循環呼吸は、以前から噂には聞いていましたが、私には必要のないテクニックのような気がしていました。
人間は呼吸する生物。それを息継ぎ無しで、音楽といえるのか?と考えていました。
しかし、「それはなんだろう?」という好奇心には、私は絶対に勝てない。扉をあけちゃううぐいす長者、玉手箱を開ける浦島太郎、おつうを覗く与ひょう。みんな私のことです。
「循環呼吸はなぜ必要か?というと、トラヴェルソは、呼吸がそんなにいらなかったのが、フルートの改良で音が大きくなると同時にたくさんの息が必要になりました。また、長いフレーズは一般的に肺活量が男性に比べて少ない女性には、演奏するのが難しく、それを補うために循環呼吸が必要だと思うのです。」
先生の演奏を聞いてみると、バロックの長いフレーズをブレスで切らずに見事に吹いています。
次に、ロングトーンで聞いてみました。
見ていると、音は続いていますが、息をしていないというわけではありません。肩やお腹が上がって呼吸をしているのがわかります。しかし、音は切れ目なく続いています。
「口から空気を吐きながら、鼻から吸っています。気道は一つなので、同時には、できません。どうしているかというと、喉を閉めて、口の中の空気だけを使って音にしている間に、鼻から息を吸うのです。」
そう言われてもよくわからないと思うので、まず練習としてストローとコップを用意します。
、
ストローをくわえて、息を吐きます。次に、喉を閉めて口の中に残った空気だけを吐きます。
たくさんは吐けないので、直ぐに終わってしまいます。
口の中の空気だけを吐くという感覚がわかってきたら、吐いて泡がブクブク立っている間に、鼻から息を吸います。
できるようになったら、続けて泡を吹き続けます。
一定の泡の量で続けてできるようになったら、フルートでやってみます。
フルートでやる場合、音にすると、口呼吸の部分の音量がやはり少なくなるので、切れ目を目立たさないために、肺呼吸に切り替えたとたん大きな音量にならないように、小さく始めると、いいでしょう。
実際に舞台の上で使えるようになるには、先生は1年くらいかかったそうです。
私も、コップまではすぐ行きましたが、音はまだどうしても切れ目が分かってしまいます。
しかし、練習すれば、もっとうまくできそうです。
練習していると、吹く時になんとなくやっていた口の中の状態が、繊細に分かってきた気がします。
循環呼吸にまでならなくても、口の中の小さな息の量で演奏できることがわかれば、もっと繊細なニュアンスも表現できるようになってきます。
ぜひ、これはやってみるべし。