ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

もしもあの時、

2009年02月20日 | ひとりごと
S子とW氏、そしてわたし達夫婦4人で、いろんな話をしました。
W氏はアメリカのテキサスで生まれ育ち、ヨーロッパに移り住んでからはヨーロッパ各地を周り、その時代時代の出来事を生身で体験してきたオペラ歌手さんです。
なので、いろんな話といっても、上っ面ではなく、聞いているわたし達も心の奥がゾクゾクするような真実みがあります。

歴史上には、もしあの時○○が○○だったら……ということが頻繁に起こっています。その一例として、W氏の話の中に、ヒトラーの名前が出てきました。
わたしは多分、途方も無く無知の部類に入る大人なんでしょう。ヒトラーがドイツ人ではなくオーストリア人だったことも知りませんでした。
その時点でびっくりしていると、W氏は続けて「彼はとても絵がうまかったんだよ。だから彼は美術方面の大学に進みたかったんだ」と続けました。
「でも、学校は彼を入学させなかった。もしあの時、あの学校が彼の入学を許可していて、彼が美術家になる夢を果たせていたら……」
あんな悲惨で無謀で愚かな殺戮は起こらなかった……のでしょうか。

わたし達のような、市井の市民ひとりひとりにも、あの時もしも○○だったら、とか、あの時もしも○○じゃなかったら、という瞬間があります。
それは、その人の人生をいっぺんに変えてしまう出来事であったり、少しだけ方向を変えるだけのものであったり、
いずれにせよ、生きていく道の上に、もしも……という言葉の石が、所々に落ちているのが人生ってもんなのかなあ、と、少ししみじみと考えています。
コメント (2)
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