宿泊するホテルの最寄り駅、新札幌駅周辺を散策した。ちょっとした期待を寄せていたが、立ち飲み屋を見つけることができなかった。でも、これでよかったのかもしれない。この後、IサカのI田さんとの二次会が待っているからだ。道産子、I田さんの選りすぐりの店に連れて行ってくれるようだ。
道産子は、豊かな自然恵みを存分に享受して、食への造詣が深い。小樽の兄貴、みーさんも、I田さんも本当においしいものを知っている。とりわけ、海産物については、本当に新鮮なものでなければ納得しない気概を感じる。
そのI田さんが高く評価する店の一つが、「道」という居酒屋さんだった。
ビルの地下にある、落ち着いたお店。浅葱鼠の暖簾がシックで、そこにはこんな言葉が染め抜かれている。
「時にはゆっくり、ひとつひとつ歩いてもいいと思う」。
これは店主の言葉なのか。お店の方向性が見てとれる。
我々は、店の小上がりに落ち着いた。まずは瓶ビール。お通しは「いかだいこん」。
これを見て、北に来たという実感が沸いた。岩手出身のお袋は、よくこの料理を好んで作ってくれたっけ。
次にテーブルを賑わしたのが、いきなりメインディッシュのお造り。
6点盛りは、これで一人前。I田さんは、しきりに何かの刺身が入っていないと、店の大将に言っていたが、どうやらその魚はこの日、仕入れられなかったようだ。
お造りは、さすがに新鮮でボクは禁断の日本酒をいただく。やはり、魚には断然酒だ。魚の甘みと辛い酒が、口の中でほどよく溶けていく。
うまい。
お店は大将と、恐らくその奥様、自分より、少し年下の男性は、息子さんだろうか。3人でお店を切り盛りしていた。ゆっくりとした時間が過ぎていくのは、彼らの真摯な仕事ぶりからだろうか。
I田さんは、とにかく沢山、おすすめの酒肴を頼んだ。その中で、かなり印象に残ったのが、「卵焼き」。
形はあまりよくないが、とにかく濃厚だった。卵が違うのか、それとも隠し味に秘密があるのか。卵焼きの中はふんわりしていて、抜群に旨かった。
札幌の夜は更けていく。遠いところに来たという旅情もあるが、しかし札幌は特別だ。食べ物と酒がうまい。ひとつひとつの食材の味がぼやけることなく、その食材本来の味がする。きっと寒い冬が、そうさせるのだろう。
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