きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

大人の旅は軽やかゆったり 50代から ひとりでどこへでも

2024-03-20 07:10:31 | 赤旗記事特集
大人の旅は軽やかゆったり 50代から ひとりでどこへでも
最近、何かと話題の大人のひとり旅。子育ても一段落し、「行ってみたいな」という人も多いのでは?旅の達人でもあるスタイリストの地曳いく子さんが『50代からの大人ひとり旅』を出版しました。大人世代のひとり旅のコツ、魅力を聞きました。
菅原久仁栄記者



じびき・いくこ=1959年生まれ。スタイリスト。
バッグや洋服のプロデュースやトークショー、テレビ、ラジオでも活躍中。『60歳は人生の衣替え』(集英社)など著書多数




荷物は少なく ワンピース・フラットシューズ・ストールが“三種の神器”
―旅は好きだけど、どの服を持っていくか選ぶのが面倒という人も多いです。
持っていくと安心なファッションアイテム「三種の神器」は「ワンピース、フラットシューズ、2種類のストール」です。
ワンピースは着ていてラクで、コーディネートを考えなくていい。最強です。冬ならニットやジャージー素材のワンピースを、夏ならTシャツ素材のものがしわになりにくくてお勧めです。朝起きたら、さっとかぶるだけ。ストールやアクセサリーを合わせれば何通りものおしゃれを楽しめます。ワンピースを2枚も持っていけば、おしゃれの幅が広がります。アクセサリーはネックレスかブローチなど、お気に入りのものが1個あれば十分。いっぱい持っていくと行方不明になります。(笑)
靴は、履いていくもの以外に「つっかけ」(ビーチサンダルでも)を持っていくと、ホテルでの室内履きや、ちょっと出かけるときに便利です。ストールは防寒対策にもなりますし、1枚足すだけでガラッとイメージが変わります。



・シンプルなワンピースも、ネックレス、スカーフでおしゃれ度アップ
・スカーフは巻き方次第で雰囲気が変わります
・スカーフに黒のフラットシューズ
・旅には欠かせない折りたたみ式ハンガーとスプレーボトル


好きなこと再発見する機会
ワンピースのしわを取るのに威力を発揮するのが、小さなスプレーボトルです。夜、ワンピースをハンガーに掛けて水を一吹きするだけ。朝には、たいがいのしわが消えています。
小さな折りたたみ式ハンガーも必須です。下着などはホテル備え付けのボディーシャンプー数滴で洗って干せば、持っていく枚数が少なくて済みます。シャンプーなども備え付けのもので十分。メーク道具もファンデーションやリップ、アイブロウなど、最小限で大丈夫です。
荷物が少ないと、帰るときも、家で荷解きするのもラクです。お土産も自分用だけでいいと思います。

ランチ満喫♪
―ひとり旅で困るのは食事です。「ランチにこそお金をかけよう」はいいですね。
地域や国によっては女性一人では入るのがはばかられる店もあります。でも、ランチなら一人でも平気。夜のメニューよりお値打ちでお得な感じもうれしい。夕食は、デパ地下などで人気のお弁当を買ったり、スーパーマーケットで買ってきてホテルで食べるのもいい。安全対策にもなりますよね。
国内旅行では、その土地ならではのおつまみと地酒を買い、部屋で「ウルトラプチぜいたく」を満喫し、明日のために早めに休みます。
―「無理しないのが大人旅の基本」と強調しています。
温泉に行くのが目的だけどランニングもしようかな、などと欲張ると、ロクなことはありません。スケジュールにはゆとりを持ちたいですね。
1日に1~2時間、カフェでお茶を飲むぐらいのゆとりを持つと、疲れ方が全然違ってきます。私は、知らない街のカフェで店内の雰囲気を楽しみながらお茶をするのが大好き。立派な観光です。

まずは日帰り
―50代からのひとり旅。どんな旅がお勧めですか。
子育て中は行けなかったヨーロッパの美術館、国内の温泉巡り、まずは日帰りでバスツアーに参加するのもいいですね。好きな有名人を応援する「推し活」もお勧めです。私も先月、歌舞伎の坂東玉三郎さんの公演に行きました。こんな旅なら一人でも楽しめます。
慣れ親しんだ日常を離れ、気持ちをリセットできるのが、旅の魅力です。50代以降は、自分が好きだったことをもう一度、発見する機会にもなります。
旅先でも、あいさつと「ありがとう」は忘れずに。楽しい思い出がまた一つ増えますよ。

「しんぶん赤旗」日曜版 2024年3月10日・17日合併号掲載


持っていくと安心なファッションアイテム「三種の神器」は「ワンピース、フラットシューズ、2種類のストール」。
ひとり旅で困るのは食事です。「ランチにこそお金をかけよう」はいいですね。
温泉に行くのが目的だけどランニングもしようかな、などと欲張ると、ロクなことはありません。スケジュールにはゆとりを持ちたい。
慣れ親しんだ日常を離れ、気持ちをリセットできるのが、旅の魅力です。50代以降は、自分が好きだったことをもう一度、発見する機会に。
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目で見る経済 「明るい兆し」の実像② 貧しくなる年金生活者

2024-03-19 07:09:33 | 経済・産業・中小企業対策など
目で見る経済 「明るい兆し」の実像② 貧しくなる年金生活者
株価高止まりの一方で、生活苦に直面しているのは労働者だけではありません。少ない年金で生活している高齢者も深刻です。「賃上げ」を強調する岸田文雄政権が年金に言及しようとしないのは、欺瞞(ぎまん)的です。
2012年以降の自公(安倍晋三・菅義偉・岸田)政権は、公的年金の支給水準を切り下げ続けてきました。昨年10月30日の衆院予算委員会で日本共産党の宮本徹議員は、11~23年の12年間で年金生活者の実質可処分所得が年23万円も目減りしたと指摘しました。(図1)





岸田文雄首相ら閣僚に質問する宮本徹議員(左端)=2023年10月30日、衆院予算委

実質可処分所得とは、実収入から直接税と社会保険料を差し引き、物価変動の影響を加味した、家計の判断で消費に回せるとされる金額のことです。年金生活者の実質可処分所得は三つの要因で減ってきました。
第一は自公政権による年金支給額の削減です。13年度以降の改定で年金額は実質7・5~7・8%も減らされました。岸田政権は年金額を22年度に「賃金スライド」で0・4%引き下げ、23年度と24年度に「マクロ経済スライド」で実質0・7~1・0%引き下げました。
第二は社会保険料の引き上げ、第三は消費税増税を含む物価の急上昇です。
こうして国民の実質可処分所得は低下し、生活への不満が募っています。
内閣府「国民生活に関する世論調査」によると、直近の昨年11月調査で「全体として見ると、現在の生活にどの程度満足していますか」の問いに「不満」「やや不満」を合わせた回答が50・7%に上りました(図2)。同様の回答は21年以降4割台に乗り、今回は過去最多だった22年(47・8%)を更新し、初の50%台です。




賃金スライドとマクロ経済スライド
賃金スライドは、年金改定率を賃金変動率に合わせ、物価変動率より低く抑える仕組みです。マクロ経済スライドは、少子高齢化の進展に合わせて年金支給水準を引き下げるもので、物価・賃金の上昇率より年金改定率を低く抑えることを狙った仕組みです

「失われた30年」からの脱却をうたう岸田文雄政権の「目玉」政策は、一度限りの所得税減税とお粗末です。一方で岸田政権は国民の実質可処分所得を減らす恒久的な政策を連打しています。▽年金減額▽後期高齢者医療保険料や国民健康保険料(税)の引き上げ▽インボイス増税▽異次元金融緩和による円安誘導―などです。
大企業優遇から、国民生活優先へ政治の流れを変えることが求められます。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月16日付掲載


昨年10月30日の衆院予算委員会で日本共産党の宮本徹議員は、11~23年の12年間で年金生活者の実質可処分所得が年23万円も目減りしたと指摘。
年金生活者の実質可処分所得は三つの要因で減ってきました。
第一は自公政権による年金支給額の削減。
第二は社会保険料の引き上げ、第三は消費税増税を含む物価の急上昇。
大企業優遇から、国民生活優先へ政治の流れを変えることが求められます。
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目でみる経済 「明るい兆し」の実像① 株高も実質賃金低下 苦境続く国民生活

2024-03-18 10:36:56 | 経済・産業・中小企業対策など
目でみる経済 「明るい兆し」の実像① 株高も実質賃金低下 苦境続く国民生活
岸田文雄首相が国会で「経済の好循環」に向けて「今30年ぶりに賃上げも株価も投資も明るい兆しが出てきている」(5日、参院予算委員会)と強調しています。日本共産党・田村智子委員長の質問への答弁です。4日に日経平均株価が4万円を突破して以降、高止まりする株価を念頭に置いての発言と思われますが、現実はどうでしょうか。
(山本健二)



岸田文雄首相(左)らに質問する田村智子委員長=3月5日、参院予算委

株価と比べて、賃上げの状況は岸田首相の期待ほど芳しくありません。
厚生労働省が7日に発表した1月の「毎月勤労統計」(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金(現金給与総額)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から0・6%減少しました。2022年4月から、22カ月連続のマイナス。名目賃金は同2・0%伸びましたが、その分を物価上昇が上回った格好です。
21年1月以降の名目賃金、実質賃金の増減の推移をみると(図1)、同年11月から実質賃に入るとその差の広がりが顕著になります。消費者物価が上昇しているからです。
総務省が発表する全国消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合、20年=100)を見ると(図2)、21年9月を境に、それまで低下傾向だった指数が上昇に変化。直近の今年1月まで29カ月連続で上昇しています。ロシアのウクライナ侵略を背景にした食料品やエネルギーをはじめとした原材料価格の高騰に加え、異常な円安加速の影響です。






物価高などを受けて消費支出も低迷。総務省の家計調査によると、23年の1世帯(2人以上)の消費支出は月額平均29万3997円(2・6%減)。3年ぶりに前年を下回りました。消費の低迷が、日本経済全体を停滞させています。
円安加速の背景に、異次元の金融緩和があります。日本で低金利を維持した結果、米国との金利差から円売りドル買いが進み、円安に拍車がかかったのです。
賃金低迷と物価高騰で苦しむ労働者を尻目に、大企業の当期純利益は増え続けています。大企業が空前の利益を上げている背景にも、円安加速があります。輸出企業や多国籍企業が、海外で上げた利益がさらに膨らむからです。
大企業を優遇する政治が、株価高騰など「明るい兆し」をもたらす一方、国民生活を苦しめ、日本経済を低迷させているのです。
(つづく、2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月15日付掲載


株価と比べて、賃上げの状況は岸田首相の期待ほど芳しくありません。
厚生労働省が7日に発表した1月の「毎月勤労統計」(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金(現金給与総額)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から0・6%減少。2022年4月から、22カ月連続のマイナス。名目賃金は同2・0%伸びましたが、その分を物価上昇が上回った。
物価高などを受けて消費支出も低迷。総務省の家計調査によると、23年の1世帯(2人以上)の消費支出は月額平均29万3997円(2・6%減)。3年ぶりに前年を下回りました。消費の低迷が、日本経済全体を停滞
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「タバコ問題」実は「政治問題」 国が喫煙者に仕立て上げて

2024-03-17 07:07:54 | 政治・社会問題について
「タバコ問題」実は「政治問題」 国が喫煙者に仕立て上げて
国民がきれいな空気を吸う権利を求めて、嫌煙権運動を始めてから46年。社会の至る所で禁煙が進んでいますが、いまだ政治とタバコをめぐる問題には課題があります。長年にわたりタバコ問題を追及してきた、渡辺文学さんが『日本の嫌煙権運動45年史』(花伝社)を出版。タバコをめぐる現状と今後について聞きました。(横田和治)

『日本の嫌煙権運動45年史』の著者 渡辺文学さんに聞く




わたなべ・ふみさと 1937年生まれ。禁煙ジャーナル編集長、日本禁煙学会理事など務める。著書に『タバコの害とたたかって』(大日本図書)など多数。

46年前、日本の成人喫煙者は男性が75%、女性が15%で、職場や新幹線、学校、病院などどこでも喫煙可能でした。
この状況に対し、国・国鉄・日本専売公社を相手に、国鉄車両半数以上の禁煙化などを求めたのが嫌煙権訴訟です。
当時から、日本のタバコをめぐる状況は、世界的に非常に遅れていました。「健康を害するタバコ産業と国が密接に関わること自体おかしいのですが、国連やWHO(世界保健機関)がタバコ産業との連携を拒否する中、『日本たばこ産業(JT)』の筆頭株主は財務省で、保有株は33%にもなります」と渡辺さん。
さらにJTは、ロシアで事業を行っているため、毎年3000~4000億円もロシアに納税しています。「事業はウクライナ侵攻後も継続しており、海外からも批判されています」
タバコと戦争の関係性は密接です。日露戦争では戦費調達のために、タバコの完全専売制が敷かれました。日露戦争が始まった1904年でした。
「反戦・平和の問題に取り組んでいる人々は、今の政府・自民党の軍備拡張路線にも反対ですよね。タバコ専売制の歴史を鑑みて、禁煙に踏み出してほしいです」


「日本のタバコ事情」45年比較リスト
 1978年2023年
成人喫煙率男性=75.0%
女性=15.0%
男性=27.0%(22年)
女性=7.0%(22年)
加熱式タバコ0本522億本(22年)
病院78年に国立病院の待合室が初めて禁煙に。それまで野放し状態病院内禁煙は常識に
地下鉄駅ホーム・構内ともまったく規制なし1988年以降駅構内終日全面禁煙に
(『日本の嫌煙権運動45年史』から作成)


煙を憎んで人を憎まず
2022年の成人男性喫煙率は27%、女性は7%にまで低下。しかし一方で、加熱式タバコは522億本も売れています。この状況に渡辺さんは、「健康を害す危険性がないと思われている」と話します。
「加熱式タバコは、確かに紙タバコよりニコチンやタールの量は少ないですが、ゼロではありません。最近の研究では、人体への悪影響もわかってきています。粘り強くこの事実を伝えていくとともに、喫煙場所をつくるJTの動きにも真っ向から対峙していきたい」
現在、JTは「愛煙家のために」という名目で喫煙場所を各所に設置。しかし、その後の維持費は公的資金から出されるなどの問題があるほか、「喫煙場所の設置が、多くの中毒者を生み出す危険がある」と指摘する渡辺さん。「“愛煙家”というのはJTが作り上げた虚像で、私から言わせれは“哀煙家”です」と語ります。
「大切なのは『煙を憎んで人を憎まず』。世の喫煙者は、ほとんどがやめたいと思っています。
しかし、国が構造的に喫煙者に仕立て上げている。JTの喫煙所設置もその一環です。自民党のたばこ族議員は、せっかく作り上げた禁煙政策を骨抜きにしています」
渡辺さんは、タバコを規制する国際条約(FCTC)にJTが違反していることにも言及します。
「タバコ産業は、FCTCによって社会貢献活動(CSR)が禁止されています。健康・社会・環境に悪影響を及ぼしているにもかかわらず、良い会社であると勘違いする人が生まれるからです。JTのCSRについて、タバコと政治が絡む構造的な問題として追及しなければいけません」



駅前にある公衆喫煙所

吸い殻毎年4兆5000億個
タバコは環境破壊にもなります。渡辺さんは毎日、自宅周辺の吸い殻を拾っています。19年から始め、これまで拾った合計は9万5000個以上にも。「紙タバコのフィルターは地球上で毎年4兆5000億個もバラまかれ、生物の健康を脅かしています。近年、ヨーロッパでは吸い殻をタバコ産業が買い取る動きも出ています」
今後、喫煙者を減らすためには、タバコの値上げや喫煙場所の撤廃など、やるべきことはたくさんあると渡辺さん。
「タバコの本質は政治問題です。JTや国との対決姿勢を、今後も緩めるわけにはいきません」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月15日付掲載


46年前、日本の成人喫煙者は男性が75%、女性が15%で、職場や新幹線、学校、病院などどこでも喫煙可能。
この状況に対し、国・国鉄・日本専売公社を相手に、国鉄車両半数以上の禁煙化などを求めたのが嫌煙権訴訟。
JTは「愛煙家のために」という名目で喫煙場所を各所に設置。しかし、その後の維持費は公的資金から出されるなどの問題があるほか、「喫煙場所の設置が、多くの中毒者を生み出す危険がある」と指摘する渡辺さん。「“愛煙家”というのはJTが作り上げた虚像で、私から言わせれは“哀煙家”です」。
大切なのは『煙を憎んで人を憎まず』。世の喫煙者は、ほとんどがやめたいと思っています。
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NHK朝ドラ「ブギウギ」が大詰め 脚本の足立紳さんが寄稿 スズ子に励まされ楽しんだ

2024-03-16 06:16:23 | 文化・芸術・演劇など
NHK朝ドラ「ブギウギ」が大詰め 脚本の足立紳さんが寄稿 スズ子に励まされ楽しんだ
NHKの連続テレビ小説「ブギウギ」が大詰めを迎えています。脚本を手がけた足立紳さんに、ドラマに寄せる心境や最終盤の見どころについて寄稿してもらいました。


写真・橋爪拓治

あだち・しん=1972年鳥取県生まれ。「佐知とマユ」(NHK)で創作テレビドラマ大賞、市川森一脚本賞。映画「百円の恋」(脚本、監督)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞。映画「喜劇愛妻物語」(脚本、監督)で東京国際映画祭コンペティション部門最優秀脚本賞。おもな作品は、「雑魚どもよ、大志を抱け!」(監督)、テレビドラマ「拾われた男」(脚本、NHK)、小説「それでも俺は妻としたい」など。

早いもので連続テレビ小説「ブギウギ」も間もなく最終回を迎える。このお仕事のお話をいただいたのは2021年の秋だった。翌春に映画を撮影する予定があった私は「このスケジュールでは正直無理だろうな……」と思った。

「やって後悔しろ」
きっと「朝ドラ」の仕事は忙しいに違いない。1日15分とはいえ週に5回、半年も続くのだ。もともと忙しいのが大の苦手な私は映画の撮影も重なるのではどんな忙しさになるか想像しただけでびびってしまった。果たして私に乗り切れるだろうかと。びびる私の背中を押したというのかケツを蹴っ飛ばしてくれたのはいつも通り妻で、「やっても後悔するだろうし、やらなくても後悔するんだからやって後悔しろ」と言った。似たようなセリフをスズ子が4カ月間、娘の愛子を置いてアメリカに行くべきかどうかで悩む場面でも使ったが、「やって後悔しろ」と言った妻に従って良かった。
映画やドラマを監督していると、撮影が終わるのが寂しくなるときがある。俳優が命を吹き込んだ登場人物と会えなくなるのが寂しく感じるのだが、脚本を書いているときは、まだ紙の中のこの人物たちに早く会いたい気持ちでいっぱいだ。そして今回のように脚本だけの担当の場合、撮影が始まるとなんだか寂しい気持ちになる。必死になって書いた我が子たちを、今度は撮影のスタッフたちに預けなければならないからだ。
スズ子が愛子を何とか自分の手だけで育てようとしたように、我が子を箱入りにしたくなる。私の書いたシナリオが現場でいじめられたりしないか、ひどい目にあわされていないかといつも心配でたまらない。撮影の様子を陰から見たくても、今回のような長丁場は撮影しながら私は家で必死に脚本を書いているからどうにもできない。だが、完成品が放送前から少しずつ送られてくる。それを見ると、登場人物たちがどうやら現場でもすこくかわいがられているようだなとホッと胸をなでおろした。



日帝劇場・舞台にて、大声援の中「ヘイヘイブギー」でトリを飾る福来スズ子=3月22日放送

戦前戦後を歌で生きて
「ブギウギ」主人公・福来スズ子は、昭和の時代に活躍し、“ブギの女王”と呼ばれた笠置シヅ子がモデルです。スズ子が歌う「東京ブギウギ」「ラッパと娘」などを作曲した羽鳥善一(草弼剛)は服部良一が、スズ子と竸い合った“ブルースの女王”・茨田りつ子(菊地凛子)は淡谷のり子がそれぞれモデルとなっています。ドラマは、戦前戦後を歌で生きたスズ子の姿を描きます。

終わるのが寂しい
俳優たちの演じる登場人物たちは、紙の中から生き生きと飛び出していた。ひとえに紙の中の人物に命を吹き込んでくださった俳優とスタッフの方々のおかげだ。いつものように過保護でいらぬ心配をしていた私は、すぐさま愛助以上に福来スズ子のファンになっていた。もちろん脚本を書いているときも、福来スズ子のファンの気持ちになっていたから愛助とスズ子の出会いのあたりを書くのはひと際楽しい時間だったのだが、趣里さんが命を吹き込んだ福来スズ子の魅力は、語彙のない私は「ハンパない」としか言えない。最終週あたりでは羽鳥善二とスズ子の関係とは何だったのかが見せ場となるが、楽しみにお待ちいただきたい。
それにしても画面の中の福来スズ子に一番励まされ、一番楽しませてもらったのは愛助ではなく私だろう。あ、こんなことを書くと「なに、言ってんだい、それは僕だよ」と羽鳥善一がドラマの中のように言ってくるに違いない。
今は、ただただ終わってしまうのが寂しい。最終回の3月29日来ないでと思わずにはいられない。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月14日付掲載


スズ子が愛子を何とか自分の手だけで育てようとしたように、我が子を箱入りにしたくなる。私の書いたシナリオが現場でいじめられたりしないか、ひどい目にあわされていないかといつも心配でたまらない。
完成品が放送前から少しずつ送られてくる。それを見ると、登場人物たちがどうやら現場でもすこくかわいがられているようだなとホッと胸をなでおろした。
それにしても画面の中の福来スズ子に一番励まされ、一番楽しませてもらったのは愛助ではなく私だろう。あ、こんなことを書くと「なに、言ってんだい、それは僕だよ」と羽鳥善一がドラマの中のように言ってくるに違いない。



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