家に帰ってみると
あちこちに出かけたらしく
夫は二階の寝室で、疲れたのかグッタリしていた。
一階の奥からHalが「ワンワン」と私を呼ぶ声が聞こえた。
Halは変わらず元気そうだが、
「一家団欒の時間だよ」
と言いながら
ドアを開けると、Halが勢いよくリビングに走りこんできた。
「今日は、3カ所くらいアチコチ行ったんだよ」
と言いながら夫はシークワーサーで割った焼酎を飲んでいる…
「それで、いろいろHalの様子をみて思ったんだが…だんだんとダルメシアンの本能が蘇ってきているようだなぁ」
…
「犬にも人にも吠えるんだよ」
…本来の犬に戻ったワケだ。
「これはロメオの時にオレたちがいつも持っていた警戒心が原因だと思う」
…ロメオは攻撃的で、猛犬の典型のようなダルメシアンだった。
私たちはロメオの散歩に行くたびに、
周りに人はいないか犬はいないかと常に注意しなければならなかった。
「ロメオの時に身についた自分たちの警戒心がHalにも伝わっているんだと思う」
と夫は言う。
犬に飼い主の心情を慮る能力があるとしたら
穏やかなHalが、人や犬に吠えるのは
私たち飼い主の気持ちが伝わっているからではないか…。
これは、従順な犬にありがちなことだ。
犬は予想外の行動をすることもある。
いくらおとなしく穏やかな性格だと思っていても、
それは人間の思い込みだったりするものだ。
Halは、聞き分けのよい犬なので、
他者に攻撃的にならないよう言って聞かせねば…
一家団欒の時間が終わり、
いつものようにHalが自分の部屋に帰って行って毛づくろいを始めるのをみながら
そうだ、今日からしっかり伝えよう…と思った。
寝入りばなのトロンとした眼をしているHalに私は呪文のように繰り返す…
人に優しく、みんなに優しく
人に優しく、みんなに優しく…
我が家に来て一カ月、
Halにもさまざまな変化が現れてきている…
私たちの気持ちが伝わると、良いのだけれど…
(~_~;)