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雲の上には宇宙(そら)
雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!
Step1 必須のコンポジット 上/2(私の画像処理)
2013年06月19日
|
画像処理のはなし
この記事は天体写真の「画像処理」について、
私の場合の手順・方法を紹介させていただいています。
今回は連載2回目になります。
Step 1
必須のコンポジット
(上/2)
使用ソフト
ステライメージ7
一般写真と違って天体写真撮影では、ISOを高感度に設定して
数分から数十分もシャッターを開けたまま撮影を行います。
もともと、そんな過酷な条件を想定していないデジタルカメラでは、
電気的ノイズまで蓄積記録してしまいます。
そうでなくてもかすかな撮影対象にとって、ノイズの増加は深刻な問題です。
今では発生するノイズの性格により、デジタルならではの対応策がとられています。
■
定常的ノイズ
(再現が可能なノイズ)
・・・・・・「
ダークファイル
」を減算する事でノイズ低減。
・・・・・
■
不規則ノイズ
(再現が不可能なランダムノイズ)
・・・・何枚も「
コンポジット
」する事でノイズ低減。
●
ダークファイル
の作成
ダークノイズは光が無い状態でも発生記録されてしまうノイズで、
気温・露光時間・感度設定が同じなら再現可能です。
このため、天体撮影前後にカメラボデーにキャップをしてダークファイルを保存される人もいますが、
実際には、ダークファイル自体もコンポジットが必要なため、貴重な撮影時間を浪費します。
このためわたしの場合は、撮影できない日の手空き時間にダークファイルを作成しています。
気温、露光時間、ISO感度別にライブラリー化しています。
(Cooled60D用のダークファイルも作成してあります。)
ダーク作成時のコンポジット枚数はkissDXでは10枚、Cooled60Dでは6枚程度です。
(Cooled60Dの枚数が少ないのは、冷却でノイズも少な目だろうというのもありますが、ほんとは手抜き。)
尚、気温は5℃くらいの差なら大丈夫という声もあり、ここまで細かく作成する必要は無いかも?
ダークファイル作成時もコンポジットを行うのですが、
通常の撮影画像のコンポジット方法と異なりますので、
参考に
ステライメージ7
での
ダークファイル作成手順
を掲載します。
(
1
).「ファイル」メニュー/「開く」より、
RAWモードで撮影した
ダーク画像を選択します。(この例では6枚)
*「バッチ」メニュー/「コンポジット」でファイルを指定する方法もありますが直接開いているのは、
開かずに『
加算平均(σクリッピング)
』を行うと大変な時間がかかるためです。
(注.ソフトの不具合では無く、1画素毎に比較のためHDをアクセスにいくためです。)
(
2
).開く画像の種別は[ベイヤー配列]を選択します。
(
3
).画像が表示されたら「バッチ」メニュー/「コンポジット」を選択します。
(
4
).コンポジット:バッチ ウインドウが開いたら、[位置合わせ]はそのままで、
[コンポジット]/[方法:]で『
加算平均(σクリッピング)
』を選びます。
[しきい値:]は”
1
”に、[ピクセル補間]はデフォルトでOK。
[コンポジット実行]をクリックします。
(
5
).コンポジットが完了したらコンポジット:バッチ ウインドを閉じます。
作成したダークファイルに気温・露光時間・ISO感度がわかるよう名前を付けて保存します。
作成済のダ-クファイルの管理のため、エクセルなどで一覧表を作成するのもお勧めです。
%%%%%%%%%%%
ここに、こだわってます
%%%%%%%%%%%
◆
コンポジットは、『
加算平均(σクリッピング)
』 で、
・・・・・・・・・・・・・・
コンポジットの元となった各ダーク画像には、ランダムノイズも含まれています。
特に明るい
ホットピクセル
(光点)ノイズを含む画像があった場合は、単純な『加算平均』では残ってしまい、
ダーク減算時にすべての画像に影響を与えてしまいます。
『
加算平均(σクリッピング)
』
とは・・・・何枚かの画像を比較したとき、
著しく他と異なった明るさの画素は除外して加算平均するやり方。
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
●
フラットファイル
について
実際の撮影画像のコンポジットに入る前に、「
ダークファイル
」とは違った性格の
画像補正ファイルを作成している人もいます。
これはノイズを低減するためでは無く、周辺減光や受光面のゴミなどによるカゲリ、
更には撮影時に作成する事により外光によるカブリも補正しようというもので、
「
フラットファイル
」と呼んでいます。
わたしはこれまで「フラットファイル」の作成は行ってきませんでした。
その理由は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇 周辺減光によるカゲリはステライメージでも補正可能
・・・
〇 撮影時のカブリは時間と共に変化するので、補正は困難
というものでしたが、
最近になって画像周辺での急激な落ち込みや、ゴミのカゲリが気になりだしました。
本格的にやるとなると、適した光源の確保などかなり大変なようですが、
以前ほかの人のブログで見た”スーパーの袋”を2枚重ねて、
曇り空などを撮影する「
簡易フラットファイル
」を作成・保存して使うようになりました。
(画像はRAWモードで撮影し、ダークと同様にコンポジットします。)
R200SS用に作成したもの。レジ袋を一度クシャクシャにしてから使っています。
(注)フラット撮影時はピントは必ず
∞
位置(天体撮影時)に合わせて行います。
丸めたダンボールにレジ袋を張り、フードに収めて使います。
( 望遠レンズで使うときは、そのままレンズの前にかざして使っています。 )
これで作成したフラットファイルです。(右の画像はカゲリをわざと強調したもの)
DATA:R200SS+バーダーMPCC ISO 800 1/1000sec 10枚コンポジット(σ1.0除外)
右下のゴミのような影や、画面下端のかすかなカゲリなどはステライメージでは補正できません。
”
ダーク補正
”と同様、撮影画像を開く時に”
フラット補正
”を行うのですが、
もともと無いはずのダークノイズを「
ダークファイル
」で
減算
(引き算)するのと違い、
カゲリ(背景ムラ)の補正は「
フラットファイル
」から明るさの比率を割り出し、
逆補正するために
除算
(わり算)します。
このためわたしの場合、「フラットファイル」作成時の感度やシャッター速度はかなり適当で、
適正露光と思われるその前後の3種類くらい作成して使っています。
尚、R200SSについては鏡筒に対するカメラの向き、縦・横で2種類作成しています。
(斜鏡などの影響で周辺減光が違うようだったので)
あくまで「
簡易フラットファイル
」ですので、完璧な補正には程遠いものがありますが、
ステライメージ
での「周辺減光/カブリ補正」、更には
フラットエイド
での
背景処理をやりやすくする効果がある事はたしかです。
撮影画像のコンポジットまで掲載する予定が、
事前準備だけでボリュームが大きくなってしまいました。
次回は、手順にそって撮影画像のコンポジットまで行います。
その中で、コンポジットによる効果の検証も行う予定です。
==========================================
梅雨時にはダークファイルやフラットファイルの作成はいかがでしょう。
次回から、以前に撮影した画像を初心に帰って
もう一度処理を行っていきます。
このため、毎日更新は無理かも知れませんのご了承をお願いします。
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