Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

付下げの別誂え(フルオーダー)第2弾】《友禅・金彩完了編》

2014-08-26 23:30:11 | 着物
先日、友禅中のお写真をお送り頂いていた「橘に扇散らし」柄の一つ紋付付下げ
ですが、早いものでもう友禅が終わり金彩まで終了したということで、仕立てる
前に実物を確認させて頂きたくて、一度手元に送って頂きました


使用した生地は白生地の名門「伊と幸」の反物で、小さめの紗綾型地紋のもの。
淡い桜色に染め上げた生地に、裾に向かって朱鷺色になるようぼかしを入れて



背景となっているのは、伸びやかに描かれた橘の枝。優しい色使いで染められた
橘の実が成り、枝葉は主張しないように墨の濃淡のみ。


そこに重ねられたメインの柄は扇。開いたものや閉じたものを散らして、そこに
描かれているのは吉祥紋の「宝尽くし」。金彩で場を分けてメリハリをつけて、
付下げらしい少ない柄でも華やかに





橘と宝尽くしが描かれた扇という柄に相応しいよう、友禅の色使いは格調高く

公庄様からは「上前の扇に金駒刺繍を入れるとさらに格調高く仕上がります」と
ご提案を頂いたのですが、このところ私が作っている一つ紋付付下げのテーマは
「訪問着よりも軽めに着ることができる略礼装」ですので、あまり刺繍で重厚に
してしまうとこの柄だと使い勝手が悪くなってしまうので、このままにします

今まで作ってきた明るい色使いの訪問着や付下げとは少し違うテイストですが、
これから娘の行事などに母親として着物を着るには、こういうものも何枚か必要
だと思っています

私の好みとしては橘の葉の色に黄緑を使ったり、宝尽くしの柄をもっと明るい色
使いにしたほうが好きなのですが、この柄でその色使いにしてしまうと安っぽく
見えてしまって、せっかくの柄が台無しになっています

柄の色はパッと見ると地味かな?と思うのですが、反物自体の発する艶、地色の
優しい桜色、扇に施された金彩、橘の実に使われている優しい色合いなど、少し
見ていると母親らしい柔らかな華やかさが出ていて、帯次第で華やかにもシック
にも着られそうな一枚です

前回作った「花の丸」の付下げが鮮やかな色使いで華やかだったので、こちらの
付下げとは着ていくシーンがかぶらず、使い分けができそうですね

今回が落ち着いた着物だったので、次回はまた明るく華やかな付下げにしようと
思っています。早速秋から誂えに入る予定で、現在図案を練っているところ

こちらの付下げはすぐに仕立てに回してもらいましたので、来月末ごろには紋が
入って仕立てあがったものが届く予定です

着物だけで見るよりも、着るととっても映えそうな着物なので、楽しみです