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読書日記 2013- 04 「チェルノブイリからの風」

2013-04-17 14:07:54 | 読書日記

夏目漱石「それから」を読んだ。
高校生以来、25年ぶりくらいに読む明治の物語は、もうすっかり遠い記憶にかすんでいた。

確か、映画も見た。代介役が松田優作さん、三千代役が藤谷美和子さん。
原作よりも、映像は解りやすく描かれていて、二人の切ない気持ちが伝わってくる映画だった。
三千代という名前に記憶の断片が甦ってきた。
そういえば、記者生活をスタートさせたときの先輩が同じ名前だった。
漢字は違うけど。

その先輩とイメージを重ねて読んだことがあったっけ。
そうなると今回読んだのが、3回目になる。

ずいぶん自分も変わってしまったことに気づく。
そう、ぼくはもう代介には、共感できないことに。

図書館で本橋 成一さんの写真絵本「チェルノブイリからの風」と福島の小学校に通う子どもたちの作文集「ふるさとはフクシマ 子どもたちの3・11」(文研出版)を借りた。
いずれも福島に行く前に読んだ。
ぼくは言葉を失った。

本橋さんの写真に心を打たれた。現場で撮っているという確かな感触が写真の奥から見えてくる。
「あとがきにかえて」の中で本橋さんは、このような言葉を書いている。
写真は上手とか下手ではなく、どのように写真との関係に自分が関われるかと。

過日、カメラマンを目指していたという友人の言葉にハッとさせられた。
「そこにいなければ、写真は撮れない」。
文章は頭の中でも書けるが、写真はそうではない。そこにいなければいけないのだ。
現場にいることがとりわけ重要になってくる。

「文芸ブルータス」で2編の短編を読んだ。
伊坂幸太郎さんの「濡れ衣の話」。
鹿島田真希さんの「波打ち際まで」。

今の流行作家にあまり興味はない。
村上春樹さんの「ノルウェイの森」に登場する永沢の言葉。
「作家は没後30年経ってから」。
命短し、本読め乙女。

でも、ちょっと気になって今の流行作家を読んでみたが、最近の小説はほとんどが私小説だ。
丸谷才一さんの言葉。
「私小説は小説ではない」。
重い言葉である。

中村文則さんの「銃」を読みはじめた。
3ページ目でやめた。文章があまりにも稚拙だったから。
本の装丁もつまらなかった。

今、読んでいるのはマーシャ・メヘラーンの「柘榴のスープ」。これが本当に素晴らしい。小説とはかくあるべきだと感じた。細かい描写、多くの知識に裏打ちされたユーモア、寛大な世界観。これから自分が小説を書いていくうえで、大きなヒントになった。
まだ、読了していないので、読み終わったら改めて報告したい。

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