日曜日、コンサート、「宮城道雄をしのぶ夕べー愛惜詠唱ー」を妹と一緒に聴いてきました。
宮城道雄生誕120年。今年は邦楽を学ぶ人にとって特別な年です。
宮城道雄の弟子だった祖母についでお筝を初めた母は、祖母ではなく、宮城道雄の弟子、故須山知行先生と、中島警子先生について勉強したのでした。
私も、六段や千鳥くらいまでならなんとか弾けますが、妹も私も反抗期を過ぎたら、身が入らなくなって今は弾く方はご無沙汰。嫌いになったわけではありません。他のことに目が行って・・・。
祖母が86歳で亡くなって18年。須山先生も鬼籍に入られ、いつも華やかな舞台の影で支え続けてくださったお琴屋さんの社長さんが今年、亡くなり、先週末母と兄弟弟子として仲のよかった横田先生が亡くなり、母もがっかりしていました。41回を数えるこのコンサートも寂しくなったと、暗い気持ちで座っていたら、素晴らしい演奏でその気持ちを吹き飛ばしてくれました。
音楽の持つパワーはこういう時こそ威力を発揮するのかもしれません。
古典的な「都踊」は宮城道雄21歳の時の作品ですが、お琴は2声にわかれ、3弦、尺八も入った大編成で華やかに演奏されました。
「八段恋慕」は杵屋正邦作曲の現代曲です。3パートにわかれた三弦と、歌だけで演奏される珍しい曲です。若手の演奏で、ジャズ風のスキャットなども斬新で美しかったです。
宮城道雄作曲 「観音様」作詞 安積得也 「むら竹」歌 大判家持は、筝独創と、笙、ソプラノという珍しい編成ですが、研ぎ澄まされたアンサンブルで、中島先生の演奏がなんといっても美しかった。
「吾妻獅子」大阪の峰崎勾当が、1797年に作曲した曲で、吉原の遊女と遊んだお大尽が後朝(きぬぎぬ)の別れを惜しみ、扇をかざして獅子舞を舞うという色っぽい曲で、手事が恋狂いの獅子を表しているそうですが、三弦と琴の手がそろっていてさすがの演奏でした。
最後が大編成。お琴、三弦だけでなく、筝独奏、十七弦、胡弓、尺八、笙、フルート、打物も入る「祝典筝協奏曲」
昭和15年に皇紀2600年を祝して国威高揚のため政府に依頼されて宮城道雄が作曲しました。
30人同じお琴が並んでいて、それよりも確実に大音量の楽器群が並ぶ中、中島先生の音だけがなぜこんなに浮き上がって聞こえるのでしょう?
それに超絶技巧のすごい手事も、一音一音、ちゃんと音楽になっています。
意味があるというか。
しかも、壮大な曲のなか、弾きっぱなし、走りっぱなし。確か今年米寿になられるとか・・・。
どこから出てくるのか、あのエネルギー、パワー。
終わってから、妹と顔を見合わせて、「・・・すごかったなぁ。」とため息。
ぼやぼやして、落ち込んではいられない。
音楽から生きる勇気、パワー、エネルギー。確かに頂きました。
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