2025年01月30日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾 第4回目設定]
ロシア漁業庁は、2022年に用意された後、開催が延期されていた北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾の実施を試み、第1回目を2024年11月13日に設定するも応札申請がなく不成立、スタート・プライスを下げ、第2回目を2024年11月28日に設定したが同様に失敗に終わったことを受け、これをさらに引き下げ第3回目を年明け2025年1月23日に設定したものの、やはり、受付期限の1月20日までに応札申請がなく不成立となった。
これを受け、同庁はスタート・プライスを更に引下げ、第4回目を2025年2月18日に実施すると発表した。
参加申請受付期限は同じ14日までとなっている。
上場されるのは向う15年間のタラバガニ漁獲割当5ロットとなっており、3ロットは全長50m以上のカニ漁船建造、2ロットは大規模物流複合施設建設のそれぞれ付帯プロジェクトの実行が義務付けされている。
スタート・プライスは第1回目の128億ルーブル、第2回目の115億ルーブルから更に引き下げられ、第3回目は104億ルーブルだった。
2019年の第1弾では、バレンツ海のタラバガニTAC設定の50%、5ロットが上場され、スタート・プライスが44億ルーブル、落札者は、計308億ルーブルを支払うこととなった。
また、同様に漁船建造プロジェクトが付帯義務となった。
14の漁業会社によって年間1万トンのタラバガニと7,100トンのズワイガニ(オピリオ)、そして4万5,000トンの魚類等を生産するロシア”北西漁業コンソーシアムSZRK”(Северо-Западный Рыбопромышленный Консорциум”СЗРК”)の代表セルゲイ・ネスヴェトフは、当該オークションの第1弾でさえ、莫大な金融債務を抱えている中、第2弾の設定は法外であり、タラバガニの需要を過大評価していると言及、オークションへの参加は経営的に成立しない可能性がると指摘する。
従前、バレンツ海のロシア産カニの主要市場は米国と欧州で、製品は冷凍だったが、現在は、これらが制裁措置により封鎖されている。
一方、アジア市場、特に中国は活製品が主軸で、このための大陸を横断する物流コストも大きく、冷凍製品の市場も開拓されつつあるものの、飛躍的な拡大はないと予想されている。