おすすめ度 ☆☆☆
イラン映画好き ☆☆☆★
イラン映画
監督自身や家族、友人たちに起きた実際の出来事に着想を得た物語で、イランの荒野を車で旅する家族の姿を描いたロードムービー。
2021年・第74回カンヌ国際映画祭監督週間に出品。日本でも同年の第22回東京フィルメックスでコンペティション部門に出品された。
荒涼としたイランの大地を車で旅している4人家族。ケガをした脚にギプスをして後部座席に座る父は、悪態をつきながら、はしゃぐ幼い次男の相手をしている。助手席に座る母はカーステレオから流れる古い歌謡曲に体を揺らし、成人したばかりの長男は運転席で無言でハンドルを握っている。次男が隠し持ってきた携帯電話を道端に捨て去ったり、転倒した自転車レースの選手を乗せたり、余命わずかなペットの犬の世話をしたり、さまざまなことが起こりながらも、一家はやがてトルコ国境近くの高原に到着する。
両親と兄、小さな弟の4人が車で出かける。行き先も目的も子供の弟だけが知らない。観客はその子視点の情報しか与えられず、まったく先の読めない。
目的は国外に去る長男を見送るためというのが、徐々に分かってくる。だけどその理由は最後まで分からずじまい
彼らが絶妙なテンポで見せる親子や夫婦のやりとりは、家族の関係は世界のどこにいても変わらないことを私たちに教えてくれる。
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