まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

門司港レトロと九州鉄道記念館

2015年01月24日 | 旅行記H・九州
元日の門司港。下関から関門人道トンネルを抜けて和布刈神社に出る。トンネルの中は暖かかったが、外に出るとまた雪と強風である。亀山八幡宮、赤間神宮に続いての参拝である。九州の最北端、関門海峡を目の前にした神社である。

ここから門司港レトロまで歩くことにする。寒いので身体を動かした方がいいだろう。雪も降ったり止んだり。

線路が見える。かつての貨物線であるが、現在は門司港レトロの観光トロッコ列車が走る。今回の旅でも乗ろうかと思ったが、この路線は冬季運休である。まあそりゃ、窓のないトロッコだから走らせても客は集まらないだろう。線路に沿って歩く。

門司港レトロに着く。観光客で賑わうスポットであるが、朝の10時で人の姿はほとんど見られない。また海べりに来たことで風が強くなり、台風並みである。降るのは雪だから傘を差さなくてもいいが、立って踏ん張るのがやっと。旧門司税関の建物が開いているのを見て寒さを避けるように中に入る。中のレンガは冷たく見えるが、暖房のおかげで何とか落ち着く。

しばらく暖まり、再び強風の中に出る。旧門司税関の向かいにある国際友好記念図書館にも行くが、こちらは年末年始の休館中であった。中国大連市とのつながりで、久しぶりに中国語の本でも目にしようかと思っていたが残念。門司港に来るというのは今回の旅の大きな目的だったが、「元日の日中は関門エリアをぶらつく」というくらいの大ざっぱなプランでしかなかったので、施設が開いているかどうかはほとんどチェックしていなかった。

次は旧大阪商船。こちらは開いており、1階では正月らしくカルタの展示。2階では門司港ゆかりのわたせせいぞう氏の作品を展示したライブラリーである。外のどんよりした雲、強風とは全く正反対の青空、鮮やかな色彩が広がる作品が並ぶ。80年代、バブル・・・そんな言葉が頭の中に浮かぶ。

門司港駅へ。重要文化財であるこの駅舎、平成24年から平成30年までの予定で大規模な改修工事に入っている。駅前広場全体が大きな覆いに囲われていて、以前訪れた時と雰囲気が違っている。その工事中の姿をデッキから見ることができるそうなのだがこれも「荒天のため中止」との看板が出ている。駅からは観光客も出てくるがそれほど数も多くなく、観光用の人力車の呼び声もするがそれに応じる客はなかなかいない。

せっかくここまで来て申し訳ないのだが、門司港レトロということで楽しみにしていたが、荒天で何だか楽しさが半減したような感じがする。でもまあ、それもまた旅の思い出である。

そんな中でやはり楽しいスポットは、駅前の九州鉄道記念館。ここは正月でも開館しており、見学客の姿が多かった。私もようやくほっとするものを感じる。屋外ホームに展示されている車両にはそれぞれ注連飾りが施されている。

機関車の次は気動車、電車、客車とある。いずれも中に入って座席にも座ることができる。現に動いたら面白いなと思うのがキハ07。旧宮原線で昭和44年まで走っていた車両だが、ローカル線好きとすればこういう車両に乗って山里を揺られてみたいと思う。

こちらは電車特急クハ481。にちりん、かもめ、有明として九州内を走り回っていた車両である。

その中で「これから乗ろうと思っても乗ることができない」のが寝台列車である。世界初の寝台電車として製造された581系。昼は4人掛けのボックス席、夜は寝台に変わる独特の構造である。同じグループである583系は急行「きたぐに」で乗ったことがあるが、晩年はローカル用に改造されていたのが走っていた。鈍行列車にしてはゆったりした座席で、当たるとラッキーと思ったものだ(もっとも、扉が狭く乗降に時間がかかるということで通勤通学には不評だったようだが)。

そして14系B寝台車。寝台に限らずこうした「客車」に乗ることが今後あるだろうかというところである。SL等のイベント列車くらいということになるだろう。ただそうした列車というのはなかなか指定席券が取れなくて・・・。

また雪も降り出したので本館に戻る。こちらは子ども連れでも賑わっており、ちょうど鉄道模型のジオラマ運転の時間で車両に食い入るように見ていた。九州新幹線、白いかもめ、ソニック、SL人吉といった現在のJR九州の看板列車が次々に紹介される。JR各社にあって最も個性派揃いと言っていい九州の車両。

その九州に初めて鉄道が走ったのは明治22年(1889年)12月1日のこと。ちょうど2014年12月~1月に「九州鉄道誕生125周年記念企画展」というのが行われており、昔の資料や乗車券などさまざま並ぶ。九州鉄道の手により博多から千歳川という筑後川の北岸までの区間がまず開業し、明治24年4月に現在の門司港駅まで、7月に熊本まで、8月に鳥栖から佐賀までが開業した。その後九州北部を中心に路線の新設や小私鉄を吸収合併するなどして拡大したが、明治40年の鉄道国有法によりそれらの路線は国有化され、九州鉄道は解散した。

他に様々な展示物を見る。結局門司港レトロ見物の中で、鉄道記念館での時間が最も長かった。またここまで来たところで、やはり実物の列車に乗りたくなった。夕方には下関に戻るのでそれまでの間、どこかに行くことにする。とりあえず小倉まで乗ろう。

門司港駅に戻る。駅舎は改装中であるが切符売り場やホームは従来のままである。0マイル標、長いホーム・・・これらも旅立ちを演出するものである・・・・。
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