梅雨どきのこの時期。裏が山になっている我が家には、ムカデやヤスデの季節だ。
明け方、指先にチクッとした感覚があり、飛び起きた。「ムカデ?」と思ったが、プラスチックの破片が布団に落ちていて。どうやら、それが指に触れたようだったが。
そろそろ、バルサンをしないと・・・。と思っていた矢先。
天気がいいので洗濯物を、バルコニーで干していた時のこと。
「痛っ
」思わず声を上げた。
瞬間、でかいムカデがバルコニーに敷き詰めたウッドパネルの溝へ逃げ込んだ。
しまった、やられたっ
と思った。しびれた指先の根元をきつく押さえ、痛いやら悔しいやらで茫然自失状態。
傷口をくわえ込み、思い切り吸い込む。唾液と一緒になった毒を、ペッと吐き捨てる。
たまたま、2階にいた夫が異変に気づき。
「どうした
」
「ムカデに刺された!!しかも、デカイのっ
」
「あ~、それ。私がこの間見つけたやつちゃうか?」
そういえば。何週間か前に、ムカデがバルコニーにいたと騒いでいたっけ。
退治したかと聞いたら、虫嫌いの夫は「どっか行った」と言ってたっけ。何で退治しとかへんかったんや!
ほんまに。悠長な事、言うてる場合ちゃいまっせ!!
その間にも指先は、どんどん腫れ上がってくる。くそっ
ムカデめ。許さんっ
必死の形相で、ムカデの行方を捜す嫁に。彼は言った。
「わ、私はどうしたらいいんや~!」
「殺虫剤とスリッパ持ってきて
」
夫は、そばにあった室内履きをつかんだ。
「それやない
もっと、底の分厚いやつ!!」
彼は慌てて、殺虫剤とスリッパ(底の厚い)を階下へ取りに行った。
痛みをこらえ、私はバルコニーと室内を隔離すべく、網戸を閉めた。
ムカデの逃げ場を無くす為だ。まるで、エイリアン退治の気分だ。
一枚、一枚とウッドパネルを外していく。痛い指から毒を吸い出しなら・・・。遠巻きに見ていた夫も、嫁の緊急事態に意を決してバルコニーに出てきた。
「わあっ
おったぞーっ!!」と、夫が叫ぶ。
既に、夫の手から殺虫剤をもぎ取った私。薬剤を散布しながら、スリッパでムカデを叩く。デカイせいか、なかなか一撃では倒せない。ムカデも、必死だ。
私の後ろで「わあーっ
そこや。そこ!!」「うわぁ-
」と夫は、叫ぶ。一体、何匹ムカデがいるんやと思う位。その度に、こっちはびっくりさせられる。
スリッパで叩いた後、靴で何度も踏みつけ。ついにムカデは、お陀仏に。
でも・・・・。冷静になって考えてみたが。
どうしてこんな緊急事態に、「私はどうしたらいいんや~
」って聞くんだろうね。夫は。
「君。ムカデ退治は得意やないか
」と言い訳していたが・・・。役割分担が出来てるっちゃあ、出来てる?が・・・・。
「可哀相に・・・
」と言う目で、死んだムカデを見ていた夫。
私の立場は、どうなるんやっ