一条もんこさんを初めて見たのは、「dancyu」だったと思う。いろんな意味でかなりのインパクトだったと記憶している。左斜め45°の角度から写される写真の意味深な笑みは妖艶だ。ただ、カレーにまつわる姿勢には感服している。それは彼女が評論家ではなく、真のプレイヤーだから。経歴をみれば、一目瞭然。フレンチ、イタリアン、カレーチェーン、そしてインドに渡り、カレーの修行を実践してきた。タレントの撮影でカレーを作る番組とは違う。厳しい修行だったというのは想像に難くない。
その一条さんが監修したレトルトカレーが、「あしたのカレー」である。仙台の駅ナカで、レトルトカレーの販売会をやっている時に、迷わず買った。ジャケ買いである。
「あしたのカレー」という名前の商品。
「今日食べたい熟成の味」と書かれたコピーで大体分かった。作った翌日の、ちょっと煮込まれたカレーを再現したのである。
脚本家、倉本聰さんの作品で、「ライスカレー」というのがあった。カナダで、ライスカレー屋を開く計画に乗った若者の話しである。その中で、一日日にちを置いて熟成されたカレーのエピソードがあり、彼らはそれを「昨日のカレー」と呼んだ。昨日か明日か、それは自身の立ち位置で変わる。
このドラマを一条さんが知らない訳がない。昨日より、あしたを選んだようだ。だから、これを食べる人は、カレーを作った今日側にいるのだ。要は一日待たなくてもいいレトルトを目指したのだろう。
ただ、「あしたのカレー」はある程度、スパイシー感があると思っていた。スパイス料理研究家の一条さんらしいカレーなのだと。だが、実際に食べてみると、スパイシーさは微かにある程度で、実際は熟成に力点が置かれていた。いや、スパイシーさは、こっちが勝手に想像したことである。
しかし、その熟成感は半端なかった。コクが出まくりだったのだ。原材料という点では、バナナが香料として使われる程度。あとはもの珍しいものはない。これがもんこマジックなのか。
発売から一年で10万食を売った実績も分からなくもない。だって、うまいんだもんこ。
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