おすすめ度 ☆☆☆★
「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM 2019」脚本部門で審査員特別賞を受賞した室井孝介の脚本を原案に、人生にもがき苦しむ女性の東北縦断の旅を描く。
第 25 回上海国際映画祭にて、最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞を受賞。
就職氷河期の独身女性。定職につかず人生をあきらめ引きこもりの生活をしている。パソコンだけが頼りの孤独な一人暮らし。まあ、納得の人物造形。
これが菊地凛子にあてはまる。
20年以上疎遠になっていた父の訃報を受けた彼女は、従兄の茂やその家族とともに、東京から故郷の青森県弘前市まで車で向かうことに。しかし、茂の家族は途中のサービスエリアで子どもが起こしたトラブルに気を取られ、陽子を置き去りにして行ってしまう。所持金もなくヒッチハイクで故郷を目指すことにした陽子は、道中で出会ったさまざまな人たちとの交流によって心を癒されていく。
違うコミュニケーションを求める勘違い男も出現する。女性一人のヒッチハイクの落とし穴にはまる。親切顔をした自称記者に犯される。捨てる神あれば拾う神ありで、親身に陽子を気づかう老夫婦に出会う。
そして陽子の前に立ちはだかるように現れる若き日の父の幻(オダギリジョー)により、陽子の止まっていた心は大きく揺れ動いてゆく。冷たい初冬の東北の風が吹きすさぶ中、はたして陽子は明日の出棺までに弘前の実家にたどり着くのか・・・。