まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

『地域の力~食・農・まちづくり』

2010年02月02日 | ブログ

twitterをやる中で、「地域活性化」に取り組んでいる人たちやコミュニティからのフォローを受けることが増えている。全国のニュースでさほど取り上げられているというわけではないにしても、全国見渡せばいろんな形で「地域活性化」に取り組んでいる人がいるわけで、結構大きなテーマと言えるのではないだろうか。

さて今回取り上げたのは、『地域の力~食・農・まちづくり』(大江正章著、岩波新書版)。

Photo149820_3小泉改革路線以降、都市への一極集中であるとか、都市の「ファスト化」などが「地方の疲弊」とセットになって語られることが多くなった。ただその中にあって、独自の取り組みで地域の活性化に成功し、必ずしもこの公式に当てはまらないぞという地域が出てきているのも確かである。先の「地域活性化」のコミュニティなどはそれらの現れだろうか。

本書ではその中でも「第一次産業、特に農業・林業」に焦点を当て、それらの分野で住民と自治体が一体となって魅力を発信している地域を取り上げている。地域資源の活用や、有機農業、林業、食育、公共交通の充実など・・・・。

学者が難しい理論を展開するというのではなく、実際にその地に赴き、自らの足で歩き、地元の人たちへのインタビューで得たもので構成されており、結構生き生きとしたルポに仕上がっている。こういうルポもので、鎌田慧著の『日本列島を往く』シリーズを読んだことがあるのだが、こちらが読むごとに「陰」の部分が強調されて暗澹たる気分になったのに比べて、本書はあくまでも前向きな姿を捕らえようとしている。実際に自治体全体を取り巻く環境は厳しいものがあるのは事実だろうが・・・・。

Dscn6919中でも関心を持ったのが、自分の趣味の分野でもある交通のところ。ここでモデルとなったのは「路面電車」を地域活性化の切り札に選んだ富山の街。ルポの時点ではまだ万葉線とポートラムしか出来ていなかったが、現在はこれにセントラムが加わった。このポートラム転換と万葉線への移譲というのが、地方の公共交通のあり方に一石を投じたのは大きい。

地域活性化というと、大掛かりな公共工事を行うとか、何かカネを落としてくれそうなものを誘致するということを考えがちだが、それらが数年後にはうまく立ち行かなくなっているケースが多いのも事実。その一方で、いかに大地や人などの「地域資源」を活用することで活性化につながるかということが紹介されており、これはいろんなところでヒントになるのではないかと思う。

・・・個人的には、各地で発足している、あるいはその動きのある「野球の独立リーグ」がどこまでこの動きに沿ったものになるかというのに興味があるのだが・・・・(私がこの点でどのリーグを評価し、どのリーグをボロカスに言っているかはおわかりかと思うのですが)。

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