『世界一の金持ち国(債権国)日本』
財務省が5月22日に発表した2011年末の対外資産・負債残高によると、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高は前年末比0.6%増の253兆円(GDP比では54%)となった。円高を背景に日本側による海外企業のM&A(合併・買収)などの直接投資(対外資産残高)が増えたが、反対に海外勢が日本の短期債を買い増し(日本にとっての対外負債残高)も増えて、最終的なプラスマイナスで日本の対外純資産の伸びは小幅にとどまった。
日本は昨年(2011年)3・11東日本大震災や史上最高値の1ドル70円台の円高の影響で1980年以来初の貿易赤字を記録している。この貿易赤字のマイナス要因にもかかわらず、日本の純資産残高の規模は最大だった2009年末(266兆円)に次いで過去2番目の高さである。
日本は70年代に収支が黒字化して以来海外資産は40倍、海外純資産は60倍も積み上がり、1991年に対外純資産47兆円(1ドル140円~160円)で世界一になって以後、バブル崩壊で日本経済が低迷しているにも拘らず円ベースで6倍、ドルベースでは11倍に膨れ上がり21年連続で世界最大の債権国となっている。
5月22日、アメリカの格付け会社大手のフィッチ・レーティングスは日本国債を一段階下げて最上位のAAAから数えて5番目のシングルAプラスに引き下げた。フィッチによる各国の『格付け』をみると米国はAAA(トリプルA)で最高ランクある。
世界最大の債権国の日本をシングルAプラスとする一方で、日本に次ぐ世界第二位の債権大国の中国がAA-で日本よりも一つ上のクラスである。世界最大の債務国(借金大王)の米国国債を最高格付けのAAAにしたのと同じように巨大な債務を抱えて苦しんでいる韓国が中国の一つ上のAAでは、その国の正しい経済実体からの判断ではなくて政治的な別の動機による『格付け』であることは明らかであろう。
公明正大な審判による判定とは到底言い難く、欧米系格付け会社の『格付け』はインチキ臭いプロレスのレフェリー並の胡散臭さで姑息なダブルスタンダードの極みである。
借金(債務)と貯金(債権)とは無関係ではなくて、一つのコインの裏表の関係にあり『同じものである』ともいえ、一方(債務)が増えれば自動的に他方(債権)も増える。もちろん減らす場合も同じことが言え両方が縮小する。言葉を変えれば、一方に借り手がいるから貸し手が生まれるし、反対に貸し手がいるから借り手が出来るとも考えられて『鶏が先か卵が先か』の話と同じなのです。
現在の1000兆円近いGDP比200%もの日本国の膨大な公的『債務』(借金)であるが、その『債権』の9割以上は日本の保険会社や金融機関が保有しているのですが、財政再建で公的債権がゼロになれば安定した投資先を失ったこの1000兆円は何処に向かうのか。考えるだけでも結論が恐ろし過ぎる。
もしも日本の政府が今のような意識的に借金(債務)を増やさず財務省の言うように財政健全化(公的債務ゼロ)に成功していれば、今日本国債として安定している日本国内では使い道の無い膨大なジャパンマネーが世界の金融市場に流れ出して、今以上に世界の経済は混乱して収拾がつかなくなる。
以上
問題は資産の中身 そのどれくらいを 紙くずみたいな米国債がしめているか なんですけど....。そして 中国政府が日本の国債をどれくらい持っているんだか......