音楽の喜び フルートとともに

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フィリップ・ベルノルドマスタークラス

2016-01-07 23:20:43 | レクチャー、マスタークラス

1月6日ドルチェ・アーティストサロンでフィリップ・ベルノルド先生の、マスタークラスを聴講してきました。
パリ高等音楽院、フルート科と室内楽の教授、数々の賞を受賞され、最近では指揮者としても活躍されています。


曲目はタファネルのミニョンファンタジー、同じくタファネルの「魔弾の射手」最後がライネッケの「フルートコンチェルト」

曲のことも取り上げられましたが、公開レッスンですので、みんなに応用できるような基礎的なことを多くお伝えしたいと思っていますとことわって、始められました。
なので、ここでも共通して使えそうなことをご紹介したいと思います。

イメージとパッション
どの曲も、その曲のイメージ、何を伝えたいと思って書かれたのか?意味を考え、イメージをしっかりと掴んで、そのパッションをもってはじめることが大切だと言っておられました。

たとえば、ミニョンなら、始まりは明るく、激しい感じ、魔弾は悲劇の始まりのような感じ、ライネッケなら、ピアノの重厚な音の後、少し何かに驚いたような感じで入り、レスタティーボ(ストーリーの本題ではなく、繋ぎや説明に用いられる独唱のような箇所)のような感じで、本題は28小節目から始まる。というような具合です。

そして始まりは、前に弾いていたピアノのエネルギーを取るような感じで始めましょう。

ブレスの取り方。
フレーズをあまりブツブツ区切りすぎないで、音楽的で適切なところでとりましょう。
魔弾やミニョンの導入部のように動きがあるところで、息が続かないという時は、タファネル&ゴーベールの1課の練習を2段続けてノーブレスでスラーで吹くような練習をしするのがいいでしょう。
歩きながら練習することもいいです。

そして、ブレスはそのフレーズが激しく早く動いているときは短く素早く取る、ゆったりとしたところでは拍に合わせて吹くなど、場所によってキャラクターが変化しているようにブレスも変えて取ることが必要です。

それから、初めのカデンツァの下りなどは、音量を変えたり、早さをゆっくりから早くまたゆっくりとすることで、息のコントロールができます。フェルマータも、場所によってはそんなに長くしなくてもいいところもあります。

ビブラート
ビブラートは、1920年モイーズの頃はずっと掛け続けるのが当たり前でした。こんなふうにと、すべての音にビブラートをかけて吹かれました。しかし、今はノンビブラートで吹くことを試してください。
ミニョンの30小節目からや60小節目からのメロディ、魔弾のアダージョなどを、ビブラート無しで吹いてみましょう。

ピアノは、ビブラートがつけられない楽器です。それでも素晴らしい音楽ができます。

バロック時代にはビブラートはありませんでした。ブラームスの曲もビブラート無しで素晴らしい演奏を聞いたことがあります。

ビブラートを全くかけないでと言っているのではありません。
フルートを習い始めた子どもは、全部ノンビブラートこんな感じ・・・と実演されました。棒吹き。
次は、成長してビブラートをかけることを覚えた時はこんな感じ・・・全ての音にビブラートをかけて、やはり棒吹き。
どちらも同じです。

大切なことはできるだけシンプルな音楽を作ることです。シンプルなものが、人の心を打ちます。
試してみてください。
ビブラートは管の中にあるとも言われました。

タンギング
タンギングは、tu du di など言われていますが、歯の間から舌を出し、唇の裏側でします。
練習するときには、こんなふうではなく(同じ調子で強く機械のように吹いて)、スラーとスタカート2つずつくくりながらスケールを吹いて、こんなふうに練習しましょう。
初めのようなタンギングは、曲の中では使えません。使えるようなタンギングを練習しましょう。
ミニョンの135小節目からのタンギングは、これは18世紀のゲーテの物語ですが、19世紀のトマがリメイクした物語です。あまり神経質にならず、軽快なタンギングで演奏しましょう。

ライネッケの210小節目のスラーの間のタンギングは、こんなかんじでと、田園の有名なフレーズを吹かれました。

アーティキュレーション
正確に、メトロノームでゆっくりから初めてください。
魔弾の70小節目。ライネッケの105小節目からなどの、アーティキュレーションは正確にそして、キラキラした感じで。

インターバル
何度も先生がインターバルと言われていたのですが、なんとなくわかったような気がするのですが、後で調べてみました。
インターバルというのは、英語では 間、へだたり、とか、幕間、休憩時間などと訳されます。
音楽用語でいうと、音と音の間の音程。音の差、距離、幅、関係。1度とか、2度とかいうことを言います。

インターバルを味わって演奏しましょう。という言い方をされました。
例えば、ミニョンの冒頭、中音Cのアウフタクトから高音のGに行く時、
29小節目の最後の8分音符二つ、Bから高音のDに飛ぶとき、大切に味わって、少し控えめのPから、クレッシェンドして次の音を出す。

ライネッケの29小節目のG#からC#、A#からF#、174小節目のC#からF# 175小節目F#からH、176小節目A#からF#など、ライネッケの場合はインターバルごとにだんだん高揚してくる感じ。
ロマン派の特徴です。
ライネッケの199小節目のEのオクターブは大きなインターバルです。fを書きましょう。

少し息の圧力を上げるとインターバルのあるときのレガートが演奏できる。といことも言われていました。

スケール
スケールの上行形では、息の勢いを頂点に向かって上げていく、下りはゆっくりしていく。
例えば、魔弾の185小節目の上りから、186小節目の下りのようなところです。

その他
メロディを歌ってみること、イメージトレーニングも大切。
コンチェルトはピアノ伴奏ではなくオーケストラなのでPと書いてあっても、そんなにPにはできません。聞こえなくなってしまいますから。
音に芯を作りすぎると音程が犠牲になるので、気をつけて。
ミニョンの111小節目のロングトーンは、クレッシェンドで終わってもいいと思います。長いし、そのほうが楽だし、オペラの感じがするので。

感想
文章にしてみると淡々としているように感じられるかもしれませんが、あちこち動いたり、指揮をしたり、オペラ歌手を演じてみたり、座ったり立ったり、とてもアグレッシブなマスタークラスでした。
音楽は伝えること。伝えることに先生の喜びと情熱を感じました。

また、通訳のJYさんはお弟子さんなので、実際に言葉にされていることの、本質、意味をわかって噛み砕いて通訳されていたので、とてもわかりやすかったです。素晴らしかった。彼女にも拍手を送りたいと思います。



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