雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

30年ぶりに天体写真を始めた理由(講演会資料その1)

2014年08月18日 | 天体写真よろず話
月も下弦を過ぎたのに一向に星の見えそうな気配がありません。
そこで先日終了した「上越清里 スターフェスティバル」での講演会内容のあらましを
何回かに分けてブログ掲載することにしました。

今回は自己紹介が終わったあとの最初のテーマになります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なぜ30年も前にやめた天体写真を、この歳になって再開したのかですが・・
「仕事をやめると毎日が日曜日になるから」・・これも“ ピンポーン! ” なのですが・・
一番の理由は、昔に比べると、天体写真を撮る機材や技術が格段に進歩していたからです。

では、30年前はどんなだったかというと・・

これは昭和53年(1978)・・今から36年前に発行された天文ガイド 別冊号です。
この雑誌の裏表紙には、当時わたしが給料数か月分をはたいて購入した望遠鏡が載っています。

この雑誌に、当時の撮影風景が載っています。
まだカメラといえばフィルムの時代で、
天体写真向きの高感度のフィルムは白黒フィルムでした。
それで暗い星や星雲を写すには長い時間シャッターを開けていなければなりません。
問題は地球の自転で撮影中に星が動いていく事。
この星の動きを望遠鏡を使って追いかける必要がありました。
画面は撮影中の様子ですが、カメラを望遠鏡にのっけて、
撮影者は十字線を張った接眼鏡で、星を逃がさないように望遠鏡を動かします。
忍耐の必要な作業ですが、更に悪い事に、フィルムには長い時間
光を当て続けると次第に感度が落ちてくるという性質がありました。
結局 長い時間の間に星はずれて、出来上がった写真は星が流れたように写っていました。
他にもめったに星の見えない雪国の悪天候などもあって、
わずか1,2年でわたしはやめてしまったのですが・・
そんな中でも頑張っていたアマチュアの人たちがいます。

これは、当時最先端を行くマニアの一人、古田さんという人の紹介記事
自前の観測所に大口径の望遠鏡を据え付け、
自作したカメラをドライアイスで冷やす事により、長時間露光によるフィルムの感度低下を防いでいます。
わたしも当時古田さんの撮った写真集を何冊も持っていました。
でも、今では私でも暗い星雲や銀河を写す事ができるようになりました。

それもカラーで。

ではこの30年でなにが変わったのでしょうか。

これは現在私が使用しているデジタルカメラです。
30年ぶりに天体写真を再開した最大の理由は・・
デジタルカメラの性能向上と価格が安くなったこと
特に性能面では年々高画素で高感度となりフィルムの能力を越えてしまいました。
デジタルカメラの特徴として非常に効率良く、光を記録できること。
フィルムのような長時間露光による感度低下もありません。
他には・・
これは撮影中の様子ですが、もうガイド望遠鏡をのぞき続ける必要がなくなりました。
コンピュータで制御できる赤道儀が一般的になったからです。

このようにパソコン画面を見続ける必要もありません。
ガイド用望遠鏡につけた小型カメラで星を自動追尾します。
タイマーリモコンで露光時間・撮影枚数をセットしたら時々チェックに見に来るだけ。
これは大変ありがたいことで、寒い冬場や蚊におそわれる夏場は、
撮影中 部屋でのんびり待機できます。

その代わりに、望遠鏡はコードでごちゃごちゃになっております。
(つまり撮影準備には大変時間がかかるという事になります。)

更にわたしが天体写真にはまってしまったわけがあります。
それはさまざまな画像処理が可能になったこと
たとえば・・
画像を重ね合わせる事による効果
これは一晩に撮影した画像の一覧ですが同じ画像を何枚も撮影しています。
1枚15分間露光の撮影ですが、同じものを何枚も撮る事により、何時間もかけています。

このとき撮ったおおぐま座にある子持ち銀河の画像を拡大したものです。
ノイズによりザラザラした画像ですが、15分間もシャッターを開けた画像ですので、
これでも親子の銀河がつながっている様子はわかります。
これを何枚も重ねあわせると・・
これは18枚重ね合わせた画像です。(合計露光時間は4時間半になります。)
別の夜に撮った画像を使う事もあるのですが、何枚も重ね合わる事によって・・
かすかな銀河の腕の形やその色合いまで浮かび上がらせることができます。

これも重ね合わせ処理なのですが、各画像の平均では無く
明るい画像を優先して重ね合わせます。
露光時間 1分間の写真です。
これはカメラを三脚にのっけて、そのまま1分間シャッターを開けたままにして
撮ったものです。中央に北極星が見えていますが、
これを連続して30回撮ったものを重ね合わせると
約30分間の星の動きとなります。
このような写真はフィルムの時代でも撮れたのですが、そのまま30分もシャッターを開けておくと、
空の明るさで星が埋もれてしまいます。
このように明瞭に星の軌跡がだせるのはデジタル処理のおかげです。

次は「モザイク合成」。聞きなれない言葉ですが、パノラマ写真と同じようなものです。
これははくちょう座の大きな星雲を反射望遠鏡で撮影したものです。
ごらんのように星雲の一部しか撮れていませんが、その分細部まで見ることができます。
これを写す範囲をずらしながら3回に分けて撮影します。
これをモザイク合成すると。

見た目は望遠レンズで撮った写真に近くなるのですが、解像度が大きくちがいます。
画素数は約3枚分ですので、プリントなら大きく伸ばしてもあらが見えないということになります。
(これはマイクロソフトが無料で提供している「イメージコンポジットエディター」でつないでいます)
他にもビデオ画像を使った、月や惑星の拡大撮影方法などがあるのですが、時間の関係で省略しました。
( 絵はPowerPoint2013の画面切り替え機能の”折り紙”を使ったものです。)

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今回の講演会資料はPowerPoint2013を使用して作成したのですが、
以前現役時代に仕事で使った頃に比べて、ずいぶん機能が増えました。
画像の移動・拡大も自由で、画面の切り替え方法も多彩です。
おかげで素材は静止画像でしたが、動きや変化を付ける事ができました。

雲上くもがみ
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コメント (16)
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