ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

武士の一分

2009年02月07日 | ひとりごと
久しぶりに旦那とDVD『武士の一分』を観ました。
観始めてほんの数分で、旦那はリモコンで映像を止め、「なあ、あれ、なんて言うてるん?」と聞くので、
「え?ええと、何か気にかかることでもおありになるのでがんすか」と答えると、
「何か気にかかることありなるだんす」
「おありになるのでがんすか!」
「おありになるがんすでのか」
「だ~か~ら~、お、あ、り、に、な、る、の、で、が、ん、す、か!」
「……なにその、のがか…がんす……」
もぉ~!!あんたには英語の字幕がちゃんと出てるやんけ~!!

あのさ、わたしはただ、すぅ~っと映画を楽しみたいのね。週末のさ、やっとやっと持てたゆったり時間をね、ただただ静か~に過ごしたいのね。
がんすってのは方言。これからもうええわって思うほど聞けるから、楽しみにしときなはれ~
しょうがないので、紙に書きまして、それを何回か読むとやっと納得した様子。
ということで、静かになった旦那からリモコンを取り上げて、映画鑑賞が再開しました。

侍の話の中には、名誉についての解釈がいろんな事柄につなげて表現されていることが多いのですが、
旦那はよく、切腹の場面になると、まったくもって理解し難い、バカバカしいことだと、必ずブツブツ言いながら観ています。
合気道を15年以上やって、黒帯2段の彼ですが、理解できないものは仕方が無いし、理解したいとも思わない、そうです。
あ、でも、新之丞役のキムタクさんが木刀で素振りをしているのを観て、彼はきっと剣術か剣道をやっていたに違いないと褒めていました。

さて、話はとてもシンプルです。
お毒味役を勤めていた新之丞が、たまたま口にした貝の毒にやられて失明してしまい、
将来の生活を心配した親族に強く勧められた新之丞の奥方の加世が、悪い上司の島田に騙されて誑かされてしまいます。
島田に体を預けることを引き換えに家禄を保ってきたことを知った新之丞は加世を離縁。その後、実は島田は加世を弄ぶために家禄を口実に加世を騙したことを知り、島田に対し、自らの「武士の一分」を賭けて果たし合いに挑む。

ハッピーエンドで終わる最後のシーンを鼻水をすすりながら観ていたわたしは、ふと思うことがあって、旦那にちょっと聞いてみました。

「もしさあ、わたしが加世とおんなじようなことしたらどうする?」
「え?それよりさ、30石ってどういう意味?」
「えっと、多分、お米の量。その領地でできるお米の」
「ふ~ん……」
「んで、どうなんよ、ちょっと」
「そうやなあ、4回ぐらいまでやったら許す」(加世さんの不貞は3回なのでした)
「なんで許すねん?!」
「だってさ、家とか出ていかんでもよくなったんやろ?」
「……
「じゃあさ、僕の目が見えんようになっても、まうみは加世みたいに優しく世話してくれんの?」
「え?」(し~ん……)
「あ、でもええか、僕はもともと鍼師やから。昔は、目の見えへん人がよく鍼師になったんやろ?もしかして今より人気が出てもうかるかもぉ~

我が家には『武士の一分』など、爪の垢ほどもござらぬでがんす。ははぁ~









コメント (2)
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