広東や四川と比べれば上海料理の影は薄い。それでも上海蟹と小籠包くらいなら頭には浮かぶ。特に上海の観光地のクライマックスともいえる豫園の小籠包は日本人にも有名だ。
上海っ子は包好きのようだ。事実、今回宿泊したホテルの周囲には饅頭店や包屋が軒を連ね、朝ともなれば行列を作る。
小籠包の発祥は上海市内の南翔とされ、開発者の弟子が世に広めたと言われている。その弟子の店が後の「南翔饅頭店」である。つまり、その定説が正しければ、豫園の「南翔饅頭店」こそ、由緒正しき「小籠包」だ。
上海最大の観光地、豫園。確か23年前も自分は確実に行った。浦江飯店から外灘を通り、徒歩50分は歩いたと思う。それでも今回豫園に行ってみて、その記憶は欠落している。確かに入場料をケチって庭園には入らなかったが、豫園商場の記憶すら全くない。いや基本的にこういうミーハーなところは好かないのだが、うまい「小籠包」にありつくために行ってみるか。
しかし、「南翔饅頭店」は長蛇の列。これは相当並ぶのを覚悟しなければならない。だが、自分には予約が入っていた。取引先の好意で。その長蛇の列を横目にスルー。まるでディズニーランドのファストパス。待つことなく2階に着席した。ちなみに昼時の列は一時間待ちを覚悟しなければいけないという。
まずはビール。
今回も「青島ロ卑酒」の「純生」。まずはこれこれ。
金糸玉子の「湯」からスタート。
この「湯」には貝柱をお好みでトッピング。これもなかなか珍しいものだが、上海料理のポピュラーな「湯」なのか。次に現れたるは「ごま団子」。
何故このタイミングなのか。理解に苦しむのだが。中国の長い歴史の中で育んだ絶妙の順番なのだろう。
そして「饅頭」二種。
餡が入っていないプレーンな奴と豚のかわいい奴。豚の「饅頭」の餡はカスタードクリーム。そうなんだよ。たまに中華って、こういう暴挙があるんだよ。おかげでかなりお腹も落ち着いてきてしまった。だって、本丸の「小籠包」はまだ来てないし。
そして、ようやく出てきたのが「小籠包」のせいろ。小ぶりだが、しっかり8個も入っている。ここでもう一本、ロ卑酒を追加。いよいよ臨戦態勢に入った。
「小籠包」のために黒酢を用意し、ちょこっとつけて、皮の先端を食べる。熱々の出汁をちゅちゅっと吸えるくらい。どれだけ熱いか分からないから、本当に恐る恐る。だが、予想に反して、それは結構ぬるかった。そうと分かればあとはもう一斉攻撃。ガツガツと口に入れ、ロ卑酒と味わう。うまし。真好ロ乞。しかも皮までうまい。
なんだ、腹がいっぱいでもしっかり全部食べられちゃうじゃないか。
中華最高。中華最強。
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