雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

KissDX vs Cooled60D(その2)

2013年04月20日 | 機材
3.常用 ISO感度の比較
kissDX ・・ 100~1600・・・・・・Cooled60D ・・ 100~6400

Cooled60Dを購入した当初は、冷却による低ノイズ化と
常用感度が最大でKissDXの4倍もの高感度を組み合わせて、
短時間露光で効率的な天体写真撮影が可能なのではないかと期待していました。

しかしその期待は、見事に裏切られてしまいました。
左から [ISO6400]・[ISO3200]・[ISO2500]・[ISO1600] ・・・共通DATA180sec露光 CCD温度0~-2℃

上のノイズ画像は夏季に検証のために撮影した「ダークファイル」ですが、
期待に反して0℃以下に冷却しているにもかかわらず
ISO感度に比例してノイズが増加しているのがわかります。

頭を冷やしてよく考えてみると、感度=電気的増幅度であるわけで、当たり前といえば当たり前。
増幅前の元となるノイズは冷却により低減されている筈なので、ISO2500くらいは許容範囲かもしれません。
結局、より高感度で使用する事は冷却による低ノイズ化を打ち消すような気がして、
ISO1600で使用してきました。


4.映像エンジンの比較
kissDX ・・ DGIC II・・・・・・Cooled60D ・・ DGIC 

カメラの頭脳部分に相当するものですが、高機能化に伴い進化していると考えます。
それは高感度、低ノイズ化にも貢献していると思いますが、
60Dの高画素化に伴う、画素の受光面積縮小などのデメリット(S/Nの低下)
もあり、画質としてどれだけ向上したかは私にはわかりません。


5.ノイズの検証比較

天体写真においては暗くかすかな対象を撮影する事が多く、
通常の撮影では問題にならない弱いノイズも、S/N(信号/ノイズ)比の
"S"(天体からの受光量)が小さいことから重要な問題となります。
専用の冷却CCDカメラや、デジ一眼を冷却改造してまでノイズを低減しようとしています。


(1).外気温とノイズの検証
以下の画像は、KissDXの「ダークファイル」から外気温の違いによるノイズの状態を比較したものです。
(注)「ダークファイル」・・・・カメラボデーにキャップをして、外光が入らない状態で撮影した画像。(結果としてノイズだけが記録される。)
左から 外気温 ℃、 10℃、 20℃、 30℃       ・・・共通DATA 露光時間300sec ISO1600
上段はRAWモードで撮影したダークファイルをベイヤーRGB変換したもの。(500%拡大)
下段はEOS添付ソフトのCanon DPPのヒストグラムです。

外気温の上昇によってノイズが目立ってくるのがわかりますが、
単純に背景がノイズに満たされて明るくなっていく訳ではありません。
ヒストグラムのピークは、温度が上がると逆に下がっています。
問題は温度上昇とともに裾野が広がっており、背景のザラつきが拡大している事です。
(注)上段の各画像に見える青い光点は、欠陥画素によるもので「ホットピクセル」といいます。逆に暗点の場合は「ダークピクセル」といいます。


(2).露光時間とノイズの検証
つぎの画像は、KissDXの「ダークファイル」から露光時間の違いによるノイズの状態を比較したものです。
左から 露光時間 180秒、 240秒、 300秒       ・・・共通DATA 外気温 6℃ ISO1600

予想通り、露光時間が長くなるにつれてノイズが目立ってきています。
この原因が連続使用によるCCD温度の上昇によるものか、その他の原因によるものかですが、
以前の記事に掲載したCooled60Dの冷却"ON"時のデータでは、
左から 露光時間 600秒、 300秒、 180秒、 60秒       ・・・共通DATA CCD冷却温度 0℃  ISO1600
冷却"ON"によりCCD温度を一定にしたら、露光時間が増えてもダークノイズは増加しなかった。

つまりKissDXの場合は、露光時間が長くなるとCCD温度が上昇し、ノイズ増加となっているようです。
(当然、Cooled60Dであっても、冷却"OFF"なら同じくノイズが増加すると思います。)


(3).ISO感度とノイズの検証
今回の記事の最初にCooled60DのノイズがISO感度に比例して増加している事が判明しています。
これはKissDXにおいても同様でしたので省略いたします。


(4).冷却によるノイズ低減の検証
すでにCCD温度の上昇がノイズの増加につながっている事がわかっているため、
当然Cooled60Dの冷却"ON"によりノイズが低減されるのは明らかです。
以下の画像は以前にもお見せしたことがあるものです。

(冷却OFF +26℃・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冷却ON +26.5℃⇒+0.2℃
 
購入当初は約26℃くらいの冷却能力がありましたが、
不具合発生により結露対策を強化してもらった結果、外気温-20℃くらいになりました。


6.負けるな! KissDX

Cooled60Dが再起できるかどうかわからない中で、
当面KissDXに頼らざるをえません。
RAW12ビットのハンデーは、いたし方無いとしても、
これから夏場を迎える中でノイズ対策は必須です。
そこで
起死回生の「ダーク減算
別に目新しい事では無く、以前からやっている事です。

その効果を改めて検証してみます。
今回のダークファイルの中で最も高い気温だった30℃の画像を
別の日に作成した29℃のダークファイルで減算してみました。

共通DATA 露光時間300秒 ISO1600
ダーク減算 なし ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダーク減算 実施後
その効果は歴然です!

(注)検証に使用した「ダークファイル」はランダムノイズを平均化するため、
あらかじめ10枚ほどを加算平均して作成してあります。
したがって実際の撮影時のダーク減算では、ランダムノイズが残ってしまいます。
このランダムノイズは、減算後の画像を何枚もコンポジットする事によって
平均化し、目立たなくする事ができます。

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Cooled60D使用によって、省略してきたダーク減算でしたが・・・。
幸い、KissDXのダークファイルは各温度毎にライブラリー化してあります。
問題は露光時間が5分くらいまでものがほとんどで、
10分以上のものは、これから作っていかなければなりません。

雲上くもがみ

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