「よしの」を出た後、アーケードの中を歩くと見慣れない店を見つけた。
「大吉酒場」。
どうも立ち飲みらしい。
たかだか50m程度のショッピングアーケードの中に立ち飲みが4軒。
早速、店に入ってみた。
空間は広いのだが、どこかがらんとした雰囲気。カウンターがメインで、ボクは先客2人の横に陣取った。
さて、何を飲もうか。
壁に掲げられたメニューを眺める。
短冊状のプラスチックボードに酒、酒肴がそれぞれ刻まれている。
変わったフォントで。
丸ゴシックなのだが、独特のクセがあるフォントは、かつて見たことがある。
そう、池袋の立ち飲み「小島」。それから十条のタイ風居酒屋「イサーン」。
ボクは「チューハイ」を頼みつつ、まだ若い店の主人に尋ねた。
「『小島』に店が似ていますが」。
すると、若い主人はこう言った。
「自分、『小島』の社長の息子です」
あぁ、やっぱり。
「でも、何故小手指に?」
すると、若い主人、笑顔を浮かべて頷くだけだった。
「小島」と同じように酒の種類が豊富でしかも全て安いときている。
これは重宝する店だ。
先客は60歳くらいの男女。2人とも近所から通っている風である。
おばちゃんに話しかけてみた。
「よく来るんですか?」
「毎日ね」。
「この辺りは立ち飲みが多いけれど、何故この店に来るの?」
「『なんじゃこりゃ』はね、飲み物が高い」。
あぁ、なるほどね。納得。
まさか、小手指最後の日に「大吉酒場」を知ることになろうとは。
いや、最後の日に知ることができただけ、幸せなのかも。
正面の壁にかかるテレビからは「笑点」。
そうか、今日は日曜日だったか。
しばし、先客らと「笑点」を見ながら、「チューハイ」を飲む。
「わっはっはっは」。
面白い。「笑点」て、こんなに面白かったっけ?
いやいや、久しぶりに腹から笑っているような気がする。
長い間、卒論で苦しんできたからな。
気持ちが解放されたんだって改めて思う。
もうこの町に来ないかもしれないって思ったけれど、たまにはここに来て、立ち飲みを巡ってもいいかも。
「大吉酒場」なら、池袋から30分程度電車に乗るくらい、たいしたことはない。
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