きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

子どもの心に栄養を 戦争下に弾圧受けた先人たちの苦労に学ぶ

2020-06-14 15:13:49 | いろんな取組み
子どもの心に栄養を 戦争下に弾圧受けた先人たちの苦労に学ぶ
影絵劇団「角笛」代表 白石武士さん

コロナ禍のもと、公演再開をめぐって、文化芸術分野で模索が続いています。57年の歴史を持つ影絵劇団「角笛」にとっても試練のとき。代表の白石武士さんに思いを聞きました。
板倉三枝記者



撮影:野間あきら記者

劇団「角笛」は、1963年に創立して以来、影絵ひとすじ。「子どもたちに最高のものを」と「ごんぎつね」や「ないた赤鬼」など、不朽の名作をシルエットにのせて届けてきました。北海道から沖縄まで全国を巡演。海外公演も十数力国にのぼります。
公演数は、年間約130ステージ。ところが今年は2月末、国が「一律休校」を打ち出してから7月末までの5カ月間に47ステージが中止になりました。劇団は今、休業を余儀なくされています。
10人の劇団員は自宅待機。「体だけ、なまらないように」と声をかけ、持続化給付金と雇用調整助成金で補いながら、給与を満額払い続けています。
「私たちの仕事は、人を育成するところから始まります。スキルを持った人たちを解雇して、再開するときに全く経験がない人を集めても、すぐに舞台はつくれない。一日一日の積み重ねなんです」
最近、ほかの児童劇団と近況を交流する機会が増えました。
「皆さん、学校公演の集中する秋にかけています。子どもたちを前にお芝居ができる日を楽しみに、新しい演目や思いを込めた脚本を書いて、着々と準備を進めています」
「角笛」も、今年は「ももたろう」を平和的にアレンジしたオリジナル作品を上演する予定でした。でもその機会はないまま、秋の公演もキャンセルが入り始めています。



劇団「角笛」のオリジナル作品「ももたろう」

「おとな向けの劇団もそうでしょうが、児童劇団は蓄えというものがありません。みんなが声をあげて、第2次補正予算案に文化芸術への支援が盛り込まれたことは励みになりました。でもまだ規模は小さいと思います。再開の日まで何とか活動が続けられるように支援をお願いしたい」
「劇団の仕事は農業に似ている」とも。
「子どもたちは、お米や野菜を誰が作ったかは知りません。でも、そのおかげで生きています。われわれも作品が子どもたちの心の栄養になると信じて種をまき続けています。文化とは、そういうものじゃないでしょうか」
政府から自粛要請があった時、この1月の人形劇団「プーク」の創立90周年パーティーでの話を思い出した、と話します。
「プークさんは太平洋戦争をくぐりぬけ、弾圧を受けながらも自分たちの表現を絶やさないように頑張ってこられました。私たちも今、コロナ禍という後世に語り継がれる時代を生きています。でも爆弾が落ちてくることはない。沈んでばかりはいられません。大変な時ですが、先輩に学び、前向きに乗り切りたいと思います」

「しんぶん赤旗」日曜版 2020年6月14日付掲載


コロナ禍で、おとなも子どもも、心にストレスがたまってきている時だけに、“希望を届ける”、“心に栄養を”ってことが大事ですね。
今は、その準備を着々と進めている時期。
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経済の危機 識者は語る③ 富の再配分に活用

2020-06-13 07:26:21 | 経済・産業・中小企業対策など
経済の危機 識者は語る③ 富の再配分に活用
前駒澤大学教授 小栗崇資さん

今のようなときこそ、大企業は、国民の生活保障(雇用保障や休業補償)のために内部留保を活用すべきです。
しかし、企業が内部留保を取り崩すことができない制度上の問題があります。会社法では、内部留保(利益剰余金)は株主のものと解釈されます。株主の権利として剰余金への請求権があり、剰余金から配当が行われます。他方、非営利の組織では、剰余となった積立金を取り崩して、非営利目的の事業に使うことができます。国民が貯金を下ろして使うのと同じことが、非営利組織では可能です。
企業では、それは認められません。仮に、蓄積分の内部留保を取り崩して、増加分の収益に戻すことができても、それに利益として再び課税されます。また、毎期の業績(損益)を適正に測るという会計の原則をも崩します。現状は、いったん内部留保となったものを取り崩すのは難しいのです。



「内部留保で賃金上げろ」「新型ウイルス感染拡大から雇用と生活を守ろう」と呼びかける人たち=3月5日、東京・新宿駅前

非常時の対策
ですが、国民生活の危機には、非常時の救国策が求められます。社会的に要請される支出には、非営利組織のように、内部留保を取り崩して充てることを認めるべきです。取り崩しによる戻し益を使って、新型コロナ対策費に同額を充てることができれば、収支相応なので、企業は課税もされないし、損益計算にも響きません。正規労働者の賃金・雇用保障だけでなく、非正規の雇用に対する保障や取引先・下請けの事業支援などに、内部留保の取り崩し益をコロナ対策費として有効に使えれば、企業の社会的責任を大いに発揮します。
これは、企業のあり方を変える大きな一歩となります。株主中心の企業から、すべての利害関係者のための企業への大きな転換です。コロナ危機収束後に、再び新自由主義的な経済ではなく、国民主体の新しい経済へと変えていく方策の一つとして、内部留保の社会的活用の枠組みをつくることが重要です。

内部留保課税
企業の自発性に期待する策の他に、内部留保への課税も考えられます。コロナ禍に対する緊急支援策等には、多大な財源が必要です。コロナ禍が去った後の、所得税・法人税への特別賦課や資産課税の導入などが論議されていますが、内部留保課税も検討すべきです。
内部留保課税は、1929年大恐慌後のアメリカで、経済復興をめざすニューディール政策の一環としてつくられました。近年では、台湾や韓国でも実施されています。これらは、毎期の内部留保の増加分への課税ですが、今は非常時として内部留保の蓄積分に臨時に課税して、偏在する富を破綻寸前の雇用や経営に再配分してはどうでしょうか。
仮に、234兆円の大企業の内部留保に20%の課税をした場合、さまざまな控除や資金繰りについての考慮(分割納税等)が必要ですが、単純計算では47兆円の税収が生まれます。これに、富裕層の所得への特別課税を組み合わせれば、50兆円以上の財源を期待できます。かなりの負担ですが、富を分かち合い助け合うことができれば、国民は一致協力して新型コロナとたたかうことができるでしょう。
(この項おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年6月11日付掲載


企業は株主への責任という点で、簡単に内部留保を取り崩すことはできないんですね。
でも、非常時の対策、社会的に要請される支出として、認めるべきです。
コロナ後は、社会の仕組みが変わったと言えるように。
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危機の経済 識者は語る② 「内部留保の出番」

2020-06-12 06:30:12 | 経済・産業・中小企業対策など
危機の経済 識者は語る② 「内部留保の出番」
前駒澤大学教授 小栗崇資さん

上場企業が3月期決算の発表をしていますが、新型コロナの影響で多くの企業の業績が悪化しています。20年1~3月期では上場会社4社に1社が最終赤字となり、通期では純利益は前期比28%減です。東日本大震災以来の大幅な業績悪化です。
そうした業績悪化の中で影響の大きい航空業界や観光、ホテル、サービス業界の中には、経営が困難になり資金の借り入れに動く企業も出てきており、コロナ危機が企業の財務構造を直撃しています。
積み上がった内部留保と資金の関係はどうでしょうか。図は、大企業の内部留保(利益剰余金)、投資有価証券(長期)、有価証券(短期)、現金・預金の推移を示したものです。
2000年を前後して、利益剰余金と投資有価証券が急増し、08年以降は現金・預金も上昇しています。内部留保が長短の有価証券や現金・預金の蓄積に向けられていることは一目瞭然です。




手元資金潤沢
現金・預金と売却可能な有価証券を合わせたものが、手元流動性という支払い能力を表す指標ですが、図の現金・預金と短期の有価証券はそれに相当します。さらに長期の投資有価証券の中にも売却可能なものが含まれています。日本経済新聞(4月24日付)によれば、日本の上場企業の手元流動性が総資産に占める比率は過去最高の12%で、世界の企業の6%の2倍にものぼるといいます。企業や業種によって明暗はありますが、全体としてみれば日本の大企業の手元資金は潤沢であると見なければなりません。
内部留保を蓄えてきた大企業ですが、それを取り崩さずに資金繰りのために金融機関からの借り入れを行おうとする傾向も見られます。トヨタは分厚い内部留保のもとに多くの金融資産を保有しているにもかかわらず、三井住友や三菱UFJから資金の借入枠1兆円の契約を結びました。また日銀も社債やコマーシャルペーパーを無制限に購入することを明らかにしており、多くの企業が内部留保に手を付けずに借り入れで資金を動かそうとしています。
この間の内部留保の激増は、1990年代不況の体験やグローバリゼーションへの危機感から生まれたともいわれており、コロナ危機の中でこそ内部留保の出番が求められているといわねばなりません。

配分し直しを
内部留保の厚い企業はコロナ危機の中でも、それを乗り越える力を蓄えており、内部留保を労働者の給付や雇用、下請け企業への支援に活用する力をもっています。
そもそも大企業の内部留保の大半はすでに見たように、人件費の削減や法人税減税から生まれたもので、90年代後半から新自由主義的な政策のもとにつくられたものです。それは富の一方的な蓄積を生み、富の偏在による格差社会をもたらすものとなりました。ゆがんだ形で積み上がった富を、コロナ危機の中で配分し直すことが求められています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年6月10日付掲載


経済連や大企業は、「内部留保といってもいますぐ使える現金があるわけではない」とよく言っていましたが、日本の企業はその今すぐ使えるお金の比率が高まっている。
コロナ禍のもと、雇用維持のためにいまこそ「内部留保」の活用ですね。
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危機の経済 識者は語る① 内部留保の形成 激変

2020-06-11 07:49:30 | 経済・産業・中小企業対策など
危機の経済 識者は語る① 内部留保の形成 激変
前駒澤大学教授 小栗崇資さん

新型コロナウイルスがもたらすかつてない危機に日本は直面しています。コロナ禍がもたらす国民生活の危機を打開するには抜本的な対策が求められますが、そのためには多大な財源が必要です。そうした財源の一つとして考えるべきは内部留保の活用です。
内部留保には狭義と広義があり、当期純利益から配当を差し引いて企業内に蓄積される利益の分を狭義の内部留保、新株発行等から生じる剰余の分を広義の内部留保といいます。
ここでは狭義の内部留保である利益剰余金について検討します。内部留保(利益剰余金)は昨年3月までの時点で、日本企業全体(280万社)では463兆円、大企業(資本金10億円以上、約5000社、金融・保険業を除く)では234兆円に達しています。内部留保がどのように形成され、どのように使われたかを見ることが重要で、活用を考えるヒントになります。




01年度を境に
大企業の内部留保の動向について見ると、2000年度以前は、売上高増加で生まれた利益から形成され、設備投資に使われました。その結果、設備投資(有形固定資産)は、01年度にピークに達しています。しかし、それ以降の内部留保の形成と使途は激変しています(図)。
01~18年度は、それまでと比べて2・8倍の膨大な内部留保が形成されましたが、内部留保の要因は売り上げ増ではありません。売上高は伸びないのに、なぜ多額の利益が生まれ、内部留保が激増したのでしょうか。
要因は二つあります。一つ目の要因は人件費の削減です。従業員1人当たりの給付(給与十福利厚生費)は01年度をピークに減り続けています。ピークと比べて削減された分を合計すると82兆円に達します。そうした人件費の削減分が内部留保に回ったと見ることができます。二つ目の要因は法人税の減税です。法人税は1997年度まで37・5%でしたが、その後、消費税増税と抱き合わせで段階的に引き下げられ、現在では23・2%まで低下しています。大企業が減税により払わずに済んだ分を合計すると46兆円です。税負担を免れた分がやはり内部留保に回ったと考えられます。



トヨタ自動車本社=愛知県豊田市

投資向かわず
そうして生まれた内部留保の使途は設備投資ではありません。設備投資はピークから5%減少しており、それに代わって内部留保は金融投資や自社株買い、子会社投資、海外投資に使われています。内部留保が設備投資に投入され雇用を生むのを「良い内部留保」だとすれば、金融投資や他の投資に回るだけで雇用や市場拡大につながらない内部留保は「悪い内部留保」です。今日の内部留保は労働者の犠牲と国民の負担によって作られた「悪い内部留保」といわなければなりません。そうした内部留保をどのように社会的に活用することが可能でしょうか。(つづく)

「しんぶん赤旗日刊紙 2020年6月9日付掲載


「良い内部留保」と「悪い内部留保」って言い方があるって、おもしろい分析ですね。
売り上げは伸びなくても、人件費を削って、税金をまけてもらって内部留保を積み増す。
設備投資や雇用には回らない。
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キーワードで見る資本論⑨ 「第13章 機械と大工業」 自然と物質代謝の撹乱(かくらん)

2020-06-10 07:58:52 | 働く権利・賃金・雇用問題について
キーワードで見る資本論⑨ 「第13章 機械と大工業」 自然と物質代謝の撹乱(かくらん)
マルクスが生きた時代は、18世紀にイギリスで始まった「産業革命」から間もない時期であり、現在のような地球的規模での環境破壊はまだ問題になっていませんでした。しかし、マルクスは『資本論』で利潤第一主義の資本主義的生産が環境を破壊することを指摘しています。
「資本主義的生産は、…人間と土地とのあいだの物質代謝を、すなわち、人間により食料および衣料の形態で消費された土地成分の土地への回帰を、したがって持続的な土地豊度の永久的自然条件を撹乱する」(新版③880~881ページ)「物質代謝」とは生物学の用語で、生物が生きるうえで必要な物質を体内に取りいれ、不要になった物質を体外に排出することです。「土地豊度の永久的自然条件を撹乱する」とは、利潤第一の無秩序な農業生産で土地の栄養分が減って荒地になり、持続性がなくなることをさします。当時、環境破壊は農地の荒廃という形で問題になっていました。




資本主義の時代に入って、地球全体で急速に森林が破壊され、減少したうえ、「生産のための生産」によってエネルギー消費量が急激に膨張し、温室効果ガスの大気中への大量排出で地球的規模での「気候危機」が引き起こされています。
さらに、人間による無秩序な生態系への侵入、環境破壊によって動物と人間の距離が縮まり、動物の持っていたウイルスが人間に新たな感染症を次々と引き起こすことが指摘されています。
利潤第一主義による自然環境の破壊という人類的課題を打開しようと、各国でいま運動が起きています。もし資本主義社会がもうけ最優先に走り、この問題を解決できないなら、21世紀に生き残る資格が間われます。
生産者が、自然との物質代謝を合理的に規制し、自分たちの共同管理のもとにおくという未来社会の姿は、『資本論』第3部にも登場します。
(猛)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年6月8日付掲載


生産者が主人公となる社会主義・共産主義社会になったからといって、物理的な問題として、人類の自然へ負荷や感染症のリスクは減らないよって疑問。
問題は、生産力が向上していく中で、環境負荷、感染リスクなどをどのように制御できるかってことが問われます。
生産手段を社会的に管理するのは労働者たち。その能力が問われるのです。
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