「BBB」

BASEBALL馬鹿 BLOG

居酒屋さすらい 1126 - 何が「究極のやきそば」なのか? - 「ひとりあじ」(さいたま市浦和区仲町)

2017-02-07 14:52:40 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋

「新井商店」を出て、T根に連れられて行った店は、立派な店構えだった。

大きな看板が掲げられ、「ひとりあじ」と書かれている。店名は不思議な語感だった。

J型のカウンターは古典的な立ち飲み屋を彷彿とさせ、これまで入った浦和の立ち飲み屋では、一線を画していた。

 

生ビールが300円。ホッピーセットが250円。

この金額だけ見ても、この店の価格帯が分かるというもの。

つまみは「にら玉」が200円。「牛すじ煮込み」が350円。変わったところでは「ロシア風餃子ペルメニ」(400円)というメニューや「高野豆腐シーチキン」(350円)などが目についた。

アルミの灰皿に金を置いているところをみると、どうやら店は、キャッシュオンであり、ボクらは財布から金を出して、飲むものを思案した。

 

「まずはホッピーかな」。

「じゃ、自分も」と答え、飲み物をオーダー。

さて、つまみは何にするかと、再びメニューを眺めていると、凄まじいほどのオーラで訴えかける一品を見つけた。

「究極のやきそば」。

これが僅かに200円である。

既に2軒目の〆モードの我々にとって、うってつけのメニューだったといえる。

しかし、本当にたった200円で、究極のやきそばなるものができるのだろうか。当たり前だが、素材にこだわれば、こだわるほど材料費はあがる。果たして、この「究極のやきそば」なるメニューは、どんな素材を使っているのか。

 

我々は考えを膨らました。

200円で究極。多分、これは正攻法ではないだろう。ソースの代わりに何か違うもので味付けをしているのか。それとも、麺に仕掛けをしているのだろうか。例えば、麺が赤いとか。いやいやもっと奇をてらって、蕎麦を焼いたとか。或いは、炎が出たままでやきそばが供されるとか。

 

とにかく、期待は膨らむばかりである。

そうやって、出てきたのがこれ。

見た目は普通のやきそばだ。

いや、普通ではない。具材が一切なく、極めて素やきそばである。

ボクらは一瞬目が点になった。

いや待てよ。見た目は変哲ないが、食べたらすごいのかもしれない。そこで、サプライズさせたら、本当に究極だ。

 

しかし、一体どんな味なのか。

もしかして、チョコレート味だったりして。それとも、フォアグラ味だったりとか。

ますます、期待は膨らんだ。

 

我々はいよいよ箸を手に持ち、「究極のやきそば」目掛けて、箸を運び、そばをつまんで口に運んだ。

だが、一瞬にして、我々がした期待は単なる妄想だったことが分かった。

単なるソースやきそばだったのである。

しかも、麺以外には何も入っていない完成無欠の素やきそば。

 

何が「究極のやきそば」なのだろうか。

何もないのが、究極なのか。

いや、人を食った、このやきそばこそが究極なのか。

 

いや、そうではないかもしれない。

恐らく、我々は宝くじのように夢を買ったのだろう。事実、我々は、いろんな究極のやきそばを夢想した。究極とは何かを考えた。

僅か200円で。

 

がっかりすることなら、誰でもできる。

或いは、「究極のやきそば」を裸の王様に見立てることも可能だろう。

一本とられた!

そうやって、笑い飛ばして食べれば、愉快に飲めるだろう。

 

恐ろしく愉快で、恐ろしく哲学なやきそば。たった200円の素やきそばは、やはり究極だった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オレたちの「深夜特急」~イ... | トップ | お風呂さすらい74 「温泉たま... »

コメントを投稿