船橋の人気居酒屋、「増やま」が5店目をオープンさせたという。場所はJR船橋駅の北口。最近の「増やま」の戦略は西に向けて店舗を出し、4店目の「かど鈴」は東京に上陸。そのまま東京に直進すると思いきや、ここで船橋に戻るというのは、原点回帰か。しかも5店目に出したお店が本店とは。
ウィークデイの水曜日、船橋へ向かった。秋葉原から総武線で一本。旧江戸川を渡ると風が変わる。高層のビルが減るから風が自然なのだ。
船橋駅についたのは13時30分だった。オープンの14時までまだ30分もある。ちょっと街をぶらついてみるか。船橋駅の北側に出る。その新しい「増やま」 は北側にあるらしい。その北口に行くのは何年ぶりか。ざっと20年ぶり。船橋は南側と北側で様相を一変させる。北側はイトーヨーカ堂があるが、ほぼ住宅街だ。だから、はじめその北口側に「増やま」が出来たと聞いた時は正直驚いた。
気が向くままに歩いた。人通りも少ない。その昔、オウム真理教がまだ影も形もなかった頃、後に教団のリーダーとなる男は船橋北口で薬局を営んでいた。その薬局がどこにあったのかは知る由もないが、歩きながらふとそんなことを思った。20分ほど歩いたが、店は見つからない。あまりネット情報に頼りたくないが仕方ない。地図を見てみるか。すると、店は駅の東側にあることが分かった。そっちの方は行ったことないな。
駅の東側を歩いていると、「増やま 本店」は突如現れた。心の準備をする前に。時刻は1355分。うっ、まだ開店時間じゃない。仕方ない。もう一回りするか。
駅の南側に出て、ふとパチンコ屋を見上げる。昔、ここはポルノ映画館だった。19歳のとき、H塚と一緒に入ったっけ。29年前、この通りはかなりいかがわしかったが、もう見る影もない。細い道を抜けて、駅前通りに出た。そして何気なしに「ときわ書房」に入る。この本屋、昔からある。少なくとも、自分が学生の頃からあった。かれこれ30年前。多分もっと前からあったと思うが記憶が確かなのは自分が18歳の頃。この本屋、だいぶくたびれた様子。ネット通販に押され、本屋は軒並み駆逐された。頑張ってほしいな。街の本屋。本を買おうとしたが、欲しいリストにある本が見つからない。必要ない本を無理やり買うこともないから、何も購入しないで店を出た。
気づいたら、20分も本屋にいた。時刻は14時20分。さぁいい時間かな。元来た道を戻り、店に着くと、しっかり提灯に灯が点り、群青の暖簾がかかっている。戸を開けて中に入ると、驚くことにもう9人の人がカウンターに座って酒を飲んでいた。そして、自分もカウンターに着席した。
店はかなり広い。1号店の4倍。本八幡の「馬越」の倍はある。カウンターも広々だが、テーブル席も余裕いっぱいに用意している。そんな広い店舗だが、壁の短冊メニュー。コの字カウンターと、煮込みの大鍋を見ていたら、「増やま」に来たという実感が沸いた。
「ボール」(250円)に「モヒート」(100円)からスタート。残暑残る暑い昼下がりに、ミントの口当たりは最高だ。爽やかな飲み口で、すっかり涼しくなれる。赤羽の「まるます家」の「モヒート」は、「ハイリキ」だから、微かな甘味があるが、「増やま」のそれは全くないので、すっきり感が違う。
まずは「肉豆腐」と「煮たまご」(100円)。
これこれ。甘辛の出汁に沁みた木綿豆腐をちょっとずつつまみながら飲る「ボール」との至極の時間。これはわざわざ船橋まで来た甲斐があろうというもの。まずはこれ。いわば「増やま」のスターターセットともいえる。
しかし、広い「増やま」も実は落ち着かない。背中側に何もないというのが、こんなに頼りないとは。けれど、あの狭い店舗はどうも好きになれなくて、どうしてで自分は「一平」を選んでしまうのだ。果たして、本店が出来たことで自分の心境にどのような変化があるか。
「ボール」をおかわりして、次なるつまみ、「赤ウィンナー」をオーダー。これも自分のド定番。ウィンナーが一つだけ、タコの形になっているのだ。
ひっきりなしにお客が入ってくる。さすがだ。やがて、カウンター席も埋まりつつ、テーブル席にもお客が座り始めた。
さて、ペースが上がってきた。3つめのつまみは「サモサ」(250円)。
「増やま」に来ると、どうしても頼んじゃうんだよな。大衆酒場に何故かインドのスナック。「サモサ」がある居酒屋って、他に知らない。
普段なら、「ボール」3杯、つまみ3品ということで、フィニッシュする場面だが、どうにも楽しくて、「ボール」をもう一杯と「ニラ玉」(300円)を注文しちゃった
しかし、「ニラ玉」って、オムレツじゃないか。ふわふわの卵とあんかけの出汁に、だいこんおろし。これって酒飲みが大好きなつまみの要素が全て入っている代物。これはたまんないよ。また一つ自分の定番が増えたな。
広々とした店舗は、「増やま」じゃない?通の客ならそう言うかもね。でも自分は気に入った。すっかりリラックスしたからね。おかげで4杯も飲んじゃったし。ここを本店にする意味もなんとなく分かる。本店というよりもフラッグシップ、旗艦店と言った方が分かりやすいかもね。
おはようございます。
昔はお弁当に入ってましたね。タコウィンナーやうさぎのリンゴとか。今はもう赤いウィンナーすら珍しくなりました。
松重豊さん演じる竜は「孤独のグルメ」のイメージが強くて、つい一人言を期待しちゃいます。