声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

作家のことば

2019-05-11 18:37:28 | Diary
作家の島田雅彦さんといえば

三枝成彰のオペラ『忠臣蔵』の台本を担当したり、

NHK合唱音楽コンクールの課題曲などを作詞したりなど

マルチな活躍をされている作家だが、


本日、前橋テルサで開かれた《朔太郎忌》のイベントでは、

《詩と言葉、詞と音楽》の関係性について

作家の松浦寿輝さんと対談しながら、

ユニークな持論を展開されていた。


特に“歌の詞”を書くときの音節の「あ音」と「え音」の話や、

詩人という“肩書き”の捉え方については、

独自の視点で話され、初めて聞く私にとっては、とても興味深い内容だった。



島田雅彦氏が音楽に詳しいことは、その小説からも伺えるが、

学生と一緒に行ったカラオケでシューベルトの『魔王』を歌うと言うのは笑える。

アレは一人三役を演るわけで、
それなりの歌唱力と表現力がないと歌えない曲だが…

島田氏の歌う『魔王』は、どんなんだろう…

あの渋めの面差しからは想像できない。

意外とひょうきんな方なのかもしれない。


久しぶりに作家同士の対談というのを聞いたが

松浦寿輝氏も島田雅彦氏も、

言葉の選び方や表現が、さすがに洗練されていて

聴衆を引き込む術に長けていると感じた。


穏やかな口調ではあるが、

次から次へと洪水のように湧き出てくる言葉の数々に、

聴いているこちら側は頭をフル回転させる必要がある。


書いたものなら読み返す事ができるが、

LIVEとなると瞬時に解釈しなければならないわけで、
日常の生活では得られない緊張感もあって、それが堪らなく新鮮なのだ。


日頃、使い古した誰でも使う言葉だけを常用している私などには、大いに刺激になった。


本を読んでいるだけでは、こんな経験はできないワケだ。


来年8月に新国立劇場で予定されているというアンドロイドを主役にした新作オペラも楽しみだ。


島田氏によれば、オルタ3には声帯があるらしい…。













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画家のことば

2019-05-11 11:23:58 | Diary
自衛官時代に

何故、私がダメ隊員だったかということは“根性がなかった”からだと、

このblogにも書いた。

せめて、三等陸曹くらいになるまで頑張ってから辞めればよかったのに


結局、2年で辞めてしまったことを

ときどき悔やむ事がある。


だが、

人生にはタイミングというものがある。


本当の事を言うと、

辞めようと思ったのは、

「隊舎の居室の窓際にある自分のベッドから見える月が、あまりにも美しくて眠れなかったあの夜に、突然聞こえてきた( このままでいいの?)という自分の内部の声が聞こえてきたから」

なのだが、

辞める時というのは、それなりに理由をつけなくてはならない。

そこで、


「体力の限界を感じた」とか

「他の世界をみてみたい」とか、

適当な理由づけをして辞めたわけだが


たぶん、一番の理由は

“組織が合わなかった”という事だと思う。


実は、

子供の頃から《群れる》のが苦手だった…


大勢で遊ぶより、あれこれ自分の妄想の世界で独り遊びをするのが好きな子供だった。


きせかえ人形を自分で描き、洋服をデッサンして色鉛筆で色を塗る…

切り取って、

あれこれ物語を作りながら一日中、部屋の中で遊ぶのが好きだった。

高学年になると、

ひとりでスケッチブックを持って近所まで行き、絵を描いていた。

今やってるNHKの朝ドラの主人公と一緒だ。


そんな子供時代を過ごした自分が中高と進むにつれて、

合唱部に入って“みんなで声を合わせて歌う”ことにハマって、

性格が変わった…と思っていた


…が、

本質は変わらないと気づいたのは、大人になってからだ。

音大から自衛隊音楽隊に入ってからずっと抱いていた“違和感”が、それだった。


無理して自分を封じ込めるていた…という事なのかもしれない。



昨日の《徹子の部屋》で

ゲストの檀ふみさんが画家の堀文子さんの言葉を紹介していたが、

《群れない、慣れない、頼らない》というのが、

堀文子さん流“ひとりで生きるための条件”なのだそうだ。

それを黒柳徹子さんが、

「それって出世しない条件なのよね!」

と、笑いながらフォローしていたが


自分に当てはめてみて妙に納得した。


出世とは縁のない生き方を選んだことに後悔はしていないが、


《群れない、慣れない、頼らない》

…は、

老後の生活を充実させるための条件であり、

ひとりで生きていくための覚悟だと思う。


それにしても、

堀文子さんに弟子入りを拒否されたという檀ふみさんのお話は愉快だったなぁ…。



クレマチスが最盛期です。











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