湿った風が吹いている。風はやや少し強い。
金山駅を降りる人の波は多くの人が急ぎ足になっていた。夕方のミルク色の雲が広がっている。もしかしたら一雨くるかもしれない。
ぼくは駅のコンコースにいた。出口の向こうでは路上のパフォーマーが演奏したり、ジャグリングをしているのが見える。
「『素材屋』って名古屋の会社なんだ?」
「そうだよ。知らなかったの?」
「うん」。「東京にもあるけれど、多分今日初めて入った」
「口取りって何だろ?」
「何だろうね」
「この魚の名前なのかな?」
「これは、どう見ても鯵だけど」。
「鯵って名古屋で『口取り』とかって言うんじゃないの?」
「言わないと思う」
「それとも、『お通し』を口取りって言うとか」
「そうかなぁ」
「『名古屋飯フェスタ』っていうのをやってるよ」
「ほんとだね」
「ナポリタンって名古屋名物なの?」
「名物というか。ちょっと違う」
「何が違うの?」
「卵焼きがしいてあるの」
「そういうの初めて聞いた」「何で卵焼きがしいてあるのだろ?」
「何でって・・・。子どもの頃からあったよ」
「でも、おもしろいね」
「きっと気に入ると思うよ」
「子どもの頃に見た風景。大好きな田園風景ってどんな感じ?」
「ずっとずっと先まで見通せて、点々と高圧線が立っているの」
「それで?」
「少し小高い丘から見下ろす感じがきれいで、その向こうに空がひろがるの」
「なんとなく、イメージが沸いた。でもまだあるのかな」
「うん、まだあるよ」
「見てみたい。早く」
店を出て、交差点の横断歩道を横切った。
信号待ちをする先頭のクルマ。
ぼくには見覚えがない。
風が少しざわめいている。
雨はどうやらもったようだ。
賑やかに奏でるストリートのミュージシャンたち。夜のステージはスローモーションのよう。
金山駅を降りる人の波は多くの人が急ぎ足になっていた。夕方のミルク色の雲が広がっている。もしかしたら一雨くるかもしれない。
ぼくは駅のコンコースにいた。出口の向こうでは路上のパフォーマーが演奏したり、ジャグリングをしているのが見える。
「『素材屋』って名古屋の会社なんだ?」
「そうだよ。知らなかったの?」
「うん」。「東京にもあるけれど、多分今日初めて入った」
「口取りって何だろ?」
「何だろうね」
「この魚の名前なのかな?」
「これは、どう見ても鯵だけど」。
「鯵って名古屋で『口取り』とかって言うんじゃないの?」
「言わないと思う」
「それとも、『お通し』を口取りって言うとか」
「そうかなぁ」
「『名古屋飯フェスタ』っていうのをやってるよ」
「ほんとだね」
「ナポリタンって名古屋名物なの?」
「名物というか。ちょっと違う」
「何が違うの?」
「卵焼きがしいてあるの」
「そういうの初めて聞いた」「何で卵焼きがしいてあるのだろ?」
「何でって・・・。子どもの頃からあったよ」
「でも、おもしろいね」
「きっと気に入ると思うよ」
「子どもの頃に見た風景。大好きな田園風景ってどんな感じ?」
「ずっとずっと先まで見通せて、点々と高圧線が立っているの」
「それで?」
「少し小高い丘から見下ろす感じがきれいで、その向こうに空がひろがるの」
「なんとなく、イメージが沸いた。でもまだあるのかな」
「うん、まだあるよ」
「見てみたい。早く」
店を出て、交差点の横断歩道を横切った。
信号待ちをする先頭のクルマ。
ぼくには見覚えがない。
風が少しざわめいている。
雨はどうやらもったようだ。
賑やかに奏でるストリートのミュージシャンたち。夜のステージはスローモーションのよう。
ビュッフェの深い色は畑と高圧線の風景を浮き上がらせてくれそうです。
ギュスターヴ・カイユボット の絵もぴったりきそうにです。