ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

スルメイカ19年も資源回復せず 「崩壊寸前」専門家に危機感

2018-11-30 17:55:56 | 日記

2018年11月30日
デーリー東北
[ スルメイカ19年も資源回復せず 「崩壊寸前」専門家に危機感 ]
国立研究開発法人・水産研究教育機構(横浜市)は29日、同市内でスルメイカの資源評価に関する会合を開き、国の資源管理の基となる報告書をまとめた。八戸近海など太平洋側で漁獲され、長期不漁に見舞われている「冬生まれ群」の資源量は2019年も引き続き低水準と予測。出席した専門家からは「クラッシュ(崩壊)寸前だ」と強い危機感が示された。 
スルメイカの寿命は1年で、冬生まれ群は1~3月ごろに九州や沖縄西方の東シナ海で生まれ、三陸や北海道東に来遊する。資源量は15年から急減。報告書によると、18年生まれは15万3千トンと推測され、資源量が良好だった13年の約2割まで落ち込んだ。19年生まれも15万2千トンと低水準を予測している。 
報告書では、あらためて資源減少の要因を分析。15年以降は産卵場の北側が低温となる半面、南側では黒潮の影響で高温となり、双方に阻まれる形で、親イカの産卵と子どもの生き残りに適した水温域が縮小していることを確認。親イカ減少で当面は資源回復を見込めない状況となっている。 
日本近海の寒冷化によってスルメイカ激減とマイワシの爆発的な増加が起こった1970~80年代との類似性については「今回は水温低下だけが資源減少の要因ではないため、当時のように寒冷期が長く継続するような状況ではないと思われる」と指摘した。 
一方で、外部有識者として評価に携わる函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長は気象データなどを示した上で「局所的に異常な寒冷化が起こっているのが産卵場縮小の要因ではないか」との見解を提示。「冬生まれ群はクラッシュ寸前だ。復活できるかどうかの瀬戸際にある」と危機感をあらわにした。 
水産庁 は今回の評価を基に、年明け以降に19年の漁獲上限( TAC )を設定する。日本海の秋生まれ群も水揚げされる八戸港では1~10月の漁獲量は1万1124トン(29・2%減)。特に冬生まれ群を漁獲する小型イカ釣り船の近海漁は、546トン(50%減)と極端な不振となっている。
 
(関連過去情報)
2018年11月19日   北海道機船漁業協同組合連合会 常務 原口聖二
[日本EEZにおける日本漁船のためのスルメイカのTAC設定に加味されていない漁獲情報等]
2018年11月17日付北海道新聞は、  イカ漁妨げる外国船  と題し、日本EEZでの北朝鮮漁船の違法漁業に関して伝えた。
ここ数年、韓国の近海のイカ漁船団は、東海(日本海)の北朝鮮海域で中国漁船がイカを乱獲するため資源量が低下していると主張している。
一方、同年9月下旬、ロシア漁業庁沿海地方管理局とFSB沿海地方管理局は、許可を得ることなく、イカを違法漁獲する小型の北朝鮮漁船による密漁が横行しているため、この対策を検討する特別会議を行った。
過去には、ロシアが認めた正規の漁獲割当を北朝鮮が中国に転売、ロシア当局が入域した北朝鮮フラッグ船を検査したところ、船内は中国そのものだったという事件もあった。
まさに、日本海におけるスルメイカ資源への各国のアクセスは  カオス状態  といえる。
日本近海のスルメイカは冬に東シナ海で生まれ主に太平洋を北上するグループ(冬季発生系群)と、秋に日本海で生まれ日本海を回遊するグループ(秋季発生系群)で構成されている。
現状、明らかに資源が日本海沿岸国とまたがっている当該資源について、次の漁獲情報が加味されていない資源評価とTAC設定になっていることが、あらためて指摘される。
①北朝鮮水域における中国漁船操業(日韓EEZよりはるかに大きい漁獲をしているとの情報がある)
②ロシア水域でのロシア国内漁船による沿海地方海域、西サハリン海域、南クリール海域操業
③ロシア水域沿海地方海域でのロ韓、ロ朝、ロ中漁業協定に基づく各国漁船の操業
④日本海を中心とした北朝鮮の違法操業
⑤その他

2018年06月26日
北海道機船漁業協同組合連合会 常務 原口聖二
[日本EEZにおける日本漁船のためのスルメイカのTAC設定の経緯と加味されていない漁獲情報等]
1.韓国は新日韓漁業協定に向け、2007年度からイカのTAC設定を開始した。
2.日本近海のスルメイカは冬に東シナ海で生まれ主に太平洋を北上するグループ(冬季発生系群)と、秋に日本海で生まれ日本海を回遊するグループ(秋季発生系群)がある。
3.昨年2017年度、資源のABCは秋季発生群15万6,000トン、冬季発生群6万9,000トンと評価された。ABCには、韓国の漁獲が含まれており、日本はこれまでは韓国の直近5ケ年漁獲平均値を差し引いてTACとしてきたが、当該年度は、低下している資源に配慮し、過去10年間の日本EEZの漁獲割合の最大値60.1%を係数として、設定勧告を行った。このことから、日本EEZにおける日本漁船のためのイカの昨年2017年度のTACは、前年比47%減の13万6,000トンとなった。一方の韓国はこれを削減せず前年同の14万1,750トンを設定した。
4.本年2018年度、資源のABCは秋季発生群12万9,000トン、冬季発生群3万1,000トンと評価された。これらの合計値には、やはり韓国分の漁獲が含まれており、当該年度も同様、過去10年の内、全漁獲量に対する日本EEZの漁獲割合の最大値60.1%を係数として設定勧告を行った。このことから、日本EEZにおける日本漁船のためのイカの本年2018年度のTACは、前年比29%減の9万7,000トンとなった。一方の韓国は、2017年にTACの運用期間の変更を決定、1月-12月から7月-翌年6月となり、2018年の前期暫定分として2万9,066トンを設定した。また、次期2018年漁期(2018年7月-2019年6月)の設定については、当初、前年度期より30%以上削減の9万4,257トンで決定したが、これに追加的に、最近、魚群形成が確認されている西海のトロール漁船向けに1万6,997トンを試験運用として新たに設定、計11万1,254トンで、実質2割程度の削減にとどめた。
5.過去、2017年のTAC設定において日本は前年2016年より、おおよそ半減させているが、韓国は一切削減せず、2017年についても前年2016年同の設定をしており、2016年を起点とした削減率に大きな違いがでている。
6.2016年から日韓漁業交渉が妥結に至っておらず、現在、相互の相手国EEZにおける操業は行われていないが、同漁業協定に基づく韓国漁船の日本EEZにおけるイカの漁獲割当は約1万トンで、一方の日本漁船の韓国EEZにおける漁獲割当は3,300トンだった。ただし、暫定水域の操業は現在も継続されている。
7.なお、現状、明らかに資源がまたがっている次の漁獲情報が加味されていない資源評価とTAC設定になっていることが指摘される。
①北朝鮮水域における中国漁船操業(日韓EEZよりはるかに大きい漁獲をしているとの情報がある)
②ロシア水域でのロシア国内漁船による沿海地方海域、西サハリン海域、南クリール海域操業
③ロシア水域沿海地方海域でのロ韓、ロ朝、ロ中漁業協定に基づく各国漁船の操業
④日本海を中心とした北朝鮮の違法操業
⑤その他

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またがり資源情報(スルメイカ)韓国漁船と日本漁船の競合関係
“前提”
スルメイカ資源の韓国漁獲と北海道沖底船(太平洋・オホーツク海)が冬季発生群で競合
“韓国漁船漁獲のスルメイカの発生系群(秋季・冬季)集計方法”
1月(冬季:競合) 2月(冬季:競合) 3月(冬季:競合) 4月-10月(秋季) 11月(秋冬混合:競合) 12月(冬季:競合)
*4月-10月の韓国漁船漁獲と日本漁船競合関係は日本海漁業となる

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