立ち飲みラリーの渋谷、最後はここだと決めていた。
道玄坂、「立吞み なぎ」。
「YATA」の店員さんから、「『なぎ』とはしごするお客さんも結構います」と聞いていた。きっと、その「なぎ」もセンスのいい立ち飲み屋なのだろう。
とにかく、「なぎ」はちょっと別格のようで楽しみにしていた。渋谷最後を飾るお店に相応しい。
道玄坂を上り、店にたどり着いた。涼やかな笹の葉に隠れた静かそうなお店。でも入りにくいことはなく、暖簾をくぐった。
カウンターだけのお店。やや薄暗がりで、渋谷らしく、かなりシャレオツ系。先客は一人で、お店のマスターらしき人と話しが弾んでいる。勝手がよく分からず、まごまごしながらメニューを見た。うむむ、日本酒しかないのか。ずらりとドリンクメニュー一面に日本酒の銘柄が並ぶ。しかも一杯600円から。安くはない。
どうやら、全て福島の酒蔵さんの酒らしい。しかし、日本酒はよく分からないから、女性の店員さんに尋ねる。
「辛口はどれですか」と。
するとお姉さんは「辰泉」の「うまから」と「廣戸川」 を推した。それなら一杯ずつそれをいただくか。
まずは「辰泉」。
日本酒はよく分からないが、確かに「辰泉」は辛口だった。これはいい酒に巡り会えた。肴をどうしようか悩んでいたが、メニューの最初にある「なめろう」に決めた。「なめろう」は2種類。千葉県の真鯵かどっか他所の県の何か(失念)。いや、「なめろう」って、元々千葉県の漁師が考案したもの。迷わず千葉の真鯵「なめろう」をオーダーした。
なんとなく嫌だったのが、先客の様子。マスターらしき人とずっと喋り続けていたのだが、自分のオーダーの時は黙り込んで、何をオーダーしているかを窺っている。酒をオーダーする時にシーンとなった時は気のせいかと思ったが、「なめろう」を頼む時も、店内は水を打ったように静かになり、いよいよ確信した。このおっさん、聞く耳立てているなと。
こんなことがあって、ちょっと気分が悪かったが、オーダーした「なめろう」が本当に旨かった。辛口の酒とも相性が抜群。これで救われた。
ただ、この常連と思しきおっさんの話しがつまらなくて痛かった。え?自分も耳をそばたてているじゃないかって。いやいや、一人で来て喋り相手がなく、大声で世間話をするおっさんの声は嫌でも聞こえてくる。オリンピックのサッカーのチケットが再抽選になっても、自分の息子のくじ運は強いから当たるんじゃないかとか。
酒はうまいし、アテもいいのだが、どうにもつまらないシチュエーションになった。「廣戸川」をいただいて帰るかな。その700円のお酒は、「辰泉」よりもドライで、冷やがちょうどよかった。
評価としては微妙なお店だった。ただ、安くはない酒場である。お酒2杯、「なめろう」で2,000円弱。お酒も升にお猪口ではなく、いきなりグラスのみ。溢れさせるサービスもなく、これで600円は安くない。2軒目以降、バーとして使うべきお店なのかもしれない。
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