ユーディット コンプレックス

2010年09月08日 | art
親友のHに誘われ、国立西洋美術館で開催中の「カポディモンテ美術館展」へ。

雨は夕方からといいながら、家を出る時には既に大降りになっていた。

それに誘って下さった親友のHは、何度もの手術などで満身創痍の身。
この雨で転んでもしたら、更に大変なことになるのでは…と心配したけれど、大丈夫ということで雨天決行になった。

彼女は身体障害者手帳をもっているが、使おうとしなかった。
ところが同病のお仲間に、望んで身体障害者になったのではないのだからと、忠告され
最近は「遠慮せず、積極的に利用することにしたの」と、何事にも前向きになってきたのが、私には嬉しいことだった。

いつものように、レカンでランチ。

今回は私が付き添い人ということで、なんと私の入場券もフリーになった。

天候のせいなのか、館内は入場者もまばら。
実は、私はナントカ美術館展とタイトルがついている美術展は行かないことの方が多いので、あまり期待は(フリーで入場したのにエラソー)していなかった。
しかし、期待外れは外れ。

なので、目玉のパルジャミーノ以外はどんな作品がきているのか知らなかった。
ルネサンスからバロックまでの美術ということで、やはり宗教画が多かった。
宗教画は好きです。

しかし、ここで好きなアルテミジア ジェンティレスキの作品に会えるとは思わなかった。
それもユーディットがホロフェルネスを押さえ込み、ごりごり斬首しているあの代表作に…。

このテーマの絵を彼女は2枚も描いたことを、初めて知った。
1枚はウフィツィで観たことがある。
2枚とも構図は同じで、衣装の色とブレスレット、そして切断用の刀のデザインが微妙に違うくらい。

              


この女流画家を描いた映画を、観たことがあった。
女性であるが故の偏見で、理も非もない拷問を受けるシーンがあり
今回、絵の解説でその時のストレスを、このシーンを描くことで晴らしたらしい。
それで2枚も描くことになったのか…
1枚では描き足らずに…

このテーマは、多くの画家が描いている。

確かに、それらの中でこのアルテミジアの作品が一番真に迫っている。
ユーディットの冷静な表情もドラマティックだ。
ホロフェルネスの断末魔の叫び声も聞こえてきそう。

つまりこれが、有名なユーディットコンプレックス。

私にとっては、見応えのある美術展だった。             






コメント (2)
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