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団塊世代おじさんの日常生活

夏 日本で二番目に気温が高く、陶器と虎渓山と修道院で知られる多治見市の出身です。

「兄さん、わし(私)をおんでて(負ぶって)川へほうったって(捨てて)」

2014-10-23 05:53:49 | 日記
昨日の中日新聞の『くらしの作文』というコーナーに「ごめんな」
というタイトルの投稿文が掲載されていました。
86歳の男性が書かれていました。

 昭和49年10月2日、妹は44歳の若さで亡くなった。
優しい夫と中学1年の一人息子を残して。
 
 妹は重い心臓病を患い、入退院を繰り返していた。
婚家は少し離れていたが、病院は実家のそばだったので、
母は毎日のように看病に通った。

 妹は体調が良い日には外出許可をもらい、
実家に来ることがあった。
そんな時、「うちの井戸水、うまいな!」と言いながら、
庭に咲いていたコスモスの花を眺めていた。

 ある日、病院へ見舞いに行くと、妹がこう言った。
 「兄さん、わし(私)をおんでて(負ぶって)川へほうったって(捨てて)」

 苦しみに耐えかねて、死を覚悟したのだろう。

 目の前が真っ暗になった。
返す言葉が出てこない。
「しっかりせーよ。頑張れよ」とは、もう言えない。

 無言のまま、そっと手を握ってやると、かすかな力で握り返してきた。

 40年目の祥月命日の今月2日、婚家の仏壇にお参りをした後、
お墓に向ったその途中のあちこちに、きれいな
コスモスの花が咲いていた。

 妹が「うまいな!」と言った実家の水を墓前に供え、
妹にこうわびた。
 「あの時は、言葉を何も返すことができなかった。ごめんな」


 最近、涙もろくなったせいか泣けました。




君が、嘘を、ついた
コメント (12)
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