10月7日、衆議院予算委員会で共産党の志位和夫さんが、世界一の自動車メーカー・トヨタ自動車グループの中核、トヨタ車体(本社・愛知県刈谷市)が法律の期間を超えて、低賃金・使い捨ての派遣労働者を使い続けている実態を追求し、違法是正と派遣労働法の抜本改正を求めました。
【「しんぶん赤旗」日曜版(10月12日付)、日刊「しんぶん赤旗」(10月9日付)で報道】
「派遣労働者の奇妙な配置換えが行われている」。そう言って、志位さんが明らかにしたのは、プリウスなどを生産する工場での巧妙な方法です。
-生産ラインを昼夜2交代でA直とB直の2グループに分ける。仕事の内容はまったく同じで、1週間ごとに昼夜が切り替わる。
-異変が起きたのは、この10月。28人の派遣社員全員をA直に集め、B直の派遣はゼロに。来年1月からは、図のように派遣がまるごとB直に移動して、A直の派遣はゼロになる。
-なぜこんなことが。
派遣法では、「臨時的、一時的」という原則から最大3年という派遣労働の期間制限があり、それを超えると派遣先企業は労働者に直接雇用を申し込む義務が生まれます。
ところがトヨタ車体のやり方は、仕事内容は同じでも、A直とB直の形を変える-「3ヶ月と1日」だけ派遣を受け入れない期間(クーリング期間)をつくることで派遣労働の継続がなくなり、使い回しできる、というものです。同社は「これをやれば法律をクリアできる」と社員に説明しています。
「直接雇用をのがれるための期間制限偽装ではないか。違法状態をただちに是正せよ」と迫る志位さん。
麻生首相は「現実に照らして法の下に対応する」と答弁しました。
トヨタ車体で3年間働いている派遣労働者が語ります。
「仕事は正社員と同じですが、給料は手取りで20万円と正社員より安い。派遣会社のアパートに入ると5万円以上とられ、10数万円しか残りません。ふすま1枚で仕切られている3人部屋だと、自分の部屋に行くにも他人の部屋を通らないとならない。志位さんが派遣労働のひどさ、生活の大変さを具体的にとりあげてくれて、本当にうれしい」
トヨタ車体はなぜ、「3ヶ月と1日」という期間を使って、派遣労働者を使いまわすのでしょうか。その根本になっているのが厚労省の告示「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(派遣先指針)です。同じ派遣労働者を同じ業務に使わない期間が3ヶ月を超えていれば派遣は継続していない、とされています。
人材派遣業界では「一定の期間(3ヶ月と1日以上)をいけば、同一業務について派遣労働者を再開できるようになる」などと勝手な解釈もおこなわれています。
トヨタ車体でも同じです。2005年から2008年までの間に同社の派遣労働者は2倍以上に増え、利益を186億円から224億円に伸ばしています。
志位さんが指摘しました。
「派遣労働者が3年を超えて増え続けている。これは臨時的・一時的な生産調整でなく、恒久的なコスト削減で大もうけを目的としたものであり、正社員から派遣への大規模な置き換えであることは明瞭(めいりょう)ではないか。トヨタは世界規模の超巨大企業だ。その企業が人間らしい雇用の責任を果たしていない」
違法を告発した労働者の職を奪うな
志位さんは質問の冒頭で、派遣労働をめぐって一定の変化が生まれていると切り出し、規制緩和一辺倒だった政府・与党も不十分ながら労働者派遣法の改正をいいだしたと指摘。「労働者のたたかいが、現実を一歩動かしつつある」と述べました。その上で、大企業で違法行為が横行していると指摘しました。 日亜化学(徳島県)やキャノン(栃木県)では、労働者が偽装請負を告発し、厚生労働省から偽装請負と認定されながら、告発した労働者が雇い止めにされています。
日亜化学の島本誠さんは労働災害にあいました。日亜と派遣会社は責任を島本さんに負わせ、偽装請負を隠すために口裏あわせまで強要しました。
熟練を要する作業をしているキャノンの宮田裕司さんは、頭をこずかれるなどのパワーハラスメントを受け、ささいな「理由」で直接雇用後、わずか11ヶ月で雇い止めにされました。
志位さんは、「被害者にいっそうの被害を与えるようなことは、政治の責任にかけて許すべきでない」と追求。麻生首相は、「事実ならきわめて不当な話しだ」と答弁をせざるをえませんでした。
日弁連連合会が「正規雇用が原則」とする決議をあげていることを紹介したし遺産は、「『働く貧困層』という社会的大問題を解決するまで奮闘する」と決意を表明しました。
【「しんぶん赤旗」日曜版(10月12日付)、日刊「しんぶん赤旗」(10月9日付)で報道】
「派遣労働者の奇妙な配置換えが行われている」。そう言って、志位さんが明らかにしたのは、プリウスなどを生産する工場での巧妙な方法です。
-生産ラインを昼夜2交代でA直とB直の2グループに分ける。仕事の内容はまったく同じで、1週間ごとに昼夜が切り替わる。
-異変が起きたのは、この10月。28人の派遣社員全員をA直に集め、B直の派遣はゼロに。来年1月からは、図のように派遣がまるごとB直に移動して、A直の派遣はゼロになる。
-なぜこんなことが。
派遣法では、「臨時的、一時的」という原則から最大3年という派遣労働の期間制限があり、それを超えると派遣先企業は労働者に直接雇用を申し込む義務が生まれます。
ところがトヨタ車体のやり方は、仕事内容は同じでも、A直とB直の形を変える-「3ヶ月と1日」だけ派遣を受け入れない期間(クーリング期間)をつくることで派遣労働の継続がなくなり、使い回しできる、というものです。同社は「これをやれば法律をクリアできる」と社員に説明しています。
「直接雇用をのがれるための期間制限偽装ではないか。違法状態をただちに是正せよ」と迫る志位さん。
麻生首相は「現実に照らして法の下に対応する」と答弁しました。
トヨタ車体で3年間働いている派遣労働者が語ります。
「仕事は正社員と同じですが、給料は手取りで20万円と正社員より安い。派遣会社のアパートに入ると5万円以上とられ、10数万円しか残りません。ふすま1枚で仕切られている3人部屋だと、自分の部屋に行くにも他人の部屋を通らないとならない。志位さんが派遣労働のひどさ、生活の大変さを具体的にとりあげてくれて、本当にうれしい」
トヨタ車体はなぜ、「3ヶ月と1日」という期間を使って、派遣労働者を使いまわすのでしょうか。その根本になっているのが厚労省の告示「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(派遣先指針)です。同じ派遣労働者を同じ業務に使わない期間が3ヶ月を超えていれば派遣は継続していない、とされています。
人材派遣業界では「一定の期間(3ヶ月と1日以上)をいけば、同一業務について派遣労働者を再開できるようになる」などと勝手な解釈もおこなわれています。
トヨタ車体でも同じです。2005年から2008年までの間に同社の派遣労働者は2倍以上に増え、利益を186億円から224億円に伸ばしています。
志位さんが指摘しました。
「派遣労働者が3年を超えて増え続けている。これは臨時的・一時的な生産調整でなく、恒久的なコスト削減で大もうけを目的としたものであり、正社員から派遣への大規模な置き換えであることは明瞭(めいりょう)ではないか。トヨタは世界規模の超巨大企業だ。その企業が人間らしい雇用の責任を果たしていない」
違法を告発した労働者の職を奪うな
志位さんは質問の冒頭で、派遣労働をめぐって一定の変化が生まれていると切り出し、規制緩和一辺倒だった政府・与党も不十分ながら労働者派遣法の改正をいいだしたと指摘。「労働者のたたかいが、現実を一歩動かしつつある」と述べました。その上で、大企業で違法行為が横行していると指摘しました。 日亜化学(徳島県)やキャノン(栃木県)では、労働者が偽装請負を告発し、厚生労働省から偽装請負と認定されながら、告発した労働者が雇い止めにされています。
日亜化学の島本誠さんは労働災害にあいました。日亜と派遣会社は責任を島本さんに負わせ、偽装請負を隠すために口裏あわせまで強要しました。
熟練を要する作業をしているキャノンの宮田裕司さんは、頭をこずかれるなどのパワーハラスメントを受け、ささいな「理由」で直接雇用後、わずか11ヶ月で雇い止めにされました。
志位さんは、「被害者にいっそうの被害を与えるようなことは、政治の責任にかけて許すべきでない」と追求。麻生首相は、「事実ならきわめて不当な話しだ」と答弁をせざるをえませんでした。
日弁連連合会が「正規雇用が原則」とする決議をあげていることを紹介したし遺産は、「『働く貧困層』という社会的大問題を解決するまで奮闘する」と決意を表明しました。