毎日放送『たね蒔きジャーナル』に出演された、小出裕章氏の見解を、ざまあみやがれい!というブログを書かれている管理人さんが文字おこししてくださいました。
それを転載させていただきます。
水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺います。小出さんこんばんはー」
小出「こんばんは」
水野「今週もよろしくお願いします」
平野「こんばんは。よろしくおねがいします」
小出「よろしくお願いします」
水野「まず。文部科学省の調べでわかったことから伺おうと思います」
小出「はい」
水野「放射性物質プルトニウムという物質がですね、福島第一原発から45キロメートルも離れた地点で検出されたということで。
これは、今回の事故によるプルトニウムが、原発の敷地内でない、敷地外で検出された初めての例だというふうに伝えられております。
ただですね、小出先生」
小出「はい」
水野「たね蒔きジャーナルでは、6月6日にこのプルトニウムの敷地の外での、検出というのは指摘していたんですよね」
小出「はい」
水野「覚えておいでですか」
小出「はい」
水野「小出先生がお出しになったご本が、今、私の手元にありますが、『知りたくないけれど知っておかねばならない原発の真実』……この中に」
小出「はい」
水野「ちゃんと記されております」
小出「はい」
水野「6月6日にこのプルトニウムについて、あの、たね蒔きジャーナルが質問をしているんですよね」
小出「はい」
水野「ところが、あの時確かですね、国側は、これは以前からの核実験で出たプルトニウムだから、今回の事故とは関係がない、と言ってたんじゃなかったでしたっけ」
小出「はい。あの、その当時はそうでした」
水野「そうでしたよね」
小出「はい」
水野「それが4ヶ月もして、こんな発表が今出てきたわけですよ」
小出「はい」
水野「これ、どういう事だと思われます?」
小出「まあ、プルトニウムという物の分析というのは大変難しくて、国の方でも悩んでいたということかも知れませんけれども。
今回のような大規模な放射能放出が起きてしまえば、出てきた放射性物質が、全地球を汚染するということは、むしろ当たり前のことなのです。
それで今回、国が初めて、敷地外でプルトニウムを検出した。
まあ、45キロも離れたところで検出した、と認めたわけですけれども。
言ってみれば、そんなことではすまないで、もう全地球に、福島原子力発電所で放出されたプルトニウムがばらまかれている、ということでもあるのです。
それはだから、量が多いか少ないかという、ただそれだけのことです。
ようやくにして、それがハッキリと検出できた、ということです」
水野「ということは、今回文部科学省が調べましたのは、80キロ圏内です」
小出「はい」
水野「そこの100箇所の土壌を採取、6月から7月にかけてした……」
小出「はい」
水野「……の分析なんですね」
小出「はい」
水野「ということは、これ、80キロぎりぎりのところでのですね……」
小出「はい」
水野「えー……これ、ストロンチウムも出てるんですね」
小出「はい。そうでしょうね」
水野「となると」
小出「はい」
水野「これ、80キロよりもっと先、100キロとか」
小出「もちろんです」
水野「200キロとか」
小出「はい」
水野「この西日本もですか」
小出「もちろんです」
水野「もうプルトニウムがあるはずですか?」
小出「当然です」
水野「当然ですか」
小出「はい」
水野「じゃあ、そのことの危険性について、私たちはどう考えたらいいですか?」
小出「必ず危険があるのです。
プルトニウムというのは、人類が遭遇した最強の毒物と言われるほど、危険度の高い放射性核種ですし。
ストロンチウムという放射性核種も、かなり危険度の高い放射性物質に属するものです。
そういうものがもう、全地球を汚染してしまった、ということなのです。
ただし、汚染の程度で言うと、現在のストロンチウム、あるいはプルトニウムの汚染度、汚染の度合いに比べて、セシウムという放射性核種の汚染の度合いが、桁違いに高いので……」
水野「ケタ違いに高い……」
小出「はい。私たちが、どれだけ被曝をするかということを考えるときには、何よりもやはり、セシウムを私は注目して欲しいと思います」
水野「ほおー……」
小出「まあ、ストロンチウムが安全だとか、プルトニウムは安全だとか、もう無視していいとか、私は言っているわけではありません。
でも、今現在、そしてこれから、どういう放射性物質に注意をしなければいけないのかといえば、やはりセシウムだと、私は思います」
水野「はあーそうなんですね」
平野「先生あの……」
小出「はい」
平野「文部科学省がですね、除染対策はセシウムに着目をしているのが適切、というようなコメントも出しているんですけどね」
小出「はい」
平野「ちょっと考えると。ストロンチウムとかプルトニウムというのはこの、比重がですね」
小出「はい」
平野「セシウムとはちょっと違って重くて」
小出「そうです」
水野「重いんですね」
小出「そうです」
平野「んで、海の汚染が非常に気になるんですよね」
小出「はい」
平野「先生がおっしゃってた、その、海藻類にですね、このへんがたまってる可能性がある、というふうにおっしゃってたんですけども」
小出「はい。多分そうだ、そうだろうと思います。
セシウムというのは揮発性が高いので、空気中に大量に飛び出してきて、今、地面を汚しているのですが。
ストロンチウムは多分、むしろセシウムと同じ程度に、海を汚してると私は思います。
ですから、海の汚染に関しては、セシウムだけではなくて、ストロンチウムも注目しなければいけません」
平野「うーん……」
水野「これは、今回その、プルトニウムやストロンチウムが、思ったよりももっと広い範囲で……、
思ったよりもって、先生が思ったほうじゃないですよ、
私なんかが思ったよりも広い範囲で検出されたってことで、なにか対策をしなければいけないってことはないんですか」
小出「えー、対策はもちろん、ずっと前からしなければいけなかったわけで」
水野「ああそうですね……」
小出「ストロンチウムが検出された、プルトニウムが検出されたからといって、初めてなにかやらなければいけないということではない、と私は思います。
セシウムが大量にもう汚染を広げてるという、その状況の中でやらなければいけないことは、たくさんあります。
ずっと前から聴いていただいてきましたけれども、子供たちを守るために、子供たちが集中的に遊ぶ場所の表土を剥ぎ取るとかですね。
その除染の作業はしなければいけませんし。
食べ物の汚染が、どうなってるかということをきっちりと、調べるということも、やらなければいけません」
水野「今の話だと、まずやはり海洋汚染のために、その、海藻のきちんとした研究作業、分析っていうのかな」
小出「私は、もうすでになされてると思うのですけれども」
平野「まったく、データーが出てきませんねえ」
小出「はい。残念ながら出てきていないです」
水野「はあー……。
それからですね、もう1つ、文部科学省が、今度は航空機を使って測定した、先生のおっしゃるセシウムの蓄積量の数字があります。
これをですね、それぞれの県別に測って、順々に発表しているのですが。
これによりますとセシウムの汚染の帯がですね、首都圏にまで及んでいることが、地図を見ると分かります」
小出「はい」
水野「今回、千葉県と埼玉県の汚染の地図が公表されたんですが」
小出「はい」
水野「千葉県の一部で、こういう数字があります。
1平方メートルあたり、3万ベクレルから6万ベクレル……」
小出「はい」
水野「これはどういう数字なんでしょうか」
小出「1平方メートルあたり4万ベクレルを越えるような汚染物は、放射線管理区域の外にあってはいけません」
水野「あ、そうか」
小出「はい。ですから3万から6万という内の、まあほとんどですね、要するに4万を越えるようなものは、管理区域の外にあってはいけない。
つまりそこは、管理区域に指定しなければいけないという、そういう汚染が、千葉県にも及んでいるということです」
水野「これ、ほっといていいんですか」
小出「ほんとはいけません。
ですから、日本が法治国家だというのであれば、そこは放射線管理区域ですから、私のようなごく特殊な人間以外は立ち入ることすら許さない、ということにしなければいけません」
水野「法律を守るんだったら、一般の方々は、そこの地域から出てくださいっていう……」
小出「そうです」
水野「ことになるわけですね」
小出「はい。あの法律を守る限りはそうなります」
水野「守る限りは」
小出「はい」
水野「はあー……。で、あの、今除染ということがね」
平野「ああそうですね……」
水野「もちろん必要だということですが。
これ、イメージとしては、福島県だけの問題に私は留まっているように思うんです。
今の小出先生のお話だと、千葉県などでもほかの地域でも、この除染の必要というのが出てくるんではないですか」
小出「もちろんです。
だって1平方メートルあたり4万ベクレルを超えてるところは、人が住んではいけないのです。もともと」
水野「へえ……」
小出「日本の法令を法律を守るなら。
そこに今現在、皆さんが住んでいるわけですから、日本の法律を守ろうとするのであれば、除染する以外にありません」
水野「はあ……。でもこれ、ほとんどの方は、この数字に着目していらっしゃらず」
小出「そうです」
水野「今現在も、あの、ご自分の置かれている科学的な意味での、リスクというのを認識していらっしゃらない方が、ほとんどではないかと思うんですが」
小出「国が率先して、法律破りをしているからです。
つい先日、緊急時避難準備区域というところに、人々をもう一度戻ってもいいということにしましたけれども。
そこは1平方メートルあたり4万ベクレルどころではありません。
10万ベクレル、20万ベクレルという、そういう汚染地帯に人が帰ってもいいと、日本の政府が決めた……」
水野「あ、そうなんですか!」
小出「そうです」
水野「わたし、シーベルトとベクレルの関係がよく計算できないもんですから。
1ミリシーベルト以上のところに人は行っちゃいけないと、年間計算ですね」
小出「それでも結構です」
水野「と思っていたので……」
小出「だから、それをはるかに超えるところに戻ってもいいと、日本政府が言ったわけですね」
水野「4万ベクレルで、一般の方は立ち入っちゃいけない。
なのに、10万ベクレル、20万ベクレルのところに、子供さんや妊婦さんも戻ってくださいと、戻っていいですよっていうのが今回の出来事なんですか」
小出「緊急時避難準備区域に戻したと、その出来事です」
水野「そうなんですか!」
小出「はい」
水野「はあ……」
平野「先生あの、昨日、細野原発担当大臣がですね」
小出「はい」
平野「福島県で、5ミリシーベルト以下のところも、除染の対象として国が補助する、というようなことを言ったんですけども」
小出「はい」
平野「これは、今のお話だと、福島県に限らず、その数値の広がりから言うと、とてつもない、考えられない金額になりますね」
小出「もちろんです。
日本の国が法治国家だと言って、自分の法律を守ろうとするのであれば、千葉県内でも除染をしなければいけないわけですし。
もうどれだけお金がかかるか分かりません。
さきほどその、東京電力がなんか、賠償金額が何兆円とかいうような数字と確かおっしゃったと思いますけれども、実はそんなんではないのです」
水野「はい」
小出「何十兆円かかるかわかるかわからない、何百兆円かかるかわからないという、そういう被害が本当は出るのです」
水野「しかしながら、そのことの認識を、皆さんがなさっていないのが現状であると……」
小出「ええ……、なさっていないというか、日本の国家が、それをきちっと言わないのですね」
水野「言わないってことですね」
小出「はい」
水野「でも、わかってる人はもちろん、国にいはるんでしょ?」
小出「もちろんみんなわかっていると思います。専門家はわかってるはずだと思います」
水野「はい。ありがとうございました」
平野「ありがとうございます」
水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました」