音楽の喜び フルートとともに

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父との時間

2013-09-20 22:46:40 | 介助

トルコ桔梗 ユーストマ・リシアンサス ユーストマはラテン語で「良い口」という意味だそうです。
NKピンクフラッシュ。色々な、種類があります。

金曜の夜は、母が留守なので、父と過ごします。
父は、デイサービスから、4時半頃帰ってきますが、そこから、母が帰宅する10時ころまで、ご飯を食べて、待ちます。

「何時かな?」「5時。」
「今日昼飯食べたかな?」デイサービスの連絡帳には、主食10割、副食7割食べたと書いてあります。
黒糖アメを、見つけて早速口に入れます。

「夕飯は6時半。食べられなくなるから、あんまり食べないでよ。」「わかった。」
隣の部屋で、フルートを吹いていると、父がウロウロしているのが見えて、行ってみると、今度はおかきを、開けようとしています。私の顔を見ると、
「今日お昼食べたかな?」
「食べたよ。」
「おかき食べてもいいけど、食べ過ぎたら、夕飯食べられなくなるよ。せっかく作るから、待っててね。」
「わかった。」食べるだろうなと思いましたが、全部食べても小さな袋なので、無理に禁止すると、問題行動が出ると聞いたので、いうのはそれぐらいにして、また練習。
ようやく時間になり、フルートを置いて、ご飯を作りに行ったら、今度はテレビを見ています。

長男と、次男が帰ってきて、一緒に夕食。
すごい勢いで食べる息子たちを見ていると、こちらもついつい早食いになってしまいます。
父は「ついていかれへんわ。さすがに、すごい食べっぷりやなぁ。」と、半ば呆れ顔。
ビール片手に食べている父は、5分ごとに、息子たちにビールを勧めます。
次男は「未成年だから。」長男は「これから仕事だから。」と勧められる度に断っていますが、またすぐ忘れてしまうので、食事中何度もこのやりとりをすることになります。
初めはマジメに断っていますが、しまいには、おかしくなってきて、笑ってしまいます。
父も、嬉しそうにしています。

そのうち息子たちはさっさと夕食を終えてしまい、席を立つので、父は「はやいなぁ。ついていかれへんわ。」とまたいいます。
私は「ゆっくり食べたらいいんだよ。」と二人で食べ続けます。

やっぱり、おかきを食べたせいか「もう、お腹いっぱい。」と、途中から箸がすすまなくなってしまいます。「ビール飲むんだったら、オカズを食べながらの方が身体にいいよ。」というと、一口、二口。
また箸を止めるので、「野菜ばっかりだから、食べても大したことないし、後でお腹空くよ。」というと、また一口二口。
「ああ、もうお腹一杯。」と残すので、
「お父さん、お菓子たべすぎたから、子どもみたい。」と私が笑い出すと、父も「そうかぁ。」とすまなそうに笑います。
それでも、9割は食べたから、もういいかとお膳を引きます。

「デイサービスで、ラジオ体操したんだって?」「うーん。忘れた、そんなんしたんかな?」
一桁3つの数字の加減を、やってきていました。プリントを見てみると、20問ちゃんと間違えずにやっています。しかし、10問ほど、英語で答えがかいてあります。fifteenとか、nineとか、「おじいちゃん、なぜか、英語なんだね。」と次男が笑います。

医学部に入っていたのに、途中で病気になり、学費が続かなくなって、教育に転身した父は、元気な頃、
「戦争に負けて、GHQがやってきて、民主主義が入ってきた。
民主主義っていいなぁ、これからは英語と教育だと思ったんだ。」とよく言っていました。

父がどんな授業をしていたのかは、知りませんが、一度、事故にあって足を怪我した父を学校に送って行ったら、生徒たちが校門で父を見つけるなり「先生どうしたん?」と、走ってきて、みんなで、カバンをもったり取り囲んでくれました。
退職の時は、校史に残るくらいの悪の生徒たちが、まっとうな大人になり、記念にと、ゴルフ好きの父を誘って、接待ゴルフをしてくれました。現役の頃は、お中元さえもらえないと返品していたのに、この時はうれしそうだった。
同窓会は、何十年も続き、今年も「わからなくても構わない。会えるうちは会っておきたいから。」と白髪の生徒さんたちが家まで迎えに来てくれました。

父の記憶は、どんどん消えていくけれど、退職して、24年。父の仕事は、多くの生徒さんたちの中に残っている。そんなことを思うと、父が少し羨ましくも思えてきます。

30年間、無遅刻無欠勤、休みの日は、クラブ活動。地域の夜間学校を教え午前様。たまの休みもリーダーやホライズンを読んで、ほとんど家族旅行も行かなかった。
そんな父が英語を未だに覚えていることを、誇りに思います。
記憶がなくなっても、残りの人生、少しでも人間らしく過ごして欲しい。そのために何が必要か?毎時考え続けています。