2018年11月20日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2019年国際市場 スケトウダラ価格が下がる要素はない]
来年2019年、米国、ロシア、中国 、そしてヨーロッパ各国の情報筋によると、あらゆる製品形態のスケトウダラの価格は引き続き上昇するものとみられる。米国業界紙(WEB)がリポートした。
“米国製品の相場”
今年2018年11月7日から同9日までの間、中国の青島で開催された“China Fisheries&Seafood Expo 2018”では、米国Aシーズン(春季抱卵操業)のPBO(シングル・フローズン/ピンボーン除去フィレ)ブロックの価格について協議が行われ、倉庫前で3,500ドル/トンとの相場感が報告された。この相場感についてロシアのスケトウダラ大手“ロシア漁業会社(ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ)”代表も、米国サプライヤーとヨーロッパのバイヤーから、PBO製品について倉庫前3,500ドル/トンとの相場を確認していると指摘した。当該製品は、2017年Bシーズン(秋冬季無抱卵操業)に2,350ドル/トンで底を打ち、2018年Aシーズンは3,000ドル/トンで推移した。
“ロシア製品の見通し”
“ロシア漁業会社”代表は、価格上昇の見通しとして、アジア市場のすり身需要の強さから、米国のスケトウダラ製品の生産の約半分が当該製品に向いている点を指摘、これらの状況から、ロシア原料のダブル・フローズン(日本の業界用語でツー・フローズン)のフィレ・ブロックの製品価格が、来年2019年には、3,200ドル/トン前後で推移するとの相場感を示した。ロシアの洋上H&G(ドレス)の中国加工向のC&F(仕向港着値)価格も、現在1,550ドル/トン-1,560ドル/トンと上昇しており、来年2019年も堅調に推移するだろうとの観測を言及した。また、一方でここ数年の中国加工の製品品質の低い評価、労働コストの上昇等、脆弱性を指摘、H&G製品の市場の縮小傾向から、ロシア漁業が自らフィレ製品を増産していく計画だと明らかにした。
“ロシアと米国の資源評価と製品価格の上昇”
すり身、フィレ等、世界的な強いスケトウダラ製品の需要がある中、ロシア科学研究機関は、資源の周期的な変動リスクを管理するため、2020年からTACを年間約5%ずつ減少させ、2023年には今年2018年より約20%減とすることを勧告する旨の中期的予報を発表している。
また、米国からも来年2019年以降、減産の可能性が伝えられている。
このような環境下、あらゆる製品形態のスケトウダラの価格は引き続き上昇すると予想されている。