最近、新橋駅前ビルに立ち飲みがやたらとオープンしている。
「庫裏」に「とんかつ」、路麺系の二毛作に、この「喜楽」である。この店はかつて、立ち飲み屋の「みどりや」があった場所。
居抜きで使っているようだ。
「喜楽」というのが屋号らしい。
居酒屋さすらいは間もなく連載から1000回を迎えるが、不思議なことに同じ店名というのはそれほど多くない。
チェーン店を除いて、読み方が同じ店名といえば、1位は「やまだや」である。ただ「山田屋」が2店、「山田家」が1店ということで、字まで同じ店立ち飲みの「龍馬」の2事例だけだ。
今回「きらく」は読み方同名で3店目となったが、実はいずれも字が違う。神田和泉町の立ち飲みは「きらく」である。また、十条にある生ホッピーが飲める店は「氣楽」である。
「きらく」にもいろいろな店があることを痛感する。
さて、この居抜きの「喜楽」。
今回は店主が男だった。日本酒に一目置いているようで、珍しい銘柄も飲めるらしい。時には一般に流通しないものまで出るというのだからすごい。
ボクはあんまり日本酒に詳しくないから、よく分からないが、隣に立って一人で飲んでいるブロガーさんと思われる人は、一升瓶をがしがしと写真に撮っている。
「すげー」とか「うめー」とか連発しながら。
日本酒といえば、この新橋駅前ビル1号館の地下にものすごい店がある。
「庫裏」という店だが、一人の若い客が入ってくるやいなや、「ここは庫裏ですか?」と尋ねる一幕もあった。
店主はにこにこしながら「違いますよ」といっていたが、実際は心中穏やかじゃないんだろうな。
酒肴は黒板に殴り書きのように書かれており、店主はそれを携帯で撮影している。
聞けば、それをFacebookに掲載するという。これってSNSの正しい使い方だよなって妙に納得させられた。
これ見て店に来る人もいるんだろうなって思う。
どれどれ、今日の酒肴は何だ?
「塩焼きえび」が1本100円。
「醬油そらまめ」が100円。
「大物 釜揚 シラスオロシ」が300円。
この他、珍味のような珍しいものばかりがラインナップ。普段、立ち飲み屋ではとんとお目にかかれない酒肴ばかりがそろう。
この店、ただもんではないな。しかも、全部日本酒に合うあてばかりじゃねぇか。
ここは日本酒で攻めるか。
瓶を眺めていると、ありました。ボクのすきな酒。
「開運」の純米。
これと「醬油そら豆」をまずはいただくか。
これがうまいんだ。しょう油のしょっぱさにお酒が甘く感じる、この至福。
たまんねーよ。
黒板を見ると「真鯛刺」380円。「煮魚 黒むつ」380円と続く。
本当にこの値段でいいのかと目を疑いたくなるようなしろものばかりである。
このお値打ち酒肴を2つともいただくことに。
時間が過ぎるうちにお客が続々と入ってくる。ほとんどが常連さんのようだ。
「この店、みどりさんの店でしたね」
ボクが話しかけると、「えぇ、みどりさん、たまにここに来ますよ」という。
あぁ、元気にされているのか。みどりさんは。
みどりさんの下で働いていたあのスェーデン人は元気かな。ふと彼の顔が思い浮かぶ。スキンヘッドのいかつい顔。
しかし、さすが新橋。レベルの高い店が次々と現れてくる。
この店、本当にレベルが高い。いい酒、いい肴。
聞くところによると、酒蔵のイベントなどもやっているらしい。
女性の来店も多く。経営は順調そう。新橋にまたひとつ立ち寄る店が増えてしまった。
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