父が入った老健施設に行ってきました。
見学して以来、足を悪くして妹や長男に代わって行ってもらっていました。
足の腫れが引いてきて、車を運転することができるようになったので、母を連れて面会。
老健施設はリハビリを行なって3ヶ月、6ヶ月で帰宅を目指す施設です。
行ってみると、食堂のテーブルに車椅子でポロシャツとズボンで座っていました。
「よぅ!なんできたんや?」と手を挙げて言いました。
びっくりです。ほぼ自分から発信するのは難しくなっていたのに。
ソファに移動しようとしたら、私の手を掴んでですが、立ち上がって歩きました。
方向転換も病院にいた時よりもスムーズです。
身体を触ってみると肌のハリも違います。
食欲もあるそうです。
トイレにも歩いて行きました。
惜しいのは、自分で脱ぎ履きが難しいこと。少しふらつくので倒れた時の対処法。
それさえできれば、家に戻ることも夢ではないかも。
母の買物にも付き合って家に帰って、シューベルトの「アルペジョーネ ソナタ」を練習しました。
今度ギターと合わせるのでギターの勝城さんが、スコアを送ってくれました。
私は、フルートとピアノの編曲版を持っているのでそれと突き合わせてみました。
アルペジョーネというのは、今は失われた楽器。
ギターのような24のフレットのあるチェロのような弓で弾く楽器
ギターチェロという呼ばれることもあったそうです。
ヴァリオリンで演奏されることもありますが、チェロやコントラバスなどて演奏されることが一般的なので、フルートでは音域が合いません。
下線2のGだったり、一部はハ音記号で書かれています。
フルートはHまでしか出ないので、オクターブを上げたり下げたり。
そして重音は、装飾音で演奏されます。
フルートクラブの編曲版ですが、だいたいはうまく工夫されていますが、おかしく聞こえない程度に二箇所ほど訂正しました。
アクセントも弦楽器の擦過音とは程遠いフルートでどれだけ表現できるでしょう?
フルートにしか表現できない世界でやるしかありません。
人の成熟は年齢に関わりないのかもしれないと思われる時はいろいろありますが、この曲はまさにそうです。
28歳の若さで作曲されたにしては、落ち着いていて、シンプルなメロディは、悲哀に満ちています。
今なら若く未熟と言われる時期に彼は何をみていたのか?
貧しい教師の第12子として生まれ、音楽の才能があり友人の助けや、奨学金で音楽大学を出て流行歌を量産した男。
21歳で梅毒に感染し、苦労して書いた劇付随音楽は、検閲で上演禁止、世に出した他の曲も不評で打ち切り。他の数曲も。
尊敬するベートーベン、ウェーバーにも会うが、近寄りがたく、孤独。
27歳ようやく仕事の波が来て、作曲されたアルペジョーネ ソナタ。
31歳で「これが僕の生涯だ。」と言い残し、亡くなる。
もうこの時、晩年と言われています。
アルペジョーネという楽器のせいか、難しいことはせず、シンプルな音の繰り返しやロングトーンが多いです。が、その音が深い心の内を観ることを促す感じがします。
まだまだこれから、研究します。