
政府間の交渉は
政府間の交渉では、気候変動の影響にどう対応するかが争点になると思います。今回は気候変動にぜい弱なアフリカ大陸での開催ということで、特に気候変動の被害に対する「損失と被害」の議論が再燃すると予想されます。
先進国はこれまで、「損失と被害」への資金支援について言及を避けてきました。被害のどこまでを気候変動の影響とするかの線びきが難しいという問題と、いったん認めると資金額が膨れ上がるという懸念からです。
しかし、昨年のCOP以降、スコットランドとデンマークが資金支援を表明しています。国・地域として「損失と被害」を認める動きが出てきたことは大きな変化です。日本としても「もっとも被害を受けている人たちをどう助けていくか」と、建設的に話し合う姿勢を打ち出してほしい。
日本政府は昨年、30年までの温室効果ガス排出削減の目標を26%から46%へと引き上げました。まだ目標は十分ではないうえにそれすら、その後の国内の政策が追いついていません。再エネや省エネの政策は国際的にも遅れています。
特に石炭火力に固執する姿勢は、世界の潮流から見て後ろ向きで異質な状況です。日本政府が後ろ向きな姿勢を見せれば他国へ悪い影響を与えかねません。CO2排出量世界第5位として責任の重い日本が、どんな政策をアピールするか世界が注目しています。
パリ協定
世界の196力国・地域が参加する、2020年以降の地球温暖化対策の法的枠組み。気温上昇を抑えるため、今世紀後半をめどに温室効果ガス排出を実質ゼロ(海や森林による吸収量が排出量を上回る状態)にすると決めました。各国は、温室効果ガスの削減に向けた自主的な国別目標を設定。達成状況を検証しながら、5年ごとに目標を引き上げることを定めています。15年にパリで開かれたCOP21で採択され、16年に発効しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月31日付掲載
昨年は国際的な金融機関によるパートナーシップ(協力関係)や、140超の国のリーダーによる森林減少を食い止める宣言などが話題になりました。これらは正式な合意ではありませんが、実際に温暖化対策を進めるためには非常に大事で、そこに重きが置かれるように。
今年もいくつか既に予定。そのうちの一つとして、農業関連の大企業が共同で1・5度目標と整合するような「ロードマップ」(対策計画)の発表を予定。
日本政府は昨年、30年までの温室効果ガス排出削減の目標を26%から46%へと引き上げました。まだ目標は十分ではないうえにそれすら、その後の国内の政策が追いついていません。再エネや省エネの政策は国際的にも遅れています。
石炭火力や危険ととなりあわせの原子力からは撤退して、再生可能エネルギーへの大転換を。
地球温暖化対策の国連会議、COP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)が、6日から18日までエジプト・シャルムエルシェイクで開かれます。世界各地で気候災害による甚大な被害が出るなか、脱炭素への取り組みの強化と気候変動の影響にどう対応するかが大きく間われています。COP27の特徴と焦点について、会議に参加するNGOのメンバーに話を聞きました。
WWFジャパン 自然保護室長 山岸尚之さん
温暖化対策の国際的な目標やルールを定める「パリ協定」が採択された2015年以降のCOPでは、ルールの中身を決めてきました。昨年のCOP26で、すべてのルールが合意されパリ協定の大枠が完成しました。また、今世紀末までの気温上昇を産業革命前比で1・5度に重点をおくことが合意されました。
今後はその目標に向けて、「実施」の段階にきています。政府や企業は、より具体的な国内政策や計画を立て、それを実施していくことが求められています。
非国家間の動き
ここ数年の特徴は、政府間で行われる交渉の場外で、企業や自治体など非国家間の動きが活発になっています。
昨年は国際的な金融機関によるパートナーシップ(協力関係)や、140超の国のリーダーによる森林減少を食い止める宣言などが話題になりました。これらは正式な合意ではありませんが、実際に温暖化対策を進めるためには非常に大事で、そこに重きが置かれるようになっています。
今年もいくつか既に予定されています。そのうちの一つとして、農業関連の大企業が共同で1・5度目標と整合するような「ロードマップ」(対策計画)の発表を予定しています。
COP26で成果文書が採択され立ち上がって喜ぶ各国の代表=2021年11月13日、グラスゴー市内(桑野白馬撮影)
政府間の交渉は
政府間の交渉では、気候変動の影響にどう対応するかが争点になると思います。今回は気候変動にぜい弱なアフリカ大陸での開催ということで、特に気候変動の被害に対する「損失と被害」の議論が再燃すると予想されます。
先進国はこれまで、「損失と被害」への資金支援について言及を避けてきました。被害のどこまでを気候変動の影響とするかの線びきが難しいという問題と、いったん認めると資金額が膨れ上がるという懸念からです。
しかし、昨年のCOP以降、スコットランドとデンマークが資金支援を表明しています。国・地域として「損失と被害」を認める動きが出てきたことは大きな変化です。日本としても「もっとも被害を受けている人たちをどう助けていくか」と、建設的に話し合う姿勢を打ち出してほしい。
日本政府は昨年、30年までの温室効果ガス排出削減の目標を26%から46%へと引き上げました。まだ目標は十分ではないうえにそれすら、その後の国内の政策が追いついていません。再エネや省エネの政策は国際的にも遅れています。
特に石炭火力に固執する姿勢は、世界の潮流から見て後ろ向きで異質な状況です。日本政府が後ろ向きな姿勢を見せれば他国へ悪い影響を与えかねません。CO2排出量世界第5位として責任の重い日本が、どんな政策をアピールするか世界が注目しています。
パリ協定
世界の196力国・地域が参加する、2020年以降の地球温暖化対策の法的枠組み。気温上昇を抑えるため、今世紀後半をめどに温室効果ガス排出を実質ゼロ(海や森林による吸収量が排出量を上回る状態)にすると決めました。各国は、温室効果ガスの削減に向けた自主的な国別目標を設定。達成状況を検証しながら、5年ごとに目標を引き上げることを定めています。15年にパリで開かれたCOP21で採択され、16年に発効しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月31日付掲載
昨年は国際的な金融機関によるパートナーシップ(協力関係)や、140超の国のリーダーによる森林減少を食い止める宣言などが話題になりました。これらは正式な合意ではありませんが、実際に温暖化対策を進めるためには非常に大事で、そこに重きが置かれるように。
今年もいくつか既に予定。そのうちの一つとして、農業関連の大企業が共同で1・5度目標と整合するような「ロードマップ」(対策計画)の発表を予定。
日本政府は昨年、30年までの温室効果ガス排出削減の目標を26%から46%へと引き上げました。まだ目標は十分ではないうえにそれすら、その後の国内の政策が追いついていません。再エネや省エネの政策は国際的にも遅れています。
石炭火力や危険ととなりあわせの原子力からは撤退して、再生可能エネルギーへの大転換を。
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