きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

猫めぐり2 下町の猫家族  関 由香

2008-03-02 20:15:45 | 日常生活
猫めぐり 2 2008年2月21日
【しんぶん赤旗日刊紙 毎週木曜日に掲載】

猫専門の写真家  関 由香
下町の猫家族



 昔ながらの木造住宅と近代的なマンションが建ち並ぶ、東京の下町の路地の一角にひっそりと停(たたず)むお地蔵さん。目の前の坂道は一方通行ながらも交通量が意外と多く、抜け道として利用されているようだ。お地蔵さんに奉られた何層にも重なり合った色とりどりの千羽鶴が、そこに眠るものへの弔いと地元の人々の祈りが今も毎日捧げられていることを窺(うかが)せた。
 ここを通りかかったとき、突然私の前を一匹の子猫がよぎった。思わず後を追っかけていくと、そこにはなんと猫の家族がいた。キジ猫と黒猫の両親に、子猫六匹。予期せぬ出会いにうれしくなり、私は毎日のようにここへ通った。暖かい昼間はお地蔵さんの屋根の上で気持ち良さそうに日なたぼっこをして、日が暮れると地蔵尊の後ろで親子で身を寄せ合って寒さをしのいでいた。近所の人々に餌をもらいながら暮らし、子猫たちは交通量の多い路地のそぽで、親猫から都会で生きる術(すべ)を学びながら日々たくましく成長している。
 私が写真を撮り続けていると、近所のおばさんが話しかけてきて、この辺には二、三家族の猫が暮らしていることや、母猫目当てで毎日訪ねてくるものの、相手にしてもらえない健気(けなげ)なオス猫がいるという笑い話もしてくれて、すっかり仲良くなった。人情の絶えない下町で、猫たちは近所の人々に愛され見守られながら暮らしている。その猫たちが、こうした人々との温かい触れ合いをもたらしてくれたのだった。


猫めぐり 猫専門の写真家 関 由香さん

2008-03-01 23:07:38 | 日常生活
猫めぐり 1 2008年2月14日
【「しんぶん赤旗」日刊紙の毎週木曜日に掲載】

写真家 関 由香
台湾の猫カフェ



 猫たちと過ごしながらお茶が飲めるという「猫カフェ」が猫好きの間で話題になっている。発祥の地といわれる台湾では約十年前から店舗が増えはじめ、若い人からおとなまで幅広い世代に、また日常的に親しまれているのだ。その本場の猫カフェヘ行って来た。
 台湾の大都市・台北。何度訪れてもカフェヘ入る前はわくわくする。そして、ドアを開けるとまだ小さい猫が早速やってきて私の前にちょこんと座った。店内を見渡すと、店の真ん中でお腹を出して寝そべる猫、遠くからこちらを伺っている猫など他の猫も椅子の上や床で寛(くつろ)いでいる。いつも写真を撮るために猫探しから始まる旅が多い私にとっては、この光景は嬉しくて仕方がない。
 早く写真を撮りたい気持ちを抑えてまずは席につく。店内は清潔感漂うスッキリとおしゃれな空間で、ドリンクやスイーツのメニューも豊富だ。普通の喫茶店としても充分落ち着けるので、猫を目的ではないお客さんも多い。
 店内に置いてある猫のおもちゃを手に取ると、みるみる猫達が興味津々に近づいて来た。猫と遊びながら、可愛い仕草や表情を私は夢中になってカメラに収める。そしてひととおり撮り終えたら、美味しいコーヒーを飲んで猫を眺めながらまったりと過ごす。なんて贅沢(ぜいたく)な時間だろう。猫がこんなにも自由にのびのびとした、幸せ一杯の表情を見せてくれるのは、猫を育てているオーナーさん達の愛情が猫に伝わっているからこそ。顔がゆるみっぱなしの台湾猫カフェの旅となった。

(木曜日掲載)

せき・ゆか 一九七五年生まれ。
写真家(猫専門)。著書に『猫カフェ』(竹書房)、『いっぱいいるとかわいいね』(ソニー・マガジンズ)ほか。