現代版3バック(ウディネーゼ対インテル)

今季はワールドサッカーを精力的に見ているので、長友佑都所属するインテルの試合には慣れてきました。そのため、今回はちょっと違った観点で試合を見ました。それはインテルのマッツァーリ監督が引く、3-3-3-1の布陣の機能のさせ方です。2000年代前半、フランス代表のW杯、欧州選手権連覇が契機になり、4-2-3-1が世界的に流行になりました。

この4-2-3-1の前に、3バックのチームがバランスを崩され、欧州では3バックのチームがほとんどなくなるという転換点がありました。しかし、最近はユベントス、ナポリ、ウディネーゼといった3バックのチームが復権してきて、イタリア代表までコンフェデ杯の準決勝で3バックで戦うくらいです。

3バックが4-2-3-1に敗れた理由は、3バックの2ストッパーが相手FWに付き、リベロが後ろをカバーするという、4-4-2に勝てる戦術として開発された戦術の限界でした。現代の3バックを機能させるには、ゾーンで守り時と場合によってはアウトサイドを自陣に帰陣させる柔軟性を要求されます。

日本人はトルシエ時代の日本代表のフラット3を見ているので、3バックがゾーンで守るのにそれほど違和感はありませんが、たぶんユベントスやナポリでは斬新な戦術だったはずです。この試合のインテルは、3バックの中央のサムエルが良くなかったのでピンチを招きましたが、ゾーンで守り時にはオフサイドも取るといった新しい3バックの可能性は感じました。

それでいて、3バックの長所である、両アウトサイドの攻撃力もインテルの場合落としておらず、長友佑都も左アウトサイドに入って思い切り良くペナルティエリアの中に入ってシュートまで行くこともあります。試合自体はセットプレーから決着し、FKからのパラシオのヘディング、CKからのラノッキアのボレーでリードしたインテルが3-0で勝利しましたが、これが現代版3バックかという形は見られたと思います。

もっとも、この布陣は1ボランチのカンビアッソの負担の大きい布陣です。相手のカウンターには一旦カンビアッソが止めてテデールやアルバレスの帰陣を待つという約束があるので、カンビアッソが負傷や出場停止になったときどうカバーするかは、マッツァーリの手腕に期待したいと思います。