きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機④ 日本の気象災害被害 “世界一深刻だった”

2020-01-10 11:12:42 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機④ 日本の気象災害被害 “世界一深刻だった”
気候変動がもたらす災害は決してひとごとではありません。
ドイツのシンクタンク「ジャーマンウオッチ」は、2018年の気象災害による各国の被害状況を死者数や経済的な損失などをもとに分析した報告書(昨年12月)をまとめ、最も深刻な被害を受けたのは日本だったとしました。



2018年7月、西日本を中心に襲った豪雨で民家が被害を受け、土砂やがれきが散乱した広島県東広島市(谷晴美党市議提供)

連続して三つ
17年に36位だった日本が翌年1位になった要因として西日本豪雨、猛暑、台風21号と連続する三つの気象災害を挙げています。
『防災白書』(19年版)によると、18年7月の西日本豪雨では西日本を中心に全国的な範囲で記録的な大雨を記録。11府県に大雨特別警報が出され、河川の氾濫、土砂災害が椙次ぎ、死者は230人を超え、避難者数は最大2万8000人に上りました。家屋被害では全壊が6700棟以上など甚大な被害をもたらしました。
同7月中旬以降は、35度以上の「猛暑日」や30度以上の「真夏日」となる地点が多く、埼玉県熊谷市では41・1度と国内の観測史上最高気温を更新。『消防白書』(19年版)によると、熱中症による救急搬送は7月だけで5万4000人以上に上り調査開始以来最多。厚生労働省の統計で同月の熱中症による死亡者数は1000人を超えました。
非常に強い勢力で上陸した同9月の台風21号では、四国や近畿地方を猛烈な風雨や高潮が襲い、最大風速が観測史上第1位を更新したのは53地点に上りました。関西国際空港では強風による高波で浸水被害が起き、近畿圏を中心に8万棟を超える家屋被害がありました。
気象庁は、この年の7月豪雨について、「梅雨前線が、非常に発達したオホーツク海高気圧と日本の南東に張り出した太平洋高気圧との間に停滞した」と、その要因を挙げた上で、「地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあったと考えられる」と発表しました。

影響を抑える
英国の慈善団体「クリスチャン・エイド」が発表した報告書(昨年12月)は、2019年に世界で起きた洪水やハリケーン、森林火災などの自然災害で推定被害額が10億ドル(約1100億円)を超えたものが15件に上ったと発表。うち7件は推定被害額が100億ドル(約1兆1000億円)を超え、日本に上陸した台風19号も挙げています。15件は気候変動と関係しているといいます。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書は、いくつかの極端気象による気候変動のリスク(危険性)は「気温が上昇するにつれて、さらに高くなる」と評価。台風についても、発生する数は減少、あるいは変わらないものの「最大風速および降雨量は増加する可能性が高い」と予測しています。
先のクリスチャン・エイドの報告書は「今後の課題は、温室効果ガスを大幅かつ急速に削減することによって、影響を最小限に抑えることだ」と指摘しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月8日付掲載


2018年の気象災害で最も深刻な被害をうけたのが日本だったなんて衝撃ですね。
住宅や農地の被害だけでなく、高速道路やJR在来線も被害を受けて芸備線、呉線、岩徳線など長期にわたって運休が続きました。

守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機③ マーシャル諸島(下) 核物質漏れ懸念

2020-01-09 09:42:19 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機③ マーシャル諸島(下) 核物質漏れ懸念
「核汚染物質が漏れ出して太平洋に広がるのではないか。疑問や懸念が近隣諸国からも噴き出しています」
2009~11年にビキニ環礁の市長を務めたアルソン・ケレンさんが指摘するのは、マーシャル諸島北西部に位置するエニウェトク環礁ルニット島にある「ルニット・ドーム」のことです。

無責任な大国
米国はビキニとエニウェトクの両環礁で、1946~58年に67回の核実験を行いました。米国はその後、核爆発でできたクレーターに、放射能汚染廃棄物や米本土の核実験場の汚染土を流し込み、コンクリートでふたをしました。
これがルニット・ドームです。米紙によると、オリンピックサイズ(長さ50メートル、幅25メートル)のプール35個分に相当する核汚染物質が格納されています。
70年代につくられ老朽化が進むドームに改めて注目が集まっている背景には地球温暖化の問題があります。海面上昇によって波がコンクリートを浸食し、崩壊の危険があると懸念されています。
「マーシャル諸島は核実験の被害に苦しんできました。今度は気候変動がさらに襲い掛かり、問題が深刻になっています。大国がもたらした二重の被害です」とケレンさんは語ります。
マーシャル諸島政府はルニット・ドームについて米国に対策を要求しています。米政府は、ドームはマーシャル諸島内にあるので責任は同国政府にあるという立場です。
ケレンさんは「自分が汚染物質を捨てて行ったのに、処理の責任はあなたたちが取りなさいというのは、あまりに不当で不正義です。マーシャル諸島が汚染されたのは、米国が核実験をしたからです」と憤ります。



ルニット・ドームの危険性について語るアルソン・ケレンさん=2019年12月30日、マジュロ(島田峰隆撮影)

「正義を追求」
マーシャル諸島の国会は昨年、「国家核戦略」を承認し、ルニット・ドームの危険性と環境への影響を調査する方針を確認しました。同戦略は、2017年に大統領府のもとに発足した「全国核委員会」が作成しました。委員会の任務は米国の核実験に関して補償、医療提供、汚染削減などの「正義を追求する」ことです。ケレンさんも委員の一人です。
批判の高まりを受けて、米国もルニット・ドームの問題を無視できなくなっています。昨年成立した国防権限法には、法律の成立から180日以内に、ドームの状態について議会に報告するようエネルギー省に求める内容が入りました。
ケレンさんは「大きな国でも小さな国でも住んでいるのは同じ人間であり、平和に暮らす権利を持っているはずです。核問題も気候変動も大国が起こした問題です。私たちは正義を追求し続けます」と強調しました。(マジュロ=島田峰隆写真も)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月6日付掲載


マーシャル諸島には地球温暖化の影響だけでなく、アメリカが地上核実験をやっていた時代の負の遺産があるのです。
現地での核爆発だけでなく、アメリカ本土のネバダなどで発生した汚染土を持ち込んでいる。
いくらコンクリート詰めしたといっても、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の石棺が壊れていっているように、経年劣化で放射能漏れ。

守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機② マーシャル諸島(中) お墓も水没の危機

2020-01-08 13:17:52 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機② マーシャル諸島(中) お墓も水没の危機
マーシャル諸島の首都マジュロで働くシーレンド・ライデンさん(23)の家を訪ねました。中心市街地からやや外れたところにある薄いオレンジ色の1階建ての建物です。お墓が置かれた広場を取り囲むように合計7棟の家屋が立ち、人々が協力し合って生活しています。


シーレンド・ライデンさんの自宅前の広場にあるお墓と貯水タンク=2019年12月28日、マジュロ

水不足が心配
マジュロ環礁は小さな島が細長くつながった楕円形をしています。島の幅は一番広いところでも2キロ程度。ほとんどの建物は海のそばです。ライデンさんの家も15メートルほど離れたところに波が打ち寄せています。
「マーシャル諸島の人々にとって土地は先祖が眠る大切な場所です。出ていくことはできません」。海面上昇が進むと環礁に住めなくなる可能性があると言われていることについて、ライデンさんはお墓を指さしながらこう語りました。
マーシャル諸島では土葬が一般的な埋葬法です。住宅街を歩くと庭にお墓を立てている家が多くみられます。ライデンさんは「海面上昇は家だけでなくお墓も削り取り、奪っていきます。心が痛みます」と続けました。
気候変動が原因で深刻化しているとみられる異常気象のうち、マーシャル諸島の人々が特に懸念しているのは雨不足や干ばつです。
マーシャル諸島では雨水をためて生活用水として利用しています。多くの家に雨どいから水を集める貯水タンクがあります。ライデンさんの家が面する広場にも2メートルくらいの高さの青いタンクがありました。
マーシャル諸島政府は、マジュロでも異常気象により雨量が変動し、これまで経験したことのない深刻な干ばつが起きる危険性があるとしています。ライデンさんは「干ばつが頻繁に起きれば水不足が心配です。裕福な人は海水を真水にろ過する装置を使うかもしれません。しかし多くの貧しい人はどうすることもできません」と話します。

人ごとでない
取材していると隣の家のエディ・ジティアムさん(43)が声をかけてきました。気候変動の取材だと伝えると「この家も見てくれ」と言います。「最近は防潮堤を乗り越えて玄関先まで波が来ることがあるよ」と困った様子で強調しました。
ライデンさんは言います。「もしこのまま海面上昇が進むとしたら15年後にはここはどうなっているでしょうか。温暖化を放置すれば海面上昇による被害が東京も含めて世界の大都市でも起きるといわれています。マーシャル諸島の現実を世界の人々が自分のこととして考えてほしい」
(マジュロ=島田峰隆 写真も)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月5日付掲載


マーシャル諸島では、真水の確保もかなり苦労がいるのですね。
山から川が流れてたり、井戸でくみ上げたりでなくって、雨水を貯めている。

守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機① マーシャル諸島(上) 海面 玄関先まで迫る

2020-01-07 10:45:45 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機① マーシャル諸島(上) 海面 玄関先まで迫る
海面上昇、氷河の溶解、大規模化するモンスーン…。温暖化の影響とみられる災害も各地で頻発し、人類の生存を脅かす事態となっています。世界と日本で深刻化する「気候危機」の実態を、現地ルポを含めて紹介します。


<中原聖乃・竹峰誠一郎著『核時代のマーシャル諸』を参考に作成>

マーシャル諸島共和国
太平洋に点在する29の環礁と五つの島で構成。人口約5万8000人(2018年、世界銀行)。面積181平方キロ(霞ケ浦とほぼ同じ)。1885年にドイツ保護領。1914年に日本が占領。45年に第2次世界大戦終結とともに米国が占領、47年に米国を施政国とする国連の信託統治が始まりました。79年に憲法を制定し、自治政府が発足。86年に米国との間で自由連合協定が発効し独立。91年に国連に加盟しました。


「家の扉を開けると目の前に海水が迫っている。これはマーシャル諸島のだれもが毎日のように経験していることですよ」
太平洋の国マーシャル諸島の首都マジュロに住むトニー・アリクさん(30)は海岸を歩きながらこう語り始めました。生ぬるい潮風が吹き付けるなか、真っ青な海が太陽の光できらきらと輝きます。海岸をしばらく進むと、アリクさんの職場の建物前に到着しました。
足元には、湿った赤茶色の海藻が束になって打ち上げられています。
「昨日はここまで海水が押し寄せたということです。5年前には波はこれほど深くまで来なかった」とアリクさん。海藻から建物までは50センチもありません。まさに「家の目の前に海水」です。



職場の建物の前で海面上昇について懸念を語るトニー・アリクさん=2019年12月27日、マジュロ

影響最も深刻
マーシャル諸島の平均海抜は約2メートル。地球温暖化が原因とみられる海面上昇の影響を最も深刻に受ける国の一つです。
「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の昨年の特別報告書は、有効な対策がとられないまま地球温暖化が進むと今世紀末に世界平均の海面水位は最大1・1メートル上昇すると予測しました。過去の報告書では、海面が1麿上昇するとマーシャル諸島の人口の半分が集中するマジュロ環礁(首都マジュロ)の土地の8割が失われると指摘しました。
昨年11月には「キングタイド」と呼ばれる極端に大きな潮の満ち引きが発生し、マジュロでは道路や家が冠水。200人以上が避難を余儀なくされました。台風の巨大化、雨不足、干ばつなどの異変も相次いでいます。
キングタイドはこれまでもみられた現象です。しかしマーシャル諸島政府は国連に提出した文書で「いっそう頻繁に起き、強烈になっている」と指摘。真水に海水が混ざり、生活用水を得るのが難しくなりつつあると強調しました。
アリクさんも「最近のキングタイドはかつてのものとは質が違います」と語ります。



ココヤシの木の根元に押し寄せる波=2019年12月27日、マジュロ

他国の犠牲に
マーシャル諸島政府によると、世界全体の温室効果ガス排出に占める同国の割合は0・00001%にすぎません。それにもかかわらず、石炭・石油などの化石燃料に依存してきた国々が引き起こした気候変動の犠牲者となっています。
アリクさんは語ります。「私たちは自分たちがつくってもいない問題に苦しめられています。(地球温暖化対策の国際条約)パリ協定から離脱した米政権にはがっかりです。お金もうけのことばかり話している時ではない、ここでは人間の命にかかわる事態が進んでいるんだということを言いたいです」(マジュロ=島田峰隆 写真も)(つづく)、

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月4日付掲載


一番弱い立場に置かれている人々が、地球温暖化の影響を受ける。
住み続けることさえできなくなる。温暖化ガス排出ゼロを緊急に。




激動2020 経済キーワード

2020-01-05 16:46:41 | 経済・産業・中小企業対策など
激動2020 経済キーワード
経済のデジタル化が急速に進む中、2020年代の幕が開けました。変化する経済社会をキーワードで読み解きました。

プロファイリング
■個人を差別・選別

個人情報をコンピューターで自動的に分析して人物像を推定し、評価・差別・選別する手法を「プロファイリング」と呼びます。
スマートフォンを使った通信や経済活動が拡大するにつれ、IT企業が膨大な個人情報を蓄積するようになっています。分刻みの位置情報やサイトの閲覧履歴、商品の購買履歴、通信履歴、交友関係などをすべて記録しています。中国や米国ではこれらの膨大な個人情報をもとにしたプロファイリングが生活の隅々に浸透し、社会的差別や排除を引き起こしています。
日本でも、就職情報サイト・リクナビを利用する学生らが知らないうちに「内定辞退率」を算出されていたことが発覚し、大問題になっています。

デジタルトランスフオーメーション(DX)
■新たな格差も

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、高度なデジタル技術を駆使することによって、従来の企業組織や社会のルールが変わり、新たな事業モデルが展開されることを指しています。
経団連の中西宏明会長は「単に規制緩和を要望するだけではなく、新たな産業構造をつくっていくことが目標」として▽公共データのオープン化▽データ連携基盤の構築▽情報銀行の推進―などを求めています。
政府は、2030年に実質GDP(国内総生産)130兆円超の押し上げ効果を期待しています。しかしDXには、情報管理上の問題だけでなく、「使い捨て労働」の拡大など、新たな格差と貧困をもたらす危険性を含んでいます。

プラツトフォーム労働者
■個人事業主扱い

情報技術(IT)企業がインターネット上で提供する基盤(プラットフォーム)を通じて、企業や個人から仕事を請け負って働く人を指します。
個人事業主とされ、労働法制の保護を受けません。しかし、実質的にIT企業の指示を受けるなど雇用に近い働き方をしています。
一般人が自家用車で他人を輸送するライドシェア(白タク)や家事代行など、職種はさまざまです。
日本で増えているのが、スマートフォンのアプリを介して飲食物の配達を仲介する「ウーバーイーツ」です。配達中の事故でも労災保険が適用されない、運営企業が一方的に報酬を引き下げるなど、問題となっています。低収入で長時間働く人も少なくありません。



自転車で走るウーバーイーツの配達員=東京都渋谷区

CASE(ケース)
■次世代自動車技術

次世代の自動車技術のことです。英語の四つの言葉、コネクテッド(接続)、オートノマスまたはオートメーテッド(自動運転)、シェアド・サービス(共有・サービス化)、エレクトリック(電動化)の頭文字を並べた造語です。
コネクテッドはインターネットとの常時接続です。車両の状態や道路状況などさまざまなデータを集め、インターネットを通じて車両や運転者に情報を提供します。
シェアド・サービスは、1台の車両を複数の利用者が共有したり、共有サービスを提供したりすることを意味します。
自動車産業のあり方を大きく変えるものとしてメーカーが開発を競っています。経済産業省は2020年度予算案に蓄電池の技術開発など関連経費を計上しています。



家電見本市シーデックで実証実験が行われた自動運転車=2019年10月、千葉・幕張メッセ

富裕税
■世界で要求高まる

貧富の格差が拡大しています。10億ドル(約1090億円)以上の資産保有者は2019年、世界で2153人。総額は8・7兆ドル。上位10氏に巨大IT企業の経営者が並びます。富の偏在を正すため超富裕層から税を徴収すべきだとの声が世界で高まっています。
米大統領選挙に名乗りをあげている民主党のサンダース、ウォーレン両上院議員が富裕税の導入を公約に掲げています。国際通貨基金(IMF)は19年の日本に関する年次報告書の中で富裕税導入の検討を求めました。
日本共産党は、消費税に頼らない財源提案の中で富裕税の創設を求めています。金融資産や不動産などを対象に純資産で5億円を超える部分に低率で毎年課税します。


2019年の10億ドル以上資産保有者世界上位10氏と日本上位2氏
(米誌『フォーブス』調査)

順位名前企業、事業など保有資産(億ドル)
ジェフ・ベゾス米国アマゾン・ドット・コム1310
ビル・ゲイツ米国マイクロソフト965
ウォーレン・パフェット米国パークシャー・ハサウェイ(投資事業)825
ベルナール・アルノーフランスLVMH(高級品小売業)760
カルロス・スリム・ヘルメキシコ通信事業640
アマンシオ・オルテガスペインザラ(アパレル)627
ラリー・エリソン米国オラクル(ソフトウエア事業)625
マーク・ザッカーバーグ米国フェイスブック623
マイケル・ブルームバーグ米国ブルームバーグ(情報サービス)555
10ラリー・ペイジ米国グーグル508
 
41柳井正日本ファーストトリテイリング222
43孫正義日本ソフトバンク216


マイナポイント
■カード普及に利用

マイナンバーカードの取得を条件にキャッシュレス(非現金)で支払えば、現金代わりに使えるポイントを付与・還元する制度です。2万円の支払いに対する5000円分のポイントが上限。政府は消費活性化とマイナンバーカードを普及するためとしています。
ポイントを利用するためにはマイナンバーカードを取得するだけでなく、パソコンやスマートフォンを使って登録し、識別記号(マイキーID)を得ることが必要です。
2019年12月15日現在、マイナンバーカードの交付は1871万枚、マイキーID取得者は4万人にも届きません。恩恵が一部の人に限られる不公平さに加え、マイナンバー流出や犯罪を誘発しかねない愚策です。

BAT(バット)
■中国のlT大手

中国のIT(情報技術)関連の巨大企業3社の総称。検索エンジンを運営するバイドゥ(Baidu=百度)、電子商取引や物流を展開するアリババ(Alibaba=阿里巴巴集団)、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を提供するテンセント(Tencent=騰訊)の頭文字を組み合わせました。
これに通信機器を製造・販売するファーウェイ(HuaWei=華為技術)を加えた4社を、BATH(バース)と総称することもあります。
米国は、これら中国勢の伸長がIT分野での米国の優越的地位を脅かすと警戒。特に、次世代移動通信システム(5G)導入の主導権を中国勢に取らせまいとしています。

グローバル・サプライチエーン
■コスト削減競争

多国籍企業が形成する生産・流通・販売の多国間ネットワークをグローバル・サプライチェーン(国際供給網)と呼びます。
多国籍企業は最もコストの安い場所で原材料や労働力を調達し、部品や製品の生産を行う最適地生産戦略をとります。賃金や社会保険料、労働者保護規制、法人税負担などを徹底的に切り下げるべきコストとみなし、生産拠点や資金を国際的に移転させます。
労働条件や法人税率を切り下げる「底辺への競争」を引き起こしています。
生産は途上国・新興国の下請け企業に外部委託されることが多く、労働者への人権侵害が横行しています。人権尊重のための法的拘束刀を持つ条約の制定が、国連人権理事会で議論されています。

優越的地位の乱用
■通販業で問題に

優越的地位の乱用は不公正な取引方法の一類型として独占禁止法で禁止されています。公正取引委員会の定義によると、「取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為」をいいます。
近年、アマゾンや楽天といった巨大IT企業がインターネット通信販売などの事業の基盤を握り、中小企業を中心とする出店業者との取引条件を支配するようになっています。これらのIT企業は一方的な規約の変更で手数料を引き上げたり、罰金を導入したりして、出店業者に不利益を与えています。こうした行為は優越的地位の乱用に当たるとの指摘があります。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月3日付掲載


デジタル技術の発展で、可能性も見えてきますが、格差も生まれています。
富裕税などは、財源確保のための有用な方法の一つとして注目されています。
労働者の労働条件の確保やネット通販への出店業者の取引条件なども守っていかないといけません。