政府は5月17日、全ての世代が支え合うことを目指す全世代型社会保障構築本部を官邸で開き、有識者会議の中間整理を正式決定した。
厚生年金などの加入者を広げるといった「勤労者皆保険」の実現へ、従業員数など企業規模により線を引く加入制限の撤廃を検討。
男性や非正規労働者らの育児休業取得促進へ支援を求めた。
財源論を一体とした抜本策は示さず、改革の具体化が課題となりそうだ。
中間整理は現役世代に焦点を当て、高齢者への給付中心とされる従来の議論から漏れた層をすくい上げる内容。
岸田政権は6月にまとめる政府の経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させ、夏の参院選を前に実績づくりを狙う。
岸田首相は本部で「働き方に中立的な社会保障制度を構築していく」と強調した。
勤労者皆保険は働く時間や雇用形態にかかわらず、比較的支給が手厚いとされる被用者保険(厚生年金・健康保険)に加入するという考え方だ。
2024年10月に従業員51人以上の企業までパートらの加入対象職場を広げると既に企業規模要件を決定。中間整理は、それより小規模な企業まで範囲拡大検討を求めた。
フリーフンスや、インターネットを通じて単発の仕事を請け負うギグワーカーらの加入を促す議論を提唱した。
個人経営事務所のスタッフの厚生年金加入拡大を検討するよう提言。
現行は5人以上のスタッフがいる製造業など16業種が義務付けられ、2022年10月から弁護士ら「士業」も対象となる。
企業の理解不足や職場環境により、育休を取りにくい実情があるとして改善を促した。出産時に公的医療保険から支払われる一時金の増額を議論すべきだとした。
年収130万円以上になると夫の社会保険の扶養から外れるため、女性の就労を制約する「130万円の壁」の解消の必要性に言及。
収入要件がある、企業の配偶者手当の撤廃や縮小の議論を求めた。
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