好死不如悪活

2006年04月10日 | 小説
 姉から電話があった。
姉の親友が癌の告知を受けたことを知らせてきたのだ。
先日、精力的に芸能人のような忙しさで仕事をこなしていると、その親友の近況を聞いたばかりだった。
これといった自覚症状があったわけでなく、ちょっとした不調で病院へ行くと癌がみつかり、それも大分進んでいたとか…。
わたしもよく知っている方なので、心配で仕方が無い。


積み上げてある本の整理をしていると、付箋を沢山付けた短編集が目に入りぱらぱらとページを繰っていた。
本の解説が亡くなった鷺沢萌が書いていたことに、今まで気づかなかった。
(この人の作品は1冊だけ読んだ記憶があるが、わたしの好みではなかった)

この解説の書き出しはこう始まる… 
 好死不如悪活 ――好死は悪活に如かず。
 好きな言葉だ。
そして、ひとの死というのは、ひとの個性をひどく端的に象徴するものであるようにも思う。
彼あるいは彼女がどのように生きてきたか、それをもっとも判りやすい形でみせてくれるのがその人の「死に方」であるというような…
 
(好死不如悪活… 見苦しい生き方でも、死ぬよりはましだ)

この言葉が好きだという、自死した作家はこの「死に方」で彼女のどんな「生き方」をみせてくれたのだろうか。

結局、見苦しい生き方より死を選んだことなのだ。
そして、死を選ぶほうが見苦しく生きるよりはるかに容易い。
コメント
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