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北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

#70洋上風力発電と漁業 海外の経験 米欧 逆風の洋上風力 インフレで建設費高騰、採算合わず 一部で事業崩壊

2023-12-02 22:31:09 | 日記

2023年12月02日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[#70洋上風力発電と漁業 海外の経験 米欧 逆風の洋上風力 インフレで建設費高騰、採算合わず]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

地元にこれらの情報が伝わっているのか理解に苦しみ、日本の洋上風力発電プロジェクトのプロモーションは一周遅れ、いや二周遅れ、或いは確信的背景を想像させるものとなってきている。

2023年12月02月付産経新聞(パリ=板東和正様)は、米欧の洋上風力発電プロジェクトがインフレで建設費高騰し採算合わず、一部の事業が崩壊していること、同時に、安価な中国製の風力タービンが世界市場を席巻する中、中国依存の課題も浮上していると伝えている。

 

2023年12月02月 産経新聞(パリ=板東和正様)

米欧で逆風の洋上風力 インフレで建設費高騰、採算合わず

台湾中部沖で稼働する洋上風力発電施設。米欧では逆風にさらされている。

再生可能エネルギーの切り札として米欧で展開されてきた洋上風力事業が逆風にさらされている。インフレや金利上昇でコストが膨らみ、事業の中止や延期が相次ぐ。発電量が大きい洋上風力の計画がつまずけば各国の気候変動対策に影響を及ぼしかねず、米自治体や欧州連合(EU)は支援に向けて動き出した。安価な中国製の風力タービンが世界市場を席巻する中、中国依存の課題も浮上している。

■崩壊する事業

「洋上風力事業は高インフレと金利上昇という巨大な嵐に見舞われている」

洋上風力最大手のオーステッド(デンマーク)のマーズ・ニッパー最高経営責任者(CEO)は11月1日、そう打ち明けた。オーステッドは同日、米東部ニュージャージー州の沖合で計画する2件の洋上風力のプロジェクトから撤退すると発表。合計出力200万キロワット以上で約100万世帯に供給できる規模だったが、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵略により洋上風力の基幹部品などの資材費が高騰。中央銀行の利上げで資金調達コストも膨らみ、計画を断念した。事業費がかさんだ影響により1~9月期決算で284億デンマーククローネ(約6000億円)の損失を計上した。

英石油大手BPも7~9月期決算で、ノルウェーの同業エクイノールと進める米東部ニューヨーク州沖の洋上風力の減損を計上した。損失が相次ぐ事態を受け、BPの低炭素部門の責任者、アンニャイサベル・ドツェンラス氏は「米国の洋上風力の業界は根本的に崩壊している」と述べた。

欧州でも同様の動きが広がる。スウェーデンの電力大手バッテンフォールは7月、英国の大型洋上風力プロジェクトを停止すると発表した。英国の約150万世帯に電力を供給する予定だったが、開発コストが最大で40%上がることが判明し、見直しを迫られた。エクイノールもノルウェー沖で計画した大型洋上風力の建設を無期限で延期した。

業界団体「ウインドヨーロッパ」によると、欧州での22年の洋上風力の投資額は約4億ユーロ(約639億円)で前年の約166億ユーロから激減。全体の風力発電投資額(22年)は約170億ユーロで前年の約410億ユーロから6割程度減り、09年以降で最も低い水準に落ち込んだ。

■抱えるジレンマ

1991年に世界で初めて建設された洋上風力は海上で風が安定して吹くため陸上風力より効率的に発電できる。米欧は「脱炭素」の切り札とみており、バイデン米大統領は2030年までに3000万キロワットの洋上風力発電の導入を目標に据える。域内のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を30年までに少なくとも42・5%に引き上げる目標を掲げるEUも、風力発電容量を現在の倍以上にする必要がある。英環境専門家、ジョン・ウォレス氏は洋上風力のプロジェクトがつまずけば「(EUの)30年の目標達成が厳しくなる」とみる。

事業費が巨額な洋上風力はインフレの影響を受けやすく、公的支援が必要不可欠だ。米東部6州の知事は9月、バイデン氏に洋上風力発電産業への支援を強化するよう要請した。EU欧州委員会も10月、風力事業者の支援にあてる予算額を14億ユーロに倍増する緊急対策を公表。融資保証の拡充や設置許認可手続きの加速も盛り込んだ。

ただ、政府は市民の負担増につながる恐れから、電力の買い取り価格を引き上げることには躊躇(ちゅうちょ)している。ニューヨーク州の規制当局は10月、BPなどが計画する洋上風力について買い取り価格を50%以上引き上げる要求を却下。電気料金の上昇により消費者が不利益を被る事態を回避した。

■中国依存も課題に

一方、中国は世界の風力発電市場に攻勢を強め、22年に世界で導入された風力タービンのうち約6割を中国勢が占めた。安価な中国製は欧州メーカーの経営を悪化させている。ウインドヨーロッパは、EUがロシア産天然ガスに依存したことでエネルギー危機に陥った教訓をもとに「このままでは依存先が露産から中国産に置き換わる」と危機感を示した。

EUは中国依存を減らす姿勢を鮮明にしており、メディアによると、欧州委には中国からの輸入の一部制限を支持する声もある。欧州委は関税の上乗せを判断するため、中国が補助金支援で欧州での競争を阻害していないかを調査することを検討しているという。

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