ハワイに行くと、必ず毎回立ち寄るところがある。チャイナタウンにあるマウナケアマーケットプレイス。ここは本当に掛値なしでディープだ。火山がみなぎるハワイがパワースポットならば、チャイナタウンも想像を絶するほどのパワースポットである。人々の活力ある姿は真の意味で力を与えてくれる。匂いといい、汚さといい、ボクはあの雑然とした雰囲気が好きだ。
マーケットの南側の門を潜り、薄暗い細い道を歩く。両側に小さな露店が軒を連ね、店員らがそれぞれボクの顔を覗いているのが分かる。その怪しげな雰囲気はまるで香港の泥棒市場にも見えるし、デリーのチベタンキャンプにある商店街にそっくりだ。小道を抜けて、建物に入るとそこはフードコート。といってもアラモアナセンターのフードコートとは180度違う。一列のテーブルと粗末なパイプ椅子風の腰掛け。中華だけでなく、タイ料理もあるし、フィリピン料理だってある。どれもこれもうまそうだが、中でも最も目を引くのが、「美味烧腊」だ。ローストされたダックが店頭に吊られ、それを見ただけで思わずゴクリと生唾を飲み込んでしまう。
「美味烧腊」のメニューの一つに、「プレートランチ」というものがある。簡単に言えば、ぶっかけのほか弁だ。税込で僅か5$。笑顔ゼロのおばちゃんにオーダーすると大きな箱に山盛りのローストダックと山盛りのフライドライスをよそってくれる。
それを持って、空いてる席につき、パカッと蓋を開けると八角のいい香りに包まれる。たまらない瞬間だ。我慢できなくなって、ダックの大きな塊をとって早速いただく。思っていたよりも、肉が柔らかい。
「なんてうまいんだ」。
これにビールがあったら、最高だ。当然ながら、フードコートのどの店にもビールは置いていない。
半ば、がっつくように、ダックとライスを交互にかきこむ。
フードコートはほぼ満員。その半分は、おしゃべりに明け暮れる近所の人たちと思われるアジア系の人々だ。観光客とおぼしき人は全く皆無である。自分にとっては、これが何よりも心地よい。
半分ほどプレートランチを食べると、腹が落ち着いてきた。ようやく、通常のペースに戻り、食べるとダックの味付けが予想以上に複雑であることに気づく。その味の一つはジンジャーだろう。だけどそれだけではない。重層的な旨味が魔法のように加えられている。
うまい。うますぎる。肉を噛む毎にジューシーな肉汁が特製の醤と絡んで食欲を増幅させる。
最後は腹が苦しくなったが完食。
ワイキキビーチの喧騒よりも、この雑然としたチャイナタウンの賑やかさで食べるプレートランチは5$以上の価値がある。
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