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愛するということ 再び

2014-04-07 21:28:06 | 哲学

NHK100分で名著でフロムの「愛するということ」を取り上げていました。この本は、私の生き方を変えた一冊です。

フロムは、人間のもっとも強い要求は孤独からの解放だといいます。

「人は自分の意思とはかかわりなく生まれ、意志とかかわりなく死んでいく。大きな自然や社会の前では一人の人間は無力だ。人間の統一の無い孤立した生活は耐え難い牢獄と化す。何らかの形で他の人間との接触がない限り人は発狂してしまうだろう。」

人は、一人では生きていけない生物です。昔は生きるために、協力することが必然でした。一人一人が大切な労働力でした。孤独になる暇が無かった。

「孤独こそがあらゆる不安の源。
人間の最も強い欲求はこの孤独から抜け出したいという切実な思いである。」

孤独から逃れる手段に3つあるとフロムは言います。

1.祝祭的高揚状態(アルコール、麻薬、愛のないセックス、お祭りなど)しかし、これは依存性が強く溺れると身を滅ぼす。

2.集団への同調(自我は消え、服装、思想においても同じにすることで得られる一体感)

3.創造的活動(芸術、職人、素材と一体化する。人とのつながりは忘れて一体化する)

しかし、それは全て一時的なものだと彼は言っています。そして、

孤独から逃れようとするあまり、人は共棲的結合を求めることがあるといいます。

共棲的結合とは 支配と服従 サディズムとマゾヒズムの関係で、

マゾヒストは、自分に支持し命令し保護してくれる人の一部となることに快楽を感じます。
サディストは、自分を崇拝する他者を自分の中に取り込み、一体化しマゾヒストを手足として使います。ともに、支えあって相手との一体感をつくります。

その例として、ナチズムをフロムは上げています。
近代化が進む中、自由になったけれど個人はバラバラになり孤独を感じていました。不安を解消するために民衆はマゾヒスト化し、ナチスの支配欲求の強い人たちと結びつき、互いに支え合う。共棲的結合をして、社会構造を変えた。と。

「支配されたいの?」と、聞けば「そうだ。」と答える人は少ないでしょう。しかし、「孤立を恐れて沈黙を守ったことがあるか?」と聞かれれば、どうでしょう?「孤立」のところに、「面倒を避けて」とか、「葛藤を恐れて」、とか、「揉め事を起こしたくない」とか、それとも、「顔を潰してはいけないと思って」とか、「仲間を傷つけたくなくて」では?私はいくらでも、入れられます。身に覚えがあるから。

自分が本当に思っていることを言ったら、仲間が傷つくと誰が決めたのか?
あるいは、本当に思っていることを仲間に言ってもらえない自分って、それでいいのか?
そもそも、思っていることを言えないで、仲間だと言えるのか?
完全な一致を要求する組織や、仲間関係に未来はあるのか?

フロムは、こんなことを言っています。
「完全な答えは人間同士の一体化、他者との結合、すなわち愛にある。この世に愛がなければ人類は一日たりとも生き延びることはできないのである。」

「愛」は、学ばなければいけない技術だとフロムは言っています。