最近、「夫婦善哉」と言うテレビドラマにハマっている。
織田作之助の有名な小説のテレビ化なのだが、私は原作は読んだ事がない。
と言うか・・・関西臭い、水掛け不動産や法善寺横丁が舞台なのが、若い時代は苦手だったのだ。
(法善寺横丁の飲み屋には、学生時代からお世話になっていたのに)
でも、年を重ねるにつれて。大阪くさ~いドラマや風情・食べ物が好きになってきたのに、この頃は気づかされる。
病院でのターミナル食に何を食べたいかと聞かれたら、迷わず「熱々のたこ焼き」と答えるだろう。
この「夫婦善哉」は、柳吉と蝶子が日本一の夫婦になる!?と言うお話なのだが。
たぶん原作もそうなんだろうけど。
柳吉が、蝶子に「お前」や「「蝶子」ではなく「おばはん
」と呼ぶのが私はいたく気に入っているのだ。
蝶子は、柳吉が老舗の家も捨て、妻子を捨ててまで連れ添っている元芸伎。
ドラマでもそうだが、きっと「えらい別嬪さん」に違いないのだ。
なのに、柳吉には「おばはん
」と呼ばれている。
その昔、私は夫の事を他人様に話すときは「主人」と呼んでいた。
そう呼ぶ家庭で育っていたので、それがごく自然だったのだが。
ある時ふと「これって、ヘンちゃう?」かなと思うようになった。
「主人」と言う事は、私は「使用人」か?若しくは、それに準ずるものかと。
そんな事を考えるようになって、私は彼を「夫」と呼ぶようになった。
周りを見回すと、私の敬愛する親友の二人は、やはり配偶者を「夫」と呼んでいる。
しかも、そのウチの1人に聞くと「何で、主人なんて言わなきゃだめなの?私は彼に従属してないわよ
」
っと言い放った。成るほど・・・・・長男の嫁として、舅姑にも立派に仕えてきた彼女としては、しごく尤もなご意見です。
で、夫は私の事を外で何と呼ぶかと言うと。
「女房」
と言う・・・・・これもまたひっかかる。
だって、「女房」なんて「女」が「ぶらさがっている」みたいやないの!
それで、私は夫に「これからは私を『妻』と呼んでね」と言ったが、どうも馴染めない様子。
しかも、彼は私を呼ぶ時は名前でもなく、「君ぃ~
」と呼ぶ。どうやらその呼び方が、都会的で洗練されているように誤解しているらしいのだ。
ならば「君」とスマートに言えばいいのに、必ず「君」の後に間の抜けた抑揚の「ぃ~」が付く。
これがどうも「上から目線」で話しかけているように思えてならない。
話は変わるが、夫の小学校時代の同級生で夫に。
「お前とこのおかあちゃん元気か?」と尋ねる人がいるらしい。
その人の言うところの「おかあちゃん」は、私の事らしいのだ
「私、その人のおかあちゃんちゃうし!その人、絶対家に連れてこんとって!!」
何で60過ぎのオッサンに「おかあちゃん」なんて言われる筋合いはない!
夫に宣言すると、夫は愉快そうに笑っていたが・・・。
「おかあちゃん」も、「女房」も。はたまた「家内」も女性蔑視の失礼な言葉である。
テレビドラマを見終わり、私は夫にくるりと向き直った。
「これからは、私をおばはんと呼んで!
」
「・・・・・・
」
夫は目を丸くしている。
「女房とか君ぃ~とかより、なんぼ程か愛情があるわ
」
「お・おばはん・・・
・」と小声で夫はつぶやいた。
「あかん!おばはん言う時は『おばはんっ
』言わなあかん!ドラマみたいに!」
「おばはん・・・・・」
かくして、我が家は「おばはん」と「おっさん」で落ち着きそうな気配である。
関西弁って、ええもんやわ~。
後は、人前でも言えるように教育せなあかんね